法人破産の申立ては誰ができるか?弁護士が解説します

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「経営状態が悪化しており法人破産を検討している」
「法人の破産について、誰が申し立てを行えるのかが分からない」

法人、会社の破産についてこのようなことを知りたいと困っていませんか?

破産手続は、裁判所へ債務の免除を認めてもらう制度であることから、債務を負っている債務者である会社、法人のみが申し立てることができると考えている方もいるかと思います。

しかし、実は、債務者である会社、法人以外でもその会社、法人の破産手続を申し立てることが可能なのです。

この記事では、法人破産の申立ては誰ができるのか、また、破産手続の流れや注意点についてご説明します。

1.法人破産の申立てができる者とは

法人破産の申立ては誰でもできるわけではありません。

申立権者と呼ばれる一定の人にのみ申し立てる権利が認められています。

具体的には、以下のとおりです。

  1. 債権者
  2. 債務者
  3. 準債務者
  4. 申立代理人

順にご説明します。

(1)債権者

会社、法人に対して債権を有している債権者もその会社、法人についての破産手続開始の申立てを行えますが、債権及び破産手続開始の原因となるその法人の支払不能や債務超過の事実について裁判所に証明しなければなりません。

ただし、厳密な証明ではなく、疎明(裁判官がその必要性を納得できる程度)であれば足りるとされています。

疎明では、債権者が債権を有することがわかるような書類を提出します。

例えば、契約書や借用書、取引口座の履歴などです。

また、債権者が債務者である法人について破産を申し立てた場合は、債務者、債権者のそれぞれに対して裁判所の審尋が行われます。

この審尋において、債権者はその法人の破産手続の必要性について説明しなければなりません。

審尋や資料によって債務者の状況などを確認のうえ、裁判所は破産手続が必要かどうか判断します。

(2)債務者

自己破産申立とは、債務者である法人が自ら破産手続開始の申立てをすることです。

法人破産では、法人の主たる営業所の所在地を管轄する裁判所に対して破産手続の申立てを行います。

法人は人間とは異なり、自己の意思を持たないことから、実際には取締役会や理事会での決議によって申立てについての決定がなされます。

なお、債務者自身が破産を申し立てた場合には、他の申立権者が申し立てる場合と比較して、事前に不当に財産を流出させたうえで破産の申立てをしていないかなどが焦点となることがあります。

そういったケースでは、債務者である会社の財産状況などについては綿密に調査されるでしょう。

(3)準債務者

準債務者とは、一般社団・財団法人の理事、株式会社の取締役、合同・合名合資会社の業務役員およびこれらの会社の清算人のことを指します。

法人自身で破産手続開始の申立てをするためには、法人として破産手続を行うという意思を固める必要があります。

しかし、取締役会が開催できない場合や他の取締役の反対などで議決ができない場合には、準債務者が単独で破産手続を申し立てることができます。

(4)申立代理人

申立代理人は、債務者に代わって手続を行う者のことです。

弁護士に依頼することで代理人として準備や手続を任せることができます。

弁護士に手続の進行を依頼することで、法律の専門家として必要に応じてアドバイスを受けることができるだけでなく、手続に必要な書類の準備や作成、申立後の裁判所や管財人とのやり取りなども一貫して任せることができます。

会社、法人の破産は複雑な手続であり、法律の知識も要求される場面が少なくないため、弁護士に依頼のうえ手続を行うことが望ましいです。

2.法人破産の手続とは

法人破産は会社の倒産手続の中の1つで、法律に基づき裁判所を介して行われる手続です。

裁判所を介して行うため、手続は厳格になされて期間が必要となりますが、透明性・公平性が高いという大きな利点があります。

(1)手続の流れ

法人破産は、主に以下の流れで進められます。

1.裁判所へ申立

2.破産手続開始決定

3.破産管財人の選定

4.換価処分

5.債権者集会

6.配当

7.廃止決定・終結決定

裁判所に破産の申立てを行うと、裁判所によって破産手続の開始が決定され、破産管財人が選定されます。

破産管財人とは、債務者である会社が所有する財産を把握・管理し、処分までを行います。

裁判所によって債務者と利害関係のない弁護士が選定されます。

破産管財人によって管理された財産は換価処分を経て金銭へ換えられ、最終的に各債権者への配当が行われることになります。

債権者集会は、破産管財人によって、債権者に対して債務者の財産や手続の状況について説明される場です。

通常、手続開始決定後よりおよそ3か月後の日時が指定され、そこで破産手続が終了するか、まだ換価する財産が残っていたり、破産管財人が調査が必要な事項が残っていたりする場合には第2回、3回と続行期日が指定され、破産手続が続くことがあります。

また、複数回開催されることがあります。

債権者集会を経て、配当が無い事が確定するか、債権者への配当が行われると、裁判所より廃止決定・終結決定が出され、手続が終了します。

(2)手続に必要な期間・費用

次に、手続に必要な期間と費用についてご説明します。

#1:期間

破産申立を行ってから廃止決定・終結決定が出るまでの期間は、4か月~1年程度です。

債権者集会が1回で終わらないケースだと、次の期日まで3か月程度間が空くため、期日の回数を重ねるごとに終了するまでの期間を要することになります。

#2:費用

手続に必要な費用は、裁判所へ納める費用と弁護士へ支払う費用の2種類に分けられます。

裁判所費用には、申込手数料・郵便切手代・予納金(官報公告費や破産管財人への引継予納金)が含まれています。

このうち、予納金については債務者である会社の負債総額や管轄裁判所によっても金額が変動します。

負債総額が大きくなく複雑ではないケースでは、多くの裁判所で少額管財の制度などによって20万円程度の金額で対応されています。

また、手続を弁護士に依頼する場合には、別途弁護士費用も必要になります。

会社の規模などによって費用は異なりますが、およそ50万円以上は必要であると考えておきましょう。

3.法人破産を申し立てる際の注意点

法人破産の手続を行うにあたって知っておくべき重要なポイントがあります。

適切に手続を進めるために、どのような点に気をつけるべきか把握しておきましょう。

(1)早めに弁護士に相談する

会社、法人の破産を行うためには、その会社、法人が「支払不能」または「債務超過」の状態にあることが要件として必要です。

継続的に借金を返済できない状況が続いているか、負債総額が法人の資産を上回っている状態でなければなりません。

また、資金繰りが苦しく会社の事業の継続が困難である状態が、法人破産をするタイミングの目安の1つとなります。

そして、上記でもご説明したように、破産手続を裁判所に申立てするためには裁判所への予納金や弁護士費用を確保しなければなりません。

運転資金に全ての資産を費やしてしまって破産に必要な費用も捻出できないような場合は手続ができなくなってしまうため、予め余裕をもって相談することが重要です。

(2)従業員を全員解雇する必要がある

法人破産は、法人の債務を消滅させることで、その法人の法人格も消滅し、清算されます。

法人格を失うと、会社は事業を継続することができないため、雇用している従業員を全員解雇しなければなりません。

解雇する際は、解雇日の30日以上前に予告する必要があり、30日以上前に予告ができない場合には解雇予告手当を支払う必要があります。

ただし、従業員を通じて破産することが外部に漏れてしまうと混乱を招く恐れもありますので、解雇のタイミングには注意しましょう。

(3)外部に知られないようにする

法人破産をすることが外部に漏れると混乱を招いたり、一部の債権者による不当な債権回収が行われるなどのリスクもあるため、公表するタイミングが重要です。

もし破産することが知られてしまうと、少しでも多くの債権を回収しようと抜け駆け的な債権回収が行われる可能性もあります。

すべての債権者にとって平等な結果を得られなくなりますので、法人破産をする際は情報が漏れないよう慎重に手続を進めましょう。

まとめ

本記事では、法人・会社の破産手続について、申し立てることができる者や、法人破産の手続の流れ、手続利用にあたっての留意点などについて解説しました。

法人破産の手続は、注意するべきポイントが多く、手続も複雑ですので、すぐに手続きを依頼する状況ではなくともまずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、これまでに数多くの法人破産の対応を行ってきました。

ご相談者さまにとって最適な解決が図られるように、当事務所の弁護士が尽力いたします。

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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