会社が破産したら会社が所有している不動産はどうなる?処分されるまでの流れ

会社が破産したら所有している不動産はどうなるのか

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

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「会社が破産したら所有している不動産はどうなるのか」
「会社の破産手続から不動産が処分されるまではどのような流れなのか」

会社の破産手続を決断した代表者の方の中には、会社が所有している不動産がどうなるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、会社が破産したあとの所有している不動産がどうなるのかや不動産が処分されるまでの流れ等についてご紹介します。

1.会社が破産したら所有している不動産はどうなるのか

会社が破産したら所有している不動産はどうなるのか

結論から述べると、会社が破産したら所有している不動産は、強制的に処分されることになります。

破産手続が開始されたら、法人、会社が所有している一切の財産が破産財団に属することになります。

そのため、管理処分権を有する破産管財人が不動産を処分することになるのです。

破産財団に属する不動産は売却され、その売却代金が各債権者に対する配当や破産管財業務の費用の補填に充てられます。

2.破産手続から不動産が処分されるまでの流れ

破産手続から不動産が処分されるまでの流れ

破産手続から不動産が処分されるまでの流れについてご紹介します。

主な流れは以下のとおりです。

  1. 破産手続の始まり
  2. 破産管財人への引継ぎ
  3. 不動産の任意売却

不動産がどのように処分されるのか気になる方はチェックしてみてください。

(1)破産手続の始まり

まずは、破産手続を開始します。

会社の破産手続の始まりは以下の流れで進んでいくことが一般的です。

会社の破産手続の流れ

  • 弁護士に相談・依頼
  • 破産手続開始申立ての準備
  • 破産手続の申立て
  • 裁判所の破産手続開始要件の審査
  • 裁判所が破産手続開始決定・破産管財人の選任
  • 破産管財人への引継ぎ
  • 破産管財人による管財業務の遂行
  • 債権者集会
  • 配当手続
  • 破産手続の終結

破産手続を行う場合は、まず弁護士に相談、依頼をして破産手続の申立ての準備をする必要があります。

弁護士に相談する際に、破産手続の具体的な内容について説明があるので、準備や審査など気になる点があれば、確認するようにしましょう。

(2)破産管財人への引継ぎ

裁判所により破産手続が開始され、破産管財人が選任されると、所有している不動産の管理を破産管財人に引き継がなければなりません。

不動産に関する契約書類をはじめ、権利証、図面、鍵等を破産管財人に引き渡して手続が完了します。

鍵を受け取った破産管財人は債権者や第三者が無断で立ち入らないように施錠したのち、立入禁止等の張り紙をするなどをして不動産を管理します。

(3)不動産の任意売却

破産管財人への引継ぎが終了すると、破産管財人は不動産の任意売却を試みます。

任意売却とは、抵当権を付けている債権者と話し合いをして債権者の同意を得た上で購入希望者を探して売却することです。

本来であれば、債権者は不動産を差し押さえて競売にかけることで債権を回収することができますが、任意売却をすることで競売よりも高額での売却ができるため、破産管財人への同意が期待できます。

任意売却に関しては、破産手続き申立後は破産管財人を中心に行われます。

破産手続き申立前に任意売却をすることもできますが後述のとおり売却を試みる時期については弁護士に確認するのがよいでしょう。

3.所有している不動産に抵当権が設定されていても売却できる

所有している不動産に抵当権が設定されていても売却できる

所有している不動産に抵当権が設定されている場合が多いと思います。

抵当権(債権者が担保とした建物等で弁済を受ける権利)が設定されている場合は、抵当権者(抵当権をつけた者)が優先されるので、必ずしも任意売却が行われるとは限りません。

抵当権者は、抵当権を行使して、不動産を競売にかけることで優先的に債権を回収することが可能です。

ただし、会社が所有する不動産は、破産財団に属する財産にあたるため、破産管財人は抵当権者と交渉して任意売却を試みることができるのです。

抵当権者と交渉を行うのは破産管財人の業務なので、抵当権が設定されている場合でも破産者は特に気にすることはありません。

4.自己破産前に不動産の任意売却・譲渡は避けるべき

自己破産前に不動産の任意売却・譲渡は避けるべき

会社が破産手続をすると、所有している不動産が処分されてしまうため、中には破産手続前に自ら処分しようと考えている方がいるかもしれません。

しかし、リスクの高い行為なので、安易に自己破産前に不動産の任意売却や譲渡は避けるべきです。

自己破産前に所有不動産を任意売却や譲渡すると、その売却の条件等によっては、不当に財産を処分したとして、自己破産手続きが進まない状況に陥ってしまう可能性があります。

破産手続申立前の不動産の任意売却については、よく弁護士と相談して判断をしましょう。

なお、すでに不動産を売却してしまった場合は、売却代金や売買契約書類を破産管財人に引き渡して今後の対応について指示を受けることになります。

生活費に充てるために、やむなく手続前に不動産を手放してしまった方は、必ず弁護士にその旨を伝えて、対策をとるようにしましょう。

まとめ

会社が破産手続を行うと、所有している不動産は破産管財人に引き継がなければならず、最終的には強制的に処分されてしまいます。

所有不動産に抵当権が設定されていても、抵当権者と交渉をするのは、破産管財人なので、破産者は特に気にする必要はありません。

悪知恵を働かせて破産手続前に売却や譲渡すると、条件によっては自己破産が進まなくなってしまう可能性が高いため、絶対に事前に自らの判断のみで処分することは控えましょう。

弁護士法人みずきでは、会社破産に関する相談は無料で受け付けております。

破産手続を検討している経営者の方は、お気軽にご相談ください。

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。