自己破産ではどこまで調べられる?裁判所が行う調査内容や対応の注意点
「自己破産を申し立てると裁判所にどのようなことを調査されるのか」
「裁判所の調査に対応する際の注意点は?」
借金の返済ができなくなり、自己破産を申し立てることを検討されている方の中には、このような疑問や不安をお持ちの方もいると思います。
自己破産は、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、裁判所から免責許可決定を受けて借金の返済義務を免除してもらう手続です。
税金などの一部の支払義務は免責の対象とはならないものの、ほとんどの借金の返済義務を免除してもらうことができます。
そのため、現在および将来的に安定した収入がなく、借金の返済目途が立たない場合などには、自己破産によって借金問題を解決することが適しているといえるでしょう。
もっとも、自己破産は裁判所を通して行う手続であるため、さまざまな注意点もあります。
特に裁判所は申立人の財産や債務に関する調査を詳細に行います。
また、申立人は裁判所に対して、借入額や借入れに至った経緯などについて説明を行うことも必要です。
本記事では、自己破産を申し立てた際に行われる調査の目的や内容、注意点などについて解説します。
なお、自己破産の手続は同時廃止事件か管財事件のどちらかに振り分けられることになります。
それぞれの手続に振り分けられる基準や手続の流れなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
1.自己破産の際に裁判所が調査を行う理由と内容

自己破産を裁判所に申し立てると、申立人についての調査が行われることになります。
具体的には、以下のような調査です。
- 申立人の財産に関する調査
- 申立人の債務に関する調査
- 免責不許可事由の有無に関する調査
このような項目について調査が行われるのは、申立人の借金の返済義務について、裁判所が免責を与えるべきかどうかを判断するためです。
自己破産を申し立て、裁判所が免責許可決定を下すことで、申立人の借金の返済義務は免除されます。
しかし、債権者からすれば、貸し付けたお金を回収することができなくなってしまいます。
そのため、自己破産の申立てについて財産隠しなどの不正の調査をせずに免責を認めてしまうと、債権者が大きな不利益を被ることになるのです。
このような事態を回避するために、申立人の財産や債務の額などについては、厳格な調査が行われることを押さえておきましょう。
なお、裁判所による調査は、申立ての際に裁判所に提出する書類や資料などに基づいて行われます。
自己破産の申立てに必要な書類や資料については、以下の記事をご覧ください。
また、裁判所による調査は、裁判所が選任する破産管財人という人が主導して行われることになります。
なお、破産管財人の概要や手続における役割については、以下の記事も合わせてご参照ください。
(1)申立人の財産に関する調査
自己破産では、申立人に一定額以上の財産がある場合には、換価処分が行われ、債権者に平等に配当されます。
そのため、申立人がどの程度の財産を有しているのかについて、詳細な調査が行われることになるのです。
換価処分の対象となる財産には、以下のようなものが挙げられます。
- 住宅や土地などの不動産
- 車やバイクなどの動産
- 預貯金
- 有価証券 など
これらの財産について、提出書類の中の「財産目録」という書類の記載内容に基づいて調査が行われます。
もっとも、すべての財産が換価処分の対象となるわけではありません。
具体的には、以下のような財産については、換価処分の対象とはならず、自己破産の手続中でも手元に残すことが可能です。
- 99万円以下の現金
- 20万円を超えない価値の財産
- 家財道具 など
しかし、どのような財産が換価処分の対象とならないかは裁判所の運用によっても異なることがあります。
そのため、財産目録の作成にあたっては、所持しているすべての財産について正確に記載することが最も重要です。
(2)申立人の債務に関する調査
申立人が負っている債務の額や借入先についても裁判所が調査を行います。
債権者の名前や債務額、滞納の有無などについては、提出書類のうちの「債権者一覧表」の記載内容をもとに調査が行われます。
自己破産によって免責の対象となる借金は、金融機関などの法人はもちろん、友人や親族などの個人からの借入れも含まれます。
そのため、すべての借入先について記載する必要があることに注意が必要です。
なお、申立人と債権者の間でお金がどのように動いたかについては、銀行の通帳の入出金明細などから正確に把握することができます。
債権者一覧表に記載しなかった債権者がいる場合でも、ほかの書類や資料の内容から判明することがほとんどです。
そして、詳細は後で述べますが、一部の債権者を記載しなかった場合には、手続の進行に影響を与え、免責許可を受けることができない可能性も生じてしまいます。
そのため、債権者一覧表の作成は抜けや漏れがないように慎重に進める必要があることにも注意しましょう。
(3)免責不許可事由の有無に関する調査
裁判所が申立人に免責を与えてよいかについても調査が行われます。
具体的には、免責不許可事由に該当するような事情が申立人に存在するかどうかについて調査が行われます。
免責不許可事由とは、免責許可を与えることができない一定の事由のことです。
すでに述べたように、自己破産が裁判所に認められ、免責の許可決定が出ると、ほとんどの借金の返済義務について免除されることになります。
そのため、債権者は大きな不利益を受けることになるのです。
このような債権者の不利益を考慮し、破産法は免責許可を与えない事由を定めています。
免責不許可事由に該当すると裁判所が判断した場合には、借金の返済義務が免除されません。
そうすると、自己破産を行ったとしても、借金の返済をしなければならなくなるため、注意が必要です。
免責不許可事由の詳細については、以下の記事もご参照ください。
2.裁判所の調査に関してしてはいけないこと

上記のように、裁判所は申立人の財産や借入れに関する状況について詳細に調査を行います。
そのため、以下のような行為を行ってはいけません。
- 財産を処分・隠匿する
- 特定の債権者のみに返済する
- 一部の借金を隠す
- 提出書類や資料に虚偽の記載や改ざんを行う
- 破産管財人の調査に応じなかったり虚偽の説明をしたりする
これらは、免責不許可事由にも該当する行為であり、借金の返済義務の免除が認められない可能性があることに注意が必要です。
なお、手続の準備中や手続中に注意すべき事項はほかにもさまざまなものがあります。
詳細については、以下の記事も合わせてご参照ください。
(1)財産を処分・隠匿する
申立人が所有している財産については、一定額以上のものが手続の中で換価され、債権者に配当されてしまいます。
そのため、住宅や車などの資産価値が高い財産については、自己破産を行うと原則として換価処分の対象となります。
しかし、換価されることを回避するために財産を隠したり、友人や知人などに譲渡したりしてはいけません。
このような行為は、債権者への配当原資を減少させるものであり、破産法上でも免責不許可事由として定められています。
悪質性があると裁判所が判断した場合には、借金の返済義務が免除されないだけでなく、詐欺破産罪として刑事罰の対象になる可能性もあるため、注意が必要です。
(2)特定の債権者のみに返済する
特定の債権者のみに優先的に返済を行う行為(偏頗弁済)も免責不許可事由として定められています。
そのため、自己破産の手続の準備中や手続中にこのような行為を行ってはいけません。
例えば、友人や親族から借りていたお金だけを返済するような行為がこれにあたります。
また、車やバイクのローンが残っている状態で自己破産を行うと、車やバイクがローンの債権者に引き上げられてしまう可能性が高いです。
そのような場合にローンの残債務のみを返済する行為も偏頗弁済として禁止されます。
偏頗弁済が禁止される理由は、自己破産の手続が「債権者平等の原則」という考え方に従って進められるからです。
債権者平等の原則とは、すべての債権者が手続の中で平等に扱われるという考え方をいいます。
そして、特定の債権者のみに優先して返済を行うことは、ほかの債権者との間で不平等を生じさせることになります。
なお、偏頗弁済を行った場合には、破産管財人によって、その行為の効力が否定されることがあります(否認権の行使)。
否認権の概念や行使される可能性があるケースについては、以下の記事が参考になります。
(3)一部の借金を隠す
先ほども述べたように、自己破産では、申立人の借入れに関する調査も詳細に行われます。
そのため、特定の債権について裁判所に申告しない行為も避けなければなりません。
例えば、友人や知人に迷惑をかけたくないことを理由にその借金を意図的に申告しないことなどがこれにあたります。
また、住宅や車などのローンの残債務がある場合に、抵当権に基づく競売や所有権留保に基づく引上げを回避するために申告しないこともこれに該当します。
特に債権者一覧表に記載すべき債権者を記載しなかった場合には、その債務については免責の対象外となってしまうことに注意が必要です。
そのため、自己破産を行っても、その債務については返済義務が残ってしまうことになります。
なお、特定の借金について申告しない行為も免責不許可事由として定められていることに注意しましょう。
裁判所が免責不許可事由と判断した場合には、申告しなかった借金だけでなく、ほかの借金についても返済義務が免除されないリスクがあります。
したがって、意図的であるかそうかを問わず、借金についてもすべて正直に裁判所へ対して申告することが重要です。
(4)提出書類や資料に虚偽の記載や改ざんを行う
申立人の財産や借入れに関する調査は、申立ての際に裁判所に提出する書類や資料などに基づいて行われます。
そのため、書類や資料に虚偽の記載や改ざんがあった場合、正確な調査が行えなくなってしまいます。
そうすると、調査に時間がかかり、手続全体が遅延する事態にもなりかねません。
また、帳簿などの書類を偽造したり変造したりする行為も免責不許可事由として破産法に定められています。
そのため、裁判所に免責不許可事由に該当すると判断された場合には、借金の返済義務を免除してもらえないリスクがあるのです。
このような理由から、提出する書類や資料は正確な内容を記載する必要があることにも注意しましょう。
(5)破産管財人の調査に応じなかったり虚偽の説明をしたりする
手続が管財事件として振り分けられ、破産管財人が選任された場合には、申立人は破産管財人の調査に協力する義務を負います。
そのため、破産管財人の調査に応じなかったり、虚偽の説明を行ったりしてはいけません。
具体的には、破産管財人から追加で資料の提出を求められた際にこれに応じないことや入出金の記録について事実と反する説明を行うことなどが挙げられます。
破産管財人は、自己破産の手続を進行していく上で重要な役割を担っているため、破産管財人に協力しないことは手続そのものを妨害することにつながりかねません。
そのため、破産管財人の調査に協力しないことは、免責が特に認められにくくなることに注意が必要です。
このように、手続に重大な影響を与える可能性があるため、破産管財人の調査には誠実に協力するようにしましょう。
3.自己破産について弁護士に相談するメリット

自己破産では、申立てを行ってから裁判所や破産管財人にさまざまな事項について調査を受けることになります。
また、上記のような行為は、自己破産の手続を遅延させたり、免責許可を受けられない可能性が高まったりするため、注意が必要です。
しかし、自己破産の手続をスムーズに進めるためには、専門知識や実務経験が必要となります。
そのため、自己破産を行うことを検討されている方は、まずは弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に相談することで、手続の流れや裁判所が行う調査などについても説明を受けることができ、見通しを持って手続を進めることができます。
また、弁護士に相談することには、以下のようなメリットもあります。
- 書類作成や資料収集を任せたり、サポートを受けることができる
- 裁判所の調査への対応についてアドバイスを受けることができる
- 手続の進行を一任できる
- 免責を受けるためのサポートを依頼できる
順にご説明します。
(1)書類作成や資料収集を任せたり、サポートを受けることができる
弁護士に相談することで、自己破産を申し立てる際に必要となる書類作成や資料収集に関するサポートを受けることが可能です。
自己破産を申し立てるときには、裁判所に対してさまざまな書類や資料を提出する必要があります。
しかし、どのような書類や資料を作成・収集する必要があるのかは、申立人の財産状況などによっても異なります。
そのため、知識や経験がなければ、不足なく作成・収集を行うことは難しいです。
提出した書類や資料に不備などがあれば、補正や追加での提出を求められることがあり、対応が遅れると手続全体も遅延する可能性があります。
また、追加での提出などに時間がかかると、改ざんや財産隠しなどを疑われてしまうリスクもあるのです。
弁護士に相談の上で手続を依頼すると、書類作成などの手続の準備段階から専門的なアドバイスやサポートを受けることができます。
これによって、書類作成や資料収集を効率的に進め、申立てや手続の開始までの時間を短縮化することが可能です。
(2)裁判所の調査への対応についてアドバイスを受けることができる
必要書類や資料を提出した後には、裁判所や破産管財人が申立人の財産や借入状況などについて調査を行います。
その際には、借入れや破産の申立てに至った経緯などについて、裁判所に出廷した上で説明を求められることが一般的です。
特に借金の主な原因が浪費やギャンブルにある場合には、免責不許可事由に該当し、借金の返済義務が免除されない可能性があります。
しかし、それを理由に虚偽の説明を行ってしまうと、手続の進行に重大な影響を及ぼすため、注意が必要です。
このように、どのような点に注意しながら説明を行うべきかを判断することは難しいといえます。
弁護士に手続を依頼することで、裁判所に対してどのような説明を行えばよいのかについてもアドバイスやサポートを受けることが可能です。
(3)手続の進行を一任できる
自己破産は裁判所を通して手続が進められるため、手続が長期化したり複雑化したりする傾向があります。
また、裁判所への出廷や債権者への対応などが求められることがあり、これらを債務者が一人で行うことには困難が伴うことが多いです。
弁護士に手続を依頼することで、複雑な手続の進行を一任することができます。
さらに、債務者本人で対応を行う必要がある場合にも、あらかじめアドバイスやサポートを受けることが可能です。
このように、手続全体の進行についても弁護士のサポートを受けることができる点が大きなメリットといえます。
(4)免責を受けるためのサポートを依頼できる
自己破産を申し立てても、裁判所から免責不許可事由に該当すると判断されれば、借金の返済義務を免除してもらうことはできません。
特に手続の準備中や手続中に注意すべきポイントは多く、裁判所や破産管財人への対応を誤った場合には、免責を受けることができないリスクが高まります。
もっとも、破産法が定める免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所が裁量によって免責許可決定を出すケース(裁量免責)も多くあります。
具体的には、申立人が借入れに至った経緯などについて真摯に反省し、更生の余地があると裁判所が認めた場合には、裁量によって免責許可を受けることができるケースがほとんどです。
そのため、免責不許可事由に該当する事情があったとしても、まずは弁護士に正直に話すことで、裁量免責を受けるための対策を進めることができます。
まとめ
本記事では、自己破産の際に行われる調査の目的や内容などについて解説しました。
自己破産では、借金の返済義務が免除されるというメリットがありますが、債権者が受ける不利益も考慮して、申立人の財産や借入れなどに関して詳細な調査が行われます。
そのため、財産を処分したり特定の借金について申告しなかったりしても、裁判所の調査によって発覚してしまいます。
このような行為は、手続を遅延させるだけでなく、免責を受けることができないリスクを高めるため、絶対に避けなければなりません。
もっとも、どのような点に注意しながら裁判所や破産管財人への対応を進めるべきかは判断が難しいことも多いです。
そのため、自己破産を行う場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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