債権者集会について

1.債権者集会

債権者集会は、破産債権者に対して手続の進行に関する情報を開示するとともに、破産管財人を監督する機会を与えるために、裁判所の招集、指揮の下に開催される会議のことをいいます。

債権者への説明・情報提供と破産手続へ関与する機会を与えることが債権者集会の役割とされています。

(1)債権者集会に出席できる者

債権者集会に出席できるのは、破産管財人、破産債権者及びその代理人、破産者及びその代理人などです。

破産者は、債権者集会において破産に関する事項について説明義務を負うので、債権者集会には必ず出席しなければなりません。

破産者が法人である場合は、代表者の出席は必須とされています。

破産者の代理人も、債権者集会において説明義務を負うので、申立代理人は債権者集会に出席しなければなりません。

(2)債権者集会における説明義務

破産者および破産者の代理人の説明義務の範囲は、破産に関して必要となるすべての事項に及びます。

破産手続開始に至った事情、破産者及び破産財団に関する経過及び現状が主です。

なお、東京地裁においては、破産管財人の報告は、破産手続開始申立書および添付資料を引用する簡略化された書式による報告書の提出で足りるものとされています。

したがって、特に破産にいたる経緯について債権者から質問があった場合は、申立代理人が回答することが多いです。

なお、東京地裁の運用では、大規模事件や社会的に問題になった事件などでない限り、債権者集会において代表者の挨拶の機会が与えられることはありません。

2.債権者集会の概要

(1)集会・期日内容

#1:財産状況報告集会

財産状況報告集会では、破産管財人が破産手続開始に至った事情、破産者及び破産財団に関する経過及び現状等につき報告をします。

その後、出席債権者から、破産管財人の報告に対する質疑が行なわれます。

#2:破産管財人の任務終了計算報告集会

破産管財人が破産者の破産手続開始時から任務終了までの間の収支状況(計算)を報告します。

破産者、破産債権者は管財人の計算について異議を述べることができ、異議がなかった場合は、計算は承認されたものとみなされます。

#3:破産手続廃止に関する意見聴取集会

破産債権者に対して配当ができない場合は、配当が実施され破産手続が終結する場合と異なり、破産手続は廃止されます。

破産手続廃止集会では、破産手続の廃止について破産債権者から意見を聴きます。

#4:債権調査期日

債権調査期日では、破産債権届出書に記載された債権について、破産管財人が認否を行ないます。

管財人が認め、かつ届出債権者が異議を述べなかった場合は、破産債権は確定します。

#5:免責審尋期日

免責審尋期日では、免責に関する意見書に基づいて免責不許可事由の存否及び裁量免責の当否について意見を述べます。

その上で、裁判所は、出席債権者からも免責に関する意見を聴取し、期日を終了します。

(2)集会・期日の順序

#1:異時廃止事案の場合

第1回の財産状況報告集会までに破産管財業務が終了し、配当の可能性がないと認められる場合(異時廃止事案の場合)は、財産状況報告集会に引き続いて直ちに破産手続廃止に関する意見聴取会と破産管財人の任務終了計算報告集会が併せて実施されます。

破産者が個人の場合は、続けて免責審尋期日が実施されます。

#2:配当事案の場合

第1回の財産状況報告集会までに破産管財業務が終了し、かつ配当が見込まれる事案の場合(配当事案の場合)は、財産状況報告集会に続いて債権調査期日を実施し、その上で任務終了による計算報告集会が行なわれます。

破産者が個人の場合は、続けて免責審尋期日が実施されることは、異時廃止事案の場合と同様です。

3.第1回債権者集会

裁判官が、開催時刻に債権者集会の開始を宣言し、以後、議長役として集会の進行を指揮します。

開会の際に、裁判官は、破産手続開始の決定日の説明や破産管財人の紹介、集会の進行予定等の説明を行います。

破産管財人は、破産者が破産手続開始に至った事情、破産者及び破産財団に関する経過及び現状等について報告し、その上で債権者からの破産管財人又は破産者に対する質疑や意見表明とそれに対する応答が行われます。

破産管財人の報告は口頭で行われていますが、事案の内容等に応じて財産目録等の資料を債権者に配布した上で報告されるのが通常です。

4.第2回以降の債権者集会

第1回の債権者集会(財産状況報告集会)までに破産管財業務が終了せず、破産手続が継続する場合は、債権者集会を続行する運用です。

破産者と申立代理人が出席しなければならないことは、第1回の債権者集会と同様です

東京地方裁判所では、全件について財産状況報告集会、破産管財人の任務終了計算報告集会及び破産手続廃止に関する意見聴取集会を併せて開始しています。

また、破産手続を効率的に進行させること、出席債権者の手続参加に伴う負担を軽減するために、債権者集会に併せて、債権調査期日及び免責期日を同一日時に指定しています。

実際の債権者集会は、出席債権者がゼロの場合が多いです。

債権者が出てくるとしても、主として倒産の原因や管財方針等について破産者や破産管財人の説明を聞くためであることが多いです。

そのため、個人の破産者の場合、大きな騒ぎになることはほとんどありません。