ゴルフ場経営の破産の特殊性

ゴルフ場経営会社の破産の場合、事業そのものの資産価値を維持することや、経営に関連する許認可、ゴルフ会員権の処理などに特殊性があります。

以下では、各問題点について、簡単に説明していくことにします。

1.ゴルフ場事業の譲渡及び許認可等についての留意点そのものの取り扱い

事業が継続されている場合には、事業そのものが資産となり得ます。

ゴルフ場経営会社が株式会社である場合に、破産手続開始決定により会社が解散してしまい事業が停止してしまうと、芝生があれ、コース等が使い物にならなくなってしまうことがあります。

法的な倒産手続を行なう場合には、その事業をいったいとして譲渡するために、現実には、事業を継続しながら、譲渡先を捜すことのできる民事再生手続を選択することが多いでしょうが、破産を選択する場合には、早期の段階で事業譲渡ができるかどうかの判断をする必要があります。

ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場経営のために、飲食や浴場、消防等の許認可を得ています。

この許認可は、事業譲渡だけでは当然には、譲渡先に移ることはなく、別に手続が必要な場合があります。

また、ゴルフ場の中に、借地が含まれている場合には、借地権を譲渡することに対して、貸主の承諾を得る必要があります。

その他地下水を利用する権利や農薬散布の補償金等のゴルフ場経営に関連する権利関係の引継ぎに、事業譲渡契約以外の手続が必要かどうかよく確認する必要があります。

2.ゴルフ会員権の取り扱い

(1)ゴルフ会員権とは

ゴルフ会員権には、様々な種類がありますが、このうちの殆どが預託金制のゴルフ会員権です。

(2)預託金制のゴルフ会員権とは

預託金制のゴルフ会員権には、預託金返還請求権とゴルフ場施設優先的利用権(いわゆるプレー権)が含まれています。

これは、いずれも破産手続開始前の原因に基づいた債権であることから、破産手続の中で処理されなければならない通常の債権(これを「破産債権」といいます。)として取り扱われます。

(3)ゴルフ会員権の譲渡について

ゴルフ会員権を譲渡していた場合、その譲渡に対して会則により、理事会の承認手続等が必要な場合があります。

破産手続前にゴルフ会員権を譲渡したが、理事会の承認手続を得ていない場合、その譲受人から届出のあったものが破産手続中に破産債権として取り扱って良いのかについては裁判官や管財人の個別のはんだんとなります。

この点については、早めに裁判官や管財人と協議した上で、どのように処理をするかの見通しを早期に立てておく必要があるでしょう。

今回は、ゴルフ場を経営する会社が破産をする場合の特殊性について説明をしました。

ゴルフ場を経営する会社が破産する場合には、上記の点以外にも問題になる点があり、早めに対処をすることで問題点を適切にクリアすることができます。

ゴルフ場を経営する会社の破産を検討されている方はお早目にご相談されることをおすすめします。