むちうちの通院期間は?治療から示談交渉までの流れと治療中の注意点

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「むちうちの場合、どのくらい通院すればいいのか?」
「むちうちの治療が終わったら何をすべきなのか」

交通事故に遭い、むちうちになった方の中には、通院に関することで上記のような疑問や不安をお持ちの方もいると思います。

むちうちは交通事故の中でも最も多く発生する怪我の一つで、適切な治療を行わなければ痛みや痺れなどの症状が後遺症として残ってしまうリスクがあるのです。

そのため、通院については適切な期間および頻度で治療を行うことが大切であるといえます。

本記事では、むちうちの通院期間や治療から示談交渉までの流れ等について解説します。

また、むちうちの治療を行う際に注意すべきポイントについても合わせて解説しています。

本記事が適正な賠償金を獲得するための参考となれば幸いです。

1.むちうちの通院期間

むちうちの一般的な治療期間は3~6か月程度といわれています。

また、治療において通院の頻度も重要であり、週に2~3回程度の頻度で通院を行うことが一般的です。

ただし、あくまでも目安であり、治療を開始して症状固定になるまで6か月以上かかることもあれば、1か月程度で完治することもあります。

治療に関する費用については、加害者側が任意保険に加入している場合には、その保険会社が支払いを行う一括対応が行われることが一般的です。

もっとも、むちうちの場合には、治療開始から3か月が経過するタイミングで一括対応の打ち切りを打診してくることがある点には注意が必要です。

以上はあくまでも目安の期間や頻度となり、個々の症状によって治療期間が異なるため、医師の指示のもと治療を継続することが非常に大切といえます。

むちうちの際に保険会社が一括対応の打ち切りを打診する理由や打ち切りを提案されないためのポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。

2022.03.30

むちうちの治療費の支払いを3か月で打ち切ると言われたら?対処方法を弁護士が解説

2.むちうちの治療から示談交渉までの流れ

むちうちの治療から示談交渉までの流れはある程度決まっています。

主な流れは以下のとおりです。

むちうちの治療から示談交渉までの流れ

  1. 治療
  2. 後遺障害等級認定申請
  3. 示談交渉

順にご説明します。

(1)治療

まずはむちうちが完治するか又は症状固定に達するまで治療に専念することが大切です。

症状固定とは、治療を一定期間にわたって継続したのち、症状が一進一退となって、これ以上治療を継続しても医学的に症状が改善しない状態のことをいいます。

完治あるいは症状固定の判断は、治療経過などを踏まえて医師が判断する事柄です。

そのため、加害者側の保険会社から打ち切りの打診があったとしても、安易にこれに応じて治療をやめず、主治医に意見を聞いた上で保険会社に回答することが最も重要です。

(2)後遺障害等級認定申請

医師から症状固定の診断を受けた場合、残存した症状の程度に応じて後遺障害等級の認定申請を行うことが大切です。

後遺障害等級の認定を受けることで、加害者側に対して後遺障害慰謝料や逸失利益といった賠償金を追加で請求することができます。

後遺障害等級認定申請の方法は事前認定と被害者請求の2つがありますが、適切な等級の認定を受けるためには自分で提出する書類を取捨選択できる被害者請求を検討しましょう。

事前認定は、加害者側の任意保険会社に手続を依頼する方法ですが、必要書類の提出は加害者側の任意保険会社に委ねられるため、手続きが心配な方は被害者請求での申請をおすすめします。

それぞれの手続の特徴やメリット・デメリットなどについては、以下の記事もあわせてご参照ください。

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後遺障害の事前認定とは?メリット・デメリットと主な流れについて解説

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後遺障害等級認定の被害者請求とは?メリット・デメリットと主な流れを解説

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後遺障害認定のデメリットとは?申請方法別のデメリットもご紹介

(3)示談交渉

怪我が完治もしくは症状固定に達し、又は後遺障害等級認定の結果が出ると、加害者側と示談交渉をスタートします。

示談交渉では、加害者側は被害者が不利になるような主張をしてくるため、客観的な証拠を提示して、適切な過失割合や賠償金を主張することが大切です。

なお、示談交渉は何度も保険会社と連絡をとらなければならないなど、大きなストレスがかかるので、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士であれば、被害者が有利になるように示談交渉を進めることができますし、保険会社とのやりとりを一任することもできるため、症状固定に至っていない場合は怪我の治療に専念することもできます。

また、弁護士に示談交渉を依頼することで、裁判所基準で賠償金を算定できるため、賠償金の増額が期待できます。

交通事故の法的対応を弁護士に依頼するメリットや相談するタイミングなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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交通事故の対応は弁護士に依頼した方がよい?メリットや相談すべきタイミングなども解説

3.治療中の注意点

むちうちの治療中に気を付けなければならないことがいくつかあります。

主な注意点は以下のとおりです。

治療中の注意点

  1. 自己判断で治療を止めない
  2. 整骨院ではなく医療機関に通う
  3. 保険会社の提案を鵜呑みにしない

順に見ていきましょう。

(1)自己判断で治療を止めない

治療は、自己判断でやめないことが重要です。

治療をやめてしまうと、その時点で治療は終了したと判断され、症状固定となります。

これは、主治医の判断による治療終了ではないため、仮に痛みや痺れなどの症状が残存していたとしても、後遺障害等級の認定を受けられないなどの不利益を被る可能性があります。

後遺障害等級は、治療が終了した時点で症状が改善せずに残っていることが認定要件の1つです。

治療を途中やめてしまうと、症状固定の判断が正しく行えず、後遺障害等級認定を受けられません。

適正な賠償金を獲得するためにも、医師の指示に従って通院・治療を継続することが最も大切です。

(2)整骨院ではなく整形外科に通う

むちうちになった人の中には、整骨院・接骨院のみに通う人もいるかもしれません。

しかし、整骨院・接骨院の施術は医療行為ではないためこれらが治療費と認められず、保険会社に費用を請求できない可能性があることには注意が必要です。

もっとも、医師が整骨院・接骨院に通うことを許可し、これを加害者側の任意保険会社に伝えた上で通院した場合は施術費用の支払いを受けられることが多いです。

ただし、少なくとも月に1回以上はかかりつけの整形外科を受診するようにしましょう。

なお、むちうちの場合には、神経や筋肉などの異常を検査することができる整形外科を受診することがおすすめです。

むちうちの場合に整形外科を受診すべき理由などについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

2023.02.28

むちうちになったら整形外科に行くべき?行くべき理由と治療後の流れ

(3)保険会社の提案を鵜呑みにしない

治療中に加害者側の保険会社からたびたび一括対応の終了等について連絡がくることがありますが、相手方の提案を鵜呑みにしないようにしましょう。

加害者側の保険会社は治療費等の支出を抑えるために、治療を継続していても治療費の打ち切り等の打診をしてくることがあります。

治療期間中に加害者側から治療費の打ち切りを打診されても、医師が治療の継続が必要と判断すれば、応じる必要はありません。

そのため、保険会社から連絡が来てもその場で返答をせず、まずは整形外科の主治医に意見を聞くことが大切です。

相手が保険会社だからといって、全ての主張が適切とは限らないことを頭に入れておきましょう。

まとめ

交通事故によってむちうちになった場合、怪我が完治し、または症状固定に達するまで定期的に通院することが大切です。

また、通院の頻度や期間も重要であり、通院頻度が多すぎても少なすぎても賠償金が減額される可能性があるため、医師と相談の上で通院頻度を決めましょう。

完治したらすぐに示談交渉が始まりますが、症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級の認定申請を行うことを検討しましょう。

後遺障害等級の認定を受けることができれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができるようになります。

適切な等級認定を受けられるように、なるべく被害者請求で申請するのがおすすめです。

その後の示談交渉で難航する場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士法人みずきは、これまで数多くの交通事故の問題を解決してきました。

経験豊富な弁護士が親身にお話を伺いますので、交通事故の被害に遭われた方は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。