交通事故の見舞金の相場は10万円?注意点などについて

交通事故の見舞金の相場は10万円?受け取るときの注意点や対処法

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「自分の保険会社から交通事故の見舞金として10万円は妥当なのか?」
「見舞金を持っていきたいと言われたが受け取って良いのか?」

交通事故の被害に遭ってしまったとき、見舞金を渡したいといわれることがあります。

見舞金を受け取るときには注意が必要なことがあります。

本記事では、交通事故における見舞金10万円は妥当なのか、受け取る時の注意点について解説します。

1.交通事故の見舞金が10万円の相場とは?

交通事故の見舞金の相場は10万円?

交通事故の見舞金には2つの種類があります。

ひとつはご自身の保険会社から保険の契約内容に基づいて支払われる見舞金で、もうひとつは、加害者がお見舞いとして支払うものです。

前者は5万円や10万円が相場であるのに対し、後者の相場は定まっておらず金銭でないケースも見受けられます。

以下に詳細についてご説明します。

(1)保険会社から支払われる見舞金

被害者自身が搭乗者傷害保険に加入している場合、見舞金として、定額の保険金を受け取れることがあります。

搭乗者傷害保険とは、事故によって傷害を負った時に支払われる保険のことです。

治療や入院のための一時金の意味合いがあり、入院や通院が5日以上経過した場合に契約内容によって決められた定額の損害額を受け取れます。

搭乗者傷害保険は定額給付方式です。

つまり、あらかじめ契約内容に定められている金額が支払われるということです。

その算定方法は、日額方式や部位症状別払などの方式が採用されます。

日額方式 事故発生日を含めて180日以内を限度に、日額で支払われます。金額は、定められた保険金の日額×入院・通院日数で算出されます。
部位症状別払 打撲・骨折等の症状、部位・頭部・四肢・体幹等の部位にて一定日数以上入院・通院した場合に定額の金額が支払われます。

部位症状別払の場合、5万円や10万円となるケースが多いです。

なお、いつ支払われるかは、保険会社によって異なります。

(2)加害者から支払われる見舞金

加害者から支払われる見舞金は任意のもので相場はありません。

現金ではなく、フルーツや菓子折りなどのお見舞い品を渡される場合もあります。

2.10万円の見舞金を受け取る際の注意点

交通事故の見舞金を受け取るときの注意点

ここでは、交通事故の見舞金を受け取る時の注意点について解説します。

見舞金を受け取ると賠償金が減るのか気になる方は参考にしてください。

(1)搭乗者傷害保険から受領する場合

被害者が入っている搭乗者傷害保険から支払われる保険金を見舞金と呼ぶことがあります。

被害者が加入していた搭乗者傷害保険の保険金は、受け取っても賠償金が減ることはありません。

(2)加害者から受領する場合

交通事故賠償においては「損益相殺」という考え方があります。

損益相殺とは、交通事故によって被害者が何かの利益を得た場合に、その利益が損害の補填として認められ、損害から利益を差引くことです。

加害者から受け取った見舞金は、損益相殺にあたる可能性があります。

判断の分かれ目となるのは、加害者がその見舞金をどんな認識で渡したかです。

純粋に社会的儀礼として陳謝の意をこめて渡している場合は、損益相殺の対象とはなりません。

他方で、加害者が見舞金を賠償金の一部と認識して渡している場合は、損益相殺の対象となります。

そのため、加害者から見舞金を受け取る際は、加害者の意図を確認することをおすすめします。

また、あまりにも高額な見舞金は、その性質が争点となった場合、損害賠償金の一部と認定される可能性が高まります。

そのため、社会的儀礼としての見舞金である場合は、その旨を書面等にしておくことも検討すべきです。

もし加害者から見舞金を貰うことに不安を感じているのであれば、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

3.10万円の見舞金を受け取る際に知っておくべきポイント

交通事故の見舞金を受け取るときの対処法

加害者からの見舞金を受け取るのであれば、事前に知っておくべき対処法があります。

あとから不利にならないためにも、確認しておきましょう。

(1)見舞金が示談金の一部ではないことを確認する

示談交渉で不利にならないよう、見舞金が示談金の一部ではないことを確認しましょう。

「被害者は謝罪や誠意の見舞金だと思って受け取ったつもりが、加害者は損害賠償金や示談金の一部のつもりで渡した」と、あとになって主張されることは珍しくありません。

この主張が認められると、損害賠償額の合計金額から見舞金の金額が差し引かれてしまいます。

また、被害者側の主張と加害者側の主張が食い違うことで示談交渉が長引くこともあります。

スムーズに示談交渉を終え、満額の示談金を受け取るためにも、見舞金が示談金の一部ではないことを確認しましょう。

なお、お見舞いの品物は受け取っても示談金への影響はありません。

(2)お見舞いのときに示談金の交渉をしない

加害者がお見舞いに来た時に、示談金の交渉はしないようにしましょう。

一般的に、示談交渉は被害者が被った傷害が完治または症状固定となってから始めます。

入院や通院で発生する治療費を含む損害賠償の総額がいくらになるか分からないからです。

一度示談に合意すると取り消せないため注意しましょう。

4.交通事故で経済的に困ったときの解決策

交通事故で経済的に困ったときの解決策

交通事故で怪我をすると、治療によって今までどおりに生活できなくなることもあるでしょう。

肉体的・精神的に辛いだけでなく、経済的に困ることもあるかもしれません。

もし、どうしても見舞金を受け取りたいほど経済的に困っているときには、2つの解決策があります。

(1)内払金請求

内払金請求とは、加害者側の任意保険会社に対して示談前に損害賠償金の一部を請求することです。

内払いを相手方の保険会社に請求すると、請求後に1~2週間以内に損害賠償金の一部が先に支払われ、支払われた金額は最終示談額から差し引かれます。

ただし、内払金請求ができるかどうかは任意保険会社次第です。

規定が細かく決められている場合もあるため、早めに確認することをおすすめします。

(2)仮渡金請求

任意保険会社による一括対応がない場合は、自賠責保険に対して仮渡金の請求をすることができます。

仮渡金請求とは、損害が確定していない段階で請求できる前払金のようなものです。

請求できる金額は傷害の程度によって異なり、5万円、20万円、40万円(死亡の場合は290万円)と決まっています。

不備がなければ請求してから1週間程度で支払われますが、請求回数は1回のみです。

なお、支払われた仮渡金は賠償額の一部となるため、最終示談金から差引かれることになります。

もし受領した仮渡金が最終的な損害額を上回った場合は、差額を返金しなければなりません。

まとめ

本記事では、見舞金には被害者の加入している保険会社から支払われる搭乗者傷害保険としての見舞金と、加害者が任意に支払う見舞金の2種類があることと、加害者からの見舞金は、損害賠償請求の際に損益相殺の対象となる可能性があるため、加害者がどのような意図でその見舞金を支払っているのかに注意が必要だという点についてご説明しました。

怪我の治療や日々の生活で精一杯の被害者の方の中には、加害者がどのような意図で行動しているのかがわからず、加害者との対応にストレスを感じる方も少なくありません。

弁護士に依頼した場合は、対外的なリスクヘッジをしつつ日々の生活に専念していただくことができます。

是非一度ご相談ください。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

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