交通事故に遭って相手の保険会社がわからない場合の対処法

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「交通事故の相手の保険会社がわからないときは、どこに連絡したらいいのか」
「交通事故の相手の保険会社を調べるにはどうしたらいいのか」

交通事故の被害に遭った方で、相手の保険会社がわからずに困っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、加害者が加入している保険会社がわからないときの対処法やわかったときにすべきことについてご紹介します。

1.相手の保険会社がわからない時、どうすべきか

加害者の加入している保険会社がわからないときの対処法

加害者の加入している保険会社がわからない場合に、これを調べる方法はあります。

方法として考えられるのは以下の2点です。

 

ここにタイトル

  1. 交通事故証明書を確認する
  2. 弁護士を通して23条照会(弁護士会照会)を行う

 

加害者が加入保険会社の情報を開示しない場合は、これらの方法をとってみましょう。

(1)交通事故証明書を確認する

交通事故証明書を確認することで、加害者が加入している自賠責保険会社を把握することができます。

交通事故証明書は自動車安全運転センターが発行しているもので、事故の日時、場所、事故当事者の住所氏名や加入している自賠責保険会社、車両のナンバーが記載されています。

事故の当事者であれば、自動車安全運転センターに請求することで発行してもらうことができます。

怪我等の身体に生じた損害(人身損害)については、加害者の自賠責保険会社に被害者請求をすることで、治療費等を回収することができます。

(2)弁護士を通して23条照会(弁護士会照会)を行う

加害者が加入している任意保険会社が分からない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼し、一般社団法人日本損害保険協会、一般社団法人日本共済協会などの団体に対して弁護士会を通した23条照会を行うことにより、各協会が加盟している保険会社、組合等へ照会してくれ、加害者が加入している任意保険会社を知ることが可能です。

加害者が保険会社を教えてくれない場合は、当事者同士ではなかなか解決に結びつきにくいため、弁護士に相談することをおすすめします。

2.相手の保険会社が判明した場合の対応方法

相手の保険会社が分かったときにすべきこと

相手の保険会社が分かったら、被害者自ら交通事故に遭ったことを連絡しましょう。

交通事故が発生した場合、基本的には加害者の方で加入している保険会社に連絡することになります。

しかし、加入している保険会社を教えてくれないような加害者であれば、自ら連絡する可能性は低いでしょう。

その場合、いつまで待っても加害者側の保険会社から連絡が来ることはないでしょうから、被害者の方から事故の発生の報告をすることになります。

任意保険会社の方から加害者に確認し、保険の利用を促してくれる可能性があります。

3.交通事故の加害者と交渉における3つの注意点

交通事故直後の加害者との交渉時の注意点

加入している保険会社を教えてくれない加害者と直接交渉する際は、真摯な対応はあまり期待できないので、より注意しなければなりません。

特に以下の3つは意識しておくことが大切です。

 

3つの注意点

  1. 警察に必ず連絡する
  2. その場で示談交渉に応じない
  3. 加害者の個人情報を記録する

 

交渉次第では、被害者が不利になる場合があるので、これらのポイントは必ず押さえておきましょう。

(1)警察に必ず連絡する

交通事故の被害に遭ったら、必ず警察に連絡しましょう。

警察への連絡も加害者が行うのが一般的ですが、加害者が大事にするのを避けたがる場合、警察への連絡を控えるようにお願いしてくる場合があります。

警察に連絡しなければ、交通事故証明書を発行してもらえず、事故があったこと自体の証拠もなくなる可能性があります。

事故があったこと自体を証明できなければ、治療費や慰謝料等を請求できなくなってしまいますし、交通事故を起こした場合には警察への通報義務もありますから、ためらわず、警察へ通報するようにしましょう。

なお、加害者によっては事故を起こしたことに気が動転しているケースもあるので、その場合も被害者が警察に連絡することをおすすめします。

(2)その場で示談交渉に応じない

加害者がその場で示談交渉をしてきたとしても、応じないようにしましょう。

示談が成立したとされてしまうと、後から変更することはできません。

事故直後は特に異常がないように思えても、数日経過した後に症状が明らかになってくることも十分考えられます。

示談が成立し待っていると、治療が必要になった場合でも、加害者に対してそれ以上治療費や慰謝料を請求することができなくなってしまいます。

安易に事故直後に示談に応じてしまうのは避けた方が無難です。

事故後はどのように状況が変わるか分からないため、治療が一段落するまで示談に応じないことをおすすめします。

(3)加害者の個人情報を記録する

加害者の保険会社がわからない、あるいは、加害者が任意保険に加入していないという場合、後日役に立つことがあるため、加害者の個人情報を聞き出して記録しておけると有用なことがあります。

記録しておくとのちのち役に立つ情報は以下のとおりです。

  • 名前
  • 現住所
  • 電話番号
  • 加害車両の登録ナンバー
  • (加害者が業務中の場合)勤務先と雇主の住所、氏名、連絡先

これらの情報を押さえておけば、後日加害者へ請求をする際などに役立ちます。

手書きメモでも問題ありませんが、可能であれば、免許証や車検証を写真に収めておくことをおすすめします。

まとめ

交通事故による怪我等の治療費や慰謝料を請求するためには、加害者が加入している保険会社を把握できると有用です。

保険会社を聞き忘れた場合や加害者が教えてくれない場合は、交通事故証明書を確認したり弁護士に相談したりすることで知ることが可能です。

加害者の保険会社が分かったときは、なるべく早く連絡して交通事故があった事実を伝えて、示談交渉に移りましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。