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交通事故で労災保険を利用するデメリットは?メリットや利用を検討すべきケースについても解説

執筆者 潮崎 雅士 弁護士

所属 第二東京弁護士会

初動が大事。様々なことに当てはまりますが、法律問題もそうです。しかし、今まで法律問題に関わったことがなく、どうすればよいかわからない方が多いと思います。そうして初動が遅れると、最良の解決は難しくなってしまいます。
逆に相談が早ければ早いほど、より良い解決がしやすくなります。ですので、何かお困りのことがあれば、お早めにご相談ください。皆様の法律問題の最良の解決に向けて全力でサポートさせていただきます。

「交通事故で労災保険を使うべきなのか」
「交通事故で労災保険を利用するデメリットは何なのか」

交通事故に遭った方の中には、労災保険の利用について、このような疑問や不安をお持ちの方もいると思います。

交通事故によって発生した損害については、自賠責保険や加害者が加入している任意保険から賠償を受けることが可能です。

そして、交通事故の被害者は、どの保険を利用して損害の補填を受けるのかについて、自由に選択することができます。

もっとも、交通事故が仕事中や通勤中に発生したものである場合には、労災保険に対して損害の補填を請求する選択肢もあります。

労災保険を利用することで、さまざまな支給金を受け取ることができるものの、いくつかのデメリットや注意点があるのでしっかり押さえておきましょう。

本記事では、交通事故で労災保険を利用するデメリットや注意点などについて解説します。

また、労災保険を利用することによるメリットや利用を検討すべきケースなどについてもあわせてご説明します。

なお、労災保険の概要や適用の要件、補償内容については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

2022.10.31

交通事故で労災保険は使える?労災を使うメリット・デメリット

本記事のポイント

  1. 交通事故において労災保険を利用するデメリットには、健康保険を利用できないことと手続の煩雑さにある
  2. 労災保険から受け取ることができる保険金には、支給上限額がないことや過失割合の影響を受けずに全額の支払を受けることができるなどのメリットの方が多い
  3. 弁護士に相談することで、労災保険が適用されるかどうかについて説明を受けることができ、交通事故の賠償問題についてもアドバイスを受けることができる

1.交通事故に遭った場合に労災保険を利用するデメリット

結論から述べると、交通事故に遭った際に労災保険を利用するに当たって、大きなデメリットはありません。

強いて挙げるならば、以下のようなデメリットがあります。

交通事故に遭った際に労災保険を利用するデメリット

  1. 健康保険の利用ができないため、健康保険利用後の労災切替の手続きが煩雑
  2. 手間がかかる

順にご説明します。

(1)健康保険の利用ができないため、健康保険利用後の労災切替の手続きが煩雑

労災保険を利用する場合、原則として健康保険を利用することはできません。

労災保険を利用する前に健康保険を利用して通院をしていた場合、自己負担分に加えて健康保険機関の負担分を自身で支払い、改めて労災の申請をする必要があります。

そのため、労災を利用する場合には、健康保険は利用しないようにしましょう。

(2)手間がかかる

労災保険を利用するためには、労働基準監督署に対して必要書類を提出する必要があります。

必要書類は会社からもらうことができますが、それに必要事項を記載して提出する必要があるため、多少手間がかかってしまいます。

しかし、その手間を補って余りあるメリットがあるため、利用すべきです。

2.交通事故に遭った場合に労災保険を利用するメリット

仕事中に交通事故に遭った場合、労災保険を利用することで、上記のようなデメリットや注意点があります。

一方で、労災保険を利用することには、メリットの方が多いことを押さえておきましょう。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

交通事故に遭った場合に労災保険を利用するメリット

  1. 支給金額に上限がない
  2. 支給金額は過失割合の影響を受けない
  3. 特別支給金を受け取ることができる

順に解説します。

(1)支給金額に上限がない

労災保険から支給される補償には、支給上限額が設けられていません。

これに対して、自賠責保険では支払額の上限が定められており、損害の内容によって以下の金額までしか支払を受けることができないようになっています。

損害の種類 支払上限額
傷害に関する損害 120万円
後遺障害に関する損害 75万円~4000万円
※認定される後遺障害等級ごとに異なる
死亡に関する損害 3000万円

そのため、自賠責保険による支払上限額を超えて損害が発生している場合には、別途加害者側に請求を行う必要があります。

また、任意保険会社も治療費の支払いを打ち切られることがあるため、十分な治療を受けられない可能性があります。

しかし、労災保険の給付金には支払上限額がなく、治療費の支払を打ち切られることもないため、十分な治療を受けた上で全額について補償を受けることができます。

(2)支給金額は過失割合の影響を受けない

労災保険による支給金額は、過失割合の影響を受けないようになっています。

交通事故による損害賠償金は、過失相殺によって発生した全額について受け取ることができるとは限りません。

過失相殺とは、事故の当事者に認められた責任(過失)の割合によって、最終的に受け取ることができる賠償金の額が変動する処理をいいます。

自賠責保険から支給を受ける際には、被害者に7割以上の過失が認められてしまうと、一定の割合で減額されてしまいます。

また、加害者側の保険会社から受け取ることができる示談金は被害者の過失が7割未満であっても過失割合に応じて減額されるため、被害者に高い過失割合が認められるほど示談金も大幅に減ってしまうのです。

これに対して、労災保険から支給される補償は、過失割合によって金額が調整されることはありません。

そのため、被害者の過失割合に関わらず、全額を受け取ることができます。

なお、過失割合の決め方や注意点などについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

2023.08.30

過失割合は誰が決める?過失割合が決まるまでの流れと話合いのポイント

(3)特別支給金を受け取ることができる

労災保険には、交通事故によって生じた損害の補填を受けることができるほか、特別支給金と呼ばれる補償を受けることも可能です。

具体的には、以下のような項目がこれにあたります。

特別支給金の項目

  • 休業特別支給金
  • 傷病特別支給金
  • 障害特別支給金
  • 遺族特別支給金

これらについては、労働者の社会復帰を促進することを目的に支給されるもので、労災保険独自の補償です。

通常、休業損害と休業補償のように、支給の目的が共通しているものについては、重ねて支払を受けることはできず、金額の調整が行われます。

しかし、これらの補償は、自賠責保険や任意保険では支払われることがない項目であるため、支給調整が行われずに全額を受け取ることができるのです。

そのため、自賠責保険や任意保険からすでに支払を受けている場合でも、労災保険を利用することで、特別支給金については全額が上乗せされて支給を受けることができます。

3.交通事故における労災保険の利用について弁護士に相談するメリット

交通事故において、労災保険から補償を受ける場合には、さまざまなメリットやデメリットがあります。

しかし、労災保険は仕事や通勤中のすべての事故で適用されるわけではありません。

また、交通事故の賠償問題については、専門的な知識や実務経験が要求されることも多いため、被害者ご自身で対応を進めることには困難が伴います。

そのため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。

交通事故における労災保険の利用について弁護士に相談するメリット

  1. 労災保険が適用されるかどうかについて説明やアドバイスを受けられる
  2. 労災申請の手続を依頼できる
  3. 慰謝料の請求に関する手続を一任できる

順にご説明します。

(1)労災保険が適用されるかどうかについて説明やアドバイスを受けられる

弁護士から労災保険が適用されるかどうかの説明やアドバイスを受けることが可能です。

労災保険を利用するためには、事前に労働基準監督署へ申請を行い、労災として認定される必要があります。

先ほども触れたように、仕事中や通勤中に生じた事故のすべてが労災として認定されるわけではありません。

しかし、どのような場合に労災として認定される可能性があり、補償を受けることができるのかについては、専門知識などがなければ正確に判断することは困難です。

そこで、弁護士に相談することで、ご自身の事故に労災保険が適用される可能性があるのかどうかについて説明を受けることができます。

また、労災保険から補償を受けることができない場合であっても、加害者側への対応や賠償問題に関するアドバイスを受けることも可能です。

(2)労災申請の手続を依頼できる

労災申請の手続を弁護士に依頼することが可能です。

労災申請の手続は複雑であり、被害者ご自身で申請の対応を行うことは困難が伴います。

特に必要書類の作成や取り寄せなどは、怪我の治療を行いながら進めることは身体的にも精神的にも大きな負担となる可能性が高いです。

弁護士に相談の上で、労災に認定される可能性がある場合に、申請手続を依頼することで、申請にかかるストレスから解放され、怪我の治療などに専念することができます。

(3)慰謝料の請求に関する手続を一任できる

弁護士に慰謝料の請求に関する手続も一任できます。

労災保険から慰謝料を受け取ることはできません。

慰謝料を受け取るためには、労災申請の手続とは別に、加害者本人や加害者側の任意保険会社に対して請求を行うことになります。

被害者ご自身が行うこともできますが、加害者側との示談交渉は、労災申請の手続以上に負担が大きいです。

また、弁護士が入ることで慰謝料額が増額することが多いです。

そのため、弁護士に相談し、慰謝料の請求に関する手続を一任することで、負担なくスムーズに慰謝料を受け取ることができる上、慰謝料の増額が望めます。

まとめ

交通事故に遭った場合には、要件を満たすことで労災保険から補償を受けることも可能です。

もっとも、どのような場合に労災保険が適用されるのかを判断することは難しい場合もあります。

また、交通事故の賠償問題にはさまざまな注意点もあるため、労災保険の申請の可否も含めて、まずは弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、交通事故に遭い、労災保険が適用されるかどうかについてお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 潮崎 雅士 弁護士

所属 第二東京弁護士会

初動が大事。様々なことに当てはまりますが、法律問題もそうです。しかし、今まで法律問題に関わったことがなく、どうすればよいかわからない方が多いと思います。そうして初動が遅れると、最良の解決は難しくなってしまいます。
逆に相談が早ければ早いほど、より良い解決がしやすくなります。ですので、何かお困りのことがあれば、お早めにご相談ください。皆様の法律問題の最良の解決に向けて全力でサポートさせていただきます。

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