交通事故の示談を早く終わらせたい場合は?交渉期間の目安も解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「交通事故の示談交渉を早く終わらせたいけど、どうしたらよいの?」
「示談交渉にはどれくらいかかるの?」

交通事故の示談交渉は早く終わらせて、示談金を受け取りたいと思う方も多いでしょう。

ただ、示談交渉は早く終わればよいというものではありません。

早く交渉を成立させるために治療期間を短縮したり、相手方の提案をそのまま受け入れたりしてしまうと、本来受け取れるはずだった金額よりも低い金額しか受け取れないこともあります。

弁護士のサポートを受ければ大きな妥協をすることなく、示談交渉をスムーズに終わらせることが可能です。

本記事では、示談交渉が成立するまでにかかるおおよその期間、示談を早く終わらせるポイント、示談交渉で注意すべきポイントについて解説します。

1.交通事故の示談にかかる期間の目安について

交通事故後に保険会社との示談交渉が成立すると、示談書の取り交わしを行うことになります。

この示談書に署名捺印して保険会社に返送すると、1~2週間後に損害賠償金が支払われるのが一般的な流れです。

示談交渉が完了するまでの期間は、交通事故が人的損害か、物的損害か、人的損害の中でも被害の程度によって差が出てきます。

ここでは、示談のおおまかな流れと交渉期間の目安についてご説明します。

(1)事故発生から損害賠償金支払までの流れ

交通事故が発生したあと、全ての損害が確定してから示談交渉は始まります。

その後、示談交渉が成立し、実際に損害賠償金が支払われるまでの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 交通事故の発生
  2. 警察に通報、保険会社に連絡
  3. 保険会社による聞き取り
  4. 怪我の治療・症状固定(人身事故の場合)
  5. 後遺障害等級認定の申請・認定結果の連絡(人身事故の場合)
  6. 損害の確定、示談交渉開始
  7. 示談成立、示談書・免責証書の取り交わし
  8. 損害賠償金の支払

続いては、示談までの期間をケース別に解説するので、参考にしてください。

(2)人的損害のケース

人的損害(人身事故)のうち、傷害のみにとどまった場合は、治療終了の時から示談成立まで、2か月~半年程度かかるのがおおよその目安です。

怪我をした場合は治療が終了するまで損害が確定しません。

そのため、治療が終了してから示談交渉を進めることになります。

後遺障害がない場合は交渉を残すだけですので、治療終了から2~3か月が示談終了までの目安です。

後遺障害がある場合、等級認定の申請をすることになり、その分だけ時間がかかりますので、治療終了から半年程度が示談終了までの目安になります。

一方、死亡に至った場合は、事故発生時から示談成立までに3~8か月程度かかることになります。

死亡事故の場合、損害額が高額になる傾向にあり、示談交渉だけで時間がかかるためです。

人身事故は物損事故に比べて、示談交渉が長引く傾向にあります。

傷害事故のうち軽症の場合の示談金の目安について下記の記事で詳しくまとめておりますので、ご覧ください。

交通事故で軽症の場合の示談金や慰謝料の相場は?損しない方法を解説

(3)物的損害のケース

物損事故により物的損害が出ると、事故発生から示談成立までに2か月程度かかる場合が多いです。

車の修理や買替えなど、損害額が確定するための時間がかからず、また、ほとんどの場合、損害額が高額になることもなく示談交渉が長引くことがないためです。

ただし、過失割合や評価損などの争いが生じた場合はその限りではありません。

2.交通事故の示談交渉を早く終わらせたい時は弁護士に相談

示談交渉は弁護士に任せたほうがスムーズに進みます。

また、ご自身で進めるより弁護士に任せた方が、適正な過失割合での解決を図れる可能性があります。

たとえば、過失割合が9対1や8対2など1割違うだけで、もらえる示談金の額は大きく異なるのです。

被害者にとってより有利な過失割合であれば、示談金もその分多くもらえるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

3.交通事故の示談金の一部だけ先に受け取る3つの方法

交通事故の示談が長引くと、交渉が成立して実際に示談金を受け取るまでに時間がかかってしまいます。

被害者は治療費の支払等による大きな出費に負担を感じることもあるでしょう。

ここでは、交通事故の示談金の一部を先に受け取れる3つの方法をご紹介します。

(1)加害者側の任意保険会社に「内払金」を請求

示談が成立する前に示談金の一部を先払いしてもらうために、加害者が加入している任意保険会社に内払金を請求できる方法があります。

たとえば、治療費や休業損害を内払金として支払ってもらうケースが多いです。

しかし、内払金を請求したからといって保険会社が必ず支払ってくれるわけではありません。

内払は保険会社の任意サービスであり、義務ではないためです。

また、最終的に受け取る示談金から内払金が差し引かれる点に注意が必要です。

(2)加害者側の自賠責保険会社に「仮渡金」を請求

示談成立前に、加害者側が加入している自賠責保険会社に仮渡金を請求できます(自動車損害賠償法17条)。

ただし、仮渡金は被害者の状態によって下記のとおり限度額が定められています。

  • 死亡事故は290万円
  • 傷害事故は5万円、20万円、40万円

被害者は仮渡金を受け取って、治療費等まとまった金額を支払うことができるため、安心して治療に専念できるでしょう。

内払金と同様、仮渡金も最終的に支払われる示談金から差し引かれる点に注意してください。

(3)加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求」

(2)の仮渡金のほかにも、資料をそろえて、自賠責保険会社に保険金の支払を請求することも可能です(「被害者請求」といいます。)。

被害者請求をすると少なくとも自賠責保険から支払われるべき分は示談成立より早く受け取れるため、示談交渉が長引いていても精神的な安心につながります。

4.交通事故後の示談交渉はタイミングに気をつける

示談交渉は、一度成立すると原則として撤回できません。

そのため、安易に示談交渉に応じるのは控えましょう。

さらに、交通事故が起きたその場で示談交渉するのは禁物です。

あとから怪我の症状が出てくることがあったり、加害者側の約束がきちんと履行されなかったりした場合に、事故の発生を客観的に証明する手段がなくなってしまうからです。

示談交渉を早く終わらせるということは、結果的に妥協することにもなりかねません。

弁護士のサポートを得つつ、まずは治療にしっかり専念することが大切です。

交通事故の現場で示談交渉してしまうことのリスクについては、下記の記事を参考にしてください。

交通事故の報告を後日警察に届け出るとどうなる?そのリスクについて解説

まとめ

交通事故の示談交渉を早く終わらせ、精神的に楽になりたいと思うのは当然のことです。

しかし、妥協して早く終わらせることが必ずしもよいとは限りません。

示談交渉がなかなか進まず不安になったり、早く終わらせたかったりする場合には弁護士に相談することをおすすめします。

示談交渉の専門家である弁護士は専門的な知識を生かし、交渉をスムーズに進めてくれます。

弁護士に交渉を任せ、示談交渉を有利に進めてもらいましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

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