交通事故の報告を後日にするとどうなる?示談交渉時のリスクについて

交通事故の報告を後日警察に届け出るとどうなる?そのリスクについて解説

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「交通事故でどこも怪我をしていないようだったので、警察に届け出なかったけど本当に大丈夫?」
「事故の相手方にその場で示談を求められたけど、応じてしまってよいの?」

交通事故に遭った時、大したことがないからといって警察に届け出なかった方もいるかもしれません。

しかし、このような考え方は禁物です。

たとえ軽傷や無傷であっても、必ずその場で警察に届け出ましょう。

本記事では、交通事故の処理は後日ではなくその場ですべき理由と後日警察に届け出る場合の注意点についてご説明します。

1.交通事故の処理をその場ですべき理由

1.交通事故の処理は後日ではなくその場ですべき理由

交通事故が起きた時、大した怪我でないためお互いに大事にしたくないということもあるかもしれません。

そういった場合でも、警察には必ずその場で届け出ましょう。

ここでは、交通事故の処理をその場ですべき理由についてご説明します。

(1)車による交通事故の届出は法律上の義務

車の交通事故の場合、警察に報告する義務が道路交通法で定められています。

警察への報告義務は、「当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員」にもあるとされています。

つまり、被害者と加害者いずれもこの義務を負っているのです(道路交通法第72条1項)。

また、報告義務を果たさなかった場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される可能性があります(道路交通法第119条)。

ちなみに、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金は、この他にも信号に従わなかったり、追越し禁止の場所で追越しをしたりした場合にも科されるものです。

(2)交通事故証明書や実況見分調書がもらえない

交通事故後に警察に通報すると、交通事故証明書が作成されます。

これは、警察が、事故の発生を証明するものですから、通報がなかった場合「事故があったかどうか」から争いが生じてしまう可能性があります。

また、人身事故として警察に届けた場合、実況見分調書が作成されます。

これは、事故当事者が事故現場においてどのような事故だったかを説明したものを、警察が記録として残すものです。

事故態様や過失割合で争いとなった場合、この実況見分調書が重要な証拠となることがあります。

交通事故の通報がそもそも行われないと、これらの警察作成書類を取得することができなくなり、その後の賠償請求に大きな不利益が生じる可能性があります。

2.後日に警察に届け出ることの可否と対処法

2.交通事故の後日に痛みが出た場合は警察に届け出ることができる?

交通事故当時は怪我がないように思われても、むち打ちなどの症状が数日後に出てくる場合もあります。

もし、事故当時に警察に届け出なかった場合は、速やかに警察に届け出ましょう。

(1)交通事故の後日でも警察に届け出ることは可能

後日、警察へ届け出ることも可能です。

もっとも、時間が経てば経つほど因果関係を証明できなかったり、事故現場の傷跡が薄れて過失認定ができなかったりします。

また、後日届け出る場合は、相手の連絡先や事故の起きた場所などが必要になるので、できるだけ早く届け出た方がよいです。

(2)弁護士に相談

事故直後に警察に事故の報告をせず、時間が経過してしまってもそのまま泣き寝入りする必要はありません。

何から始めたらよいのか分からない場合は、まずは弁護士に相談してみましょう。

警察への連絡や、加害者の保険会社との示談交渉についても、適切なアドバイスを受けることができます。

交渉は弁護士によるサポートを受け、ご自身は治療に専念されることをおすすめします。

交通事故の相談については、以下も合わせてご参照ください。

交通事故の相談なら!被害者に寄り添う弁護士法人みずきへ

3.交通事故の直後に行うべき対応

3.交通事故が起きたらすべき対応

交通事故に遭ったら、まずはお互いの怪我の状況を確認しつつ、警察に通報しましょう。

警察が来るまでの間、負傷者がいる場合には救護をし、また交通の往来の危険がある場合には危険防止のための措置をとる必要があります。

賠償請求などを行っていくため、相手方の氏名や連絡先を確認しておくべきですが、事故直後の当事者同士は諍いが生じやすいです。

そのため、警察が到着した後に仲立ちをしてもらって確認しあったほうがスムーズです。

そして、警察が到着してからは、事情聴取や実況見分への協力に応じることになります。

4.警察を呼ばずに示談交渉するリスク

4.交通事故で警察を呼ばずに示談交渉するリスク

交通事故に遭い、怪我や物の傷の程度が小さい場合には、加害者からその場で示談を申し込まれる可能性があります。

しかし、その場で相手方と示談交渉をしてはなりません。

なぜなら、事故直後は状況が分からず、真意から有効な示談を締結することも、それを証拠として残すことも困難だからです。

警察を呼ばずにその場で示談交渉に応じる一番のリスクは、後日に争いとなった場合、事故の発生を証明する手段がなくなるということです。

たとえば、「3日後に100万円支払うから、警察は呼ばずにこの場で示談してくれ」と言われたとして、支払いを受けられなかったときに、「そんな事故は知らない」と言われる可能性があります。

このような場合、警察による事故処理を経ていない以上、事故の存在や相手の賠償義務の立証がとても難しくなってしまいます。

また、怪我はないと思って修理金額相当分をその場で支払ってもらって示談した場合、後から怪我の症状が出てきたとしても一度示談が成立している以上、怪我の治療費等の賠償を受けることができなくなるかもしれません。

このように、事故直後のその場での示談交渉にはリスクがいくつもあります。

まずは警察を呼ぶようにしましょう。

まとめ

交通事故に遭った場合、その場で警察に通報しなければなりません。

警察に事故の報告をしなければ、交通事故証明書が作成されず、後々争いが生じるかもしれません。

また、過失割合の争いがあったとしても、実況見分調書の取得もできず過失割合の主張も難しくなります。

何よりも事故当時は怪我がないように思われても、数日後にむち打ちなどの症状が出ることがあります。

その場合は、治療が必要です。

加害者側に損害賠償金を請求できなければ、治療費も全て自腹になってしまいますので、注意しましょう。

もし、その場で警察に届け出ることができなかったとしても、速やかに届け出ることをおすすめします。

どう対応してよいのか分からずお困りの場合は、まずは弁護士に相談してみましょう。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
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皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。