黒字倒産とは?回避するためのポイントや資金繰りが改善しない場合の対処法
「黒字倒産とはどのような状態のことか」
「黒字倒産にならないための対処法について知りたい」
会社、法人の代表者の中には、このような疑問をお持ちの方もいると思います。
さまざまな理由から資金繰りが悪化し、事業を継続することができなくなった場合、法人破産の手続を行って、法人の負債や財産を清算することが選択肢となります。
法人が事業を行うことができなくなる主な原因には、収益を支出が上回ってしまう赤字が挙げられます。
しかし、赤字以外の原因によって事業の継続が困難になるケースもあり、それが黒字倒産と呼ばれるものです。
本記事では、黒字倒産の概要や回避するためのポイントなどについて解説します。
1.黒字倒産の概要

黒字倒産とは、会計上では収益が支出を上回っているにも関わらず、手元に現金が不足することで事業の継続が困難になる状態をいいます。
これは、キャッシュフローの流れに問題が生じることで引き起こされます。
例えば、売掛金による取引では、企業が商品などを販売して会計上で売上を計上したとしても、実際に代金が入金されるのは翌月末などのあらかじめ定められた先の期日となります。
そのため、売掛金を回収するまでの間に借入れの返済や運転資金を調達する必要性が生じた場合、手元の現金が不足してしまう事態に陥ってしまうのです。
また、商品などの余剰在庫も黒字倒産を引き起こすきっかけになることがあります。
これは、商品などは販売されることで現金化されるものの、それまでの間は在庫として管理する必要があり、その管理コストがかかることに理由があります。
特に過剰なほどの商品在庫を抱えている場合には、その分だけ管理コストもかさみ、キャッシュフローを圧迫することもあるため、注意が必要です。
また、商品を仕入れなどによって入手している場合には、在庫の有無に関わらず仕入代金の支払が発生します。
そのため、在庫が現金化できていないケースでは手元の現金が底をついてしまうこともあるのです。
これによって仕入代金や借入れなどを返済することができなければ、事業を継続することが困難となり、黒字倒産に陥るリスクが高まります。
そのため、適切な管理を行って手元に現金を確保することが重要です。
2.黒字倒産を回避するためのポイント

上記のような理由によって手元に現金が不足してしている状態で、借入れや融資の返済期日が重なってしまうとその支払いができなくなってしまいます。
金融機関から融資を受けるなどすぐに資金を調達することができれば大きな問題とはならないものの、支払いが滞った状態が長く続く場合には、督促や取立てを受けたり、訴訟を提起されてしまうなどの法的リスクも高まることに注意が必要です。
もっとも、黒字倒産と呼ばれる状況は、キャッシュフローの悪化によって引き起こされることが多いことから、まずはキャッシュフローを改善することが重要となります。
具体的には、以下のような対応を行うことで、改善することができるケースがあります。
- 売掛金を早期に回収する
- 在庫を適正に管理する
- 返済スケジュールの把握と管理を徹底する
順にご説明します。
(1)売掛金を早期に回収する
取引が成立して売上が計上されたとしても、実際に代金が入金されなければ運転資金の確保ができません。
未回収の売掛金があれば、なるべく早期に回収を行いましょう。
手元に現金が入ることで資金繰りを改善でき、黒字倒産を回避することができます。
従来の売掛金の支払期日を早めて入金を受けるためには売掛先との間で支払条件などの見直しを交渉することが必要です。
なお、売掛金を現金化する手段としては、ファクタリングと呼ばれる方法もあります。
これは、第三者に売掛金債権を売却して現金に換えるものですが、手数料を差し引かれるため、債権の全額が手元に入るわけではありません。
そのため、繰り返しファクタリングを利用することで、手元に実際に残る金額は小さくなっていき、さらに資金繰りが悪化するリスクが高まるため、安易に利用しないことが重要です。
ファクタリングが資金繰りに及ぼす影響などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
(2)在庫を適正に管理する
大量の在庫を抱えている場合には、売上につながらず、管理コストなどもかかることになります。
これによってキャッシュフローが悪化している場合には、商品の在庫管理を適正化することも有効です。
過剰な在庫を減らし、必要な分だけ在庫を管理することで、管理コストの固定を防ぐ効果が期待できます。
また、商品を仕入れによって確保している場合には、適正な量で仕入れを行うことで、仕入れに関するコストを削減することも可能です。
これによって、キャッシュフローを改善させ、黒字倒産を回避することにつながります。
(3)返済スケジュールの把握と管理を徹底する
買掛金や融資の返済期日を厳格に把握して管理しておくことも大切です。
いつまでにどのくらいの金額を返済する必要があるのかについて事前に押さえておくことで、売掛金の回収についても期限を管理しながら適切に行っていくことにつながります。
これによって、資金ショートが生じることを防ぎ、黒字倒産へと至ってしまうリスクを抑えることが可能です。
もし、このような対応を行ったとしても、資金繰りが改善せず、今後の運転資金の確保にめどが立たないことがあります。
そのような場合には、手元の現金や資産が底をついてしまう前に法人破産の手続を行うことも検討しましょう。
3.法人破産について弁護士に相談するメリット

売掛金の早期現金化や在庫の適正管理などによってもキャッシュフローが改善せず、今後の運転資金の確保に目処が立たない場合には、法人破産を行うことも視野に入れましょう。
法人破産とは、会社、法人の財産をすべて換価し、債権者に配当を行った上で法人格を消滅させる手続です。
最終的には会社の法人格が消滅してしまうため、すべての負債の返済から免れることができ、資金繰りに悩む必要もなくなります。
もっとも、法人破産の手続きは裁判所に申立を行って進行を図る厳格な手続であるため、さまざまな注意点や押さえるべきポイントがあります。
そのため、法人破産を行うことを検討する場合には、まずは弁護士に相談して手続の内容や流れ、注意点などについて説明を受けることが大切です。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 法人破産を行うことが適しているかアドバイスを受けることができる
- 手続の準備を任せたり、サポートを受けることができる
- 裁判所や債権者への対応を一任できる
- 予納金を抑えて手続を行うことができる可能性がある
順にご説明します。
(1)法人破産を行うことが適しているかアドバイスを受けることができる
弁護士に相談することで、法人破産を行うことが会社の状況に照らして適しているのか説明やアドバイスを受けることが可能です。
法人破産は法律上に定められた制度であるため、手続を申し立てるための要件が定められています。
もっとも、専門知識や実務経験がなければ要件を満たしているかどうかを正確に判断することは困難な場合もあります。
弁護士に相談することで、法人破産を行うことができるか説明を受けることができます。
法人破産を行うための要件については、以下の記事が参考になります。
また、法人の債務を整理する方法については、以下の記事もご覧ください。
(2)手続の準備を任せたり、サポートを受けることができる
弁護士に法人破産の手続を依頼すると、手続の準備を任せたり、サポートを受けることが可能です。
裁判所に法人破産を申し立てる際には、必要書類を作成したり、添付資料を収集して提出する必要があります。
しかし、書類や資料を不足なく提出するためには、専門知識が必要なことも少なくありません。
また、書類や資料に不備や不足がある場合には、手続全体が遅延するだけでなく、申立てを棄却される可能性もあります。
書類作成や資料収集について弁護士に任せたり、サポートを受けることで、そのようなリスクを回避して手続を進めることが可能です。
法人破産を申し立てる際に必要となる書類や資料については、以下の記事も参考になります。
(3)裁判所や債権者への対応を一任できる
法人破産の手続の中では、裁判所や債権者への対応が必要となることがあります。
例えば、裁判所から資料を追加で提出することを求められた場合、会社の代表者はこれに速やかに応じる必要があります。
また、債権者集会の期日では、債権者から質疑があった場合、代表者はこれに回答する義務があるのです。
もし、弁護士に依頼をしないで進める場合、どのように対応を行えばよいのかが分からずに精神的な負担となることもあります。
弁護士に手続を依頼することで、裁判所や債権者への対応を一任することができ、負担の軽減を図ることができます。
(4)予納金を抑えて手続を行うことができる可能性がある
弁護士に手続を依頼することで、裁判所に納める予納金の金額を抑えて手続を行うことができる可能性があります。
法人破産を行う際には、裁判所に対して予納金という費用を納付する必要があります。
予納金は、負債額や債権者の数によって具体的な金額が異なります。
そのため、予納金を捻出できないほど資金繰りが悪化している場合には、法人破産の手続を行うことすら困難となります。
しかし、弁護士に手続を依頼することで、少額管財事件という手続に振り分けられ、予納金の金額を抑えることができる可能性が高まります。
この少額管財事件とは、定型的な処理を行うことができる事案について、手続を簡略化して運用する制度であり、予納金は20万円程度となることが一般的です。
少額管財事件として処理されるための要件には、弁護士が代理人として手続を進めることが挙げられているため、弁護士に手続を依頼することで予納金の負担を低く抑えることができる可能性があります。
なお、少額管財事件の概要や振り分けられるための要件などについては、以下の記事もご覧ください。
まとめ
本記事では、黒字倒産の概要や黒字倒産を回避するための対処法などについて解説しました。
黒字倒産は、キャッシュフローの悪化によって、手元の運転資金が底をついてしまうことで生じます。
一時的な資金ショートであれば、売掛金の回収や返済スケジュールの把握などによって黒字倒産を回避することが可能です。
もっとも、それらの対応を行っても、どうしても資金繰りが改善しない場合には、法人破産を行うことも検討しましょう。
法人破産にはさまざまな注意点があるため、まずは弁護士に相談した上で今後の見通しについて説明を受けることが重要です。
弁護士法人みずきでは、これまでに数多くの法人破産の手続に対応してきました。
経験豊富な弁護士が丁寧にお話を伺いますので、法人破産の申立てをご検討の方はお気軽にご相談ください。
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