交通事故における休業補償の請求方法と注意点は?

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「交通事故に遭った場合に請求ができる休業補償とは?」
「休業補償と休業損害にはどのような違いがあるの?」

交通事故に遭ったために仕事を休まざるを得ない状況になった場合、そのための補償がないのかどうか気になっている方もいると思います。

交通事故が原因で休業した場合、労災保険の休業補償や自賠責保険会社または任意保険会社からの休業損害の支払いによって休業している間の収入が補償されます。

本記事では、混同しやすい休業補償と休業損害との違い、計算・請求方法や注意点について順にご説明します。

1.休業補償とは

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(1)休業補償と休業損害

交通事故による怪我が原因で仕事ができなくなったことによって生じる収入の減少分を休業損害といいます。

休業補償は労災保険において、業務中または通勤中に生じた怪我や病気が原因で仕事ができなくなったことで生じる損害を補償するものです。

労災保険上、特別の形で休業損害を補償するのが休業補償、ということになります。

休業損害と休業補償との違いを簡単にまとめると以下のようになります。

休業補償(労災保険) 休業損害(任意保険) 休業損害(自賠責保険)
有給休暇取得日 給付されない 給付対象 給付対象
計算方法(1日あたり) 給付基礎日額(平均給与に相当する金額)× 80%

(休業補償給付=60% + 休業特別支給金=20%)

原則:休業損害証明書記載の3か月合計金額を90日で割ったもの 原則:6100円(令和2年3月31日以前の事故の場合は5700円)
対象範囲 業務上または通勤上の怪我・病気 業務中や通勤時以外の交通事故による怪我も対象 業務中や通勤時以外の交通事故による怪我も対象
給付金対象期間 休業開始後の4日目から休業が必要と認められる期間* 休業の必要性・相当性が認められる期間 休業の必要性・相当性が認められる期間
給付上限 なし なし 120万円(怪我の治療費・慰謝料含め)
自営業者(特別加入者を除く)、専業主婦・主夫など 給付されない 給付対象 給付対象

*初日から3日目までは、勤務先が平均賃金の60%を支払うことが法律上定められています。

(2)休業補償の計算方法

休業補償の計算方法は、「給付基礎日額の60% × 休業日数」となります。

また、休業補償の場合、別に休業特別支給金と呼ばれるものが支給され、その計算方法は「給付基礎日額の20% × 休業日数」となります。

つまり、休業1日につき給付基礎日額の80%が支給されることになっているのです。

ただし、所定労働時間の一部について労働した場合は、働いた分の金額が控除されます。

(3)休業補償を受け取れる期間

休業補償の場合、原則として傷病が治癒するまでの間補償を受け取ることができます。

ただし、療養を開始してから1年半が経過しても傷病が治癒しない場合には、傷病等級に該当するか否かの審査が行われます。

仮に傷病等級に該当することが判断されると、休業補償の代わりに傷病年金の支給が開始されますが、傷病等級に該当しないと判断された場合は、継続して休業補償が支払われます。

(4)休業特別支給金

休業補償の支払を受ける場合、休業補償と別に労災保険から休業特別支給金が支払われることになっています。

特別支給金とは、休業補償を受ける者に対して休業4日目以降支払われる、1日あたり給付基礎日額の20%に相当する金額を指します。

本来休業補償のみであれば給付基礎額の60%の金額ですが、そこに20%が上乗せされるため、給付基礎日額の80%の金額を受け取ることができるのです。

2.休業補償の請求方法

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休業補償を給付するための要件には、療養している状態、労務に従事することが不可能である状態、賃金等の支給を会社から受けていない状態、を満たす必要があります。

これらの要件を満たした上で、休業補償を給付するための請求を行いましょう。

休業補償における請求方法について順にご説明します。

(1)労働基準監督署長に請求書を提出

労災保険の休業補償は、通常事業所経由で申請を行うため、使用者を通じて労働基準監督署長宛に請求書を提出しましょう。

その際、事業主や医療機関から休業補償を給付するにあたっての要件を満たしていることを証明してもらう必要があります。

被災労働者から労働基準監督署へ請求書が提出されると、労働基準監督署によって支払決定がなされます。

(2)厚生労働本省からの通知

労働基準監督署において被災労働者に対する休業補償の支払決定がされると、厚生労働本省から通知が送られてきます。

この通知には支給を決定したことや支払を行うことなどが記載されています。

(3)振込み

これまでの手続が無事完了すると、被災労働者の指定の口座へ休業補償・休業特別支給金が振り込まれます。

また、受任者支払制度を利用できれば、労災保険から被災労働者が支払を受ける前に、勤務先による立替払ができます。

休業補償の申請後できるだけ早く受け取るためには、受任者支払制度の利用を検討することも一つの選択肢となるでしょう。

3.休業補償における注意点

休業補償における二つの注意点について順にご説明します。

(1)休業損害との重複受取は不可能

労災保険から支払われる休業補償は、自賠責保険・任意保険会社から支払われる休業損害と重複して受け取ることができない点に注意しましょう。

休業補償と休業損害を両方請求した場合、一方から受け取って重複している部分はもう一方から減額され、二重取りにならないように支払われることになります。

ただし、休業特別給付金は労災福祉を目的とした給付金であるため、減額の対象とならず、そのまま受け取ることができます。

休業損害と休業補償に関する詳しいご相談は、専門家である弁護士にご連絡ください。

(2)休業補償の打切り

休業補償期間中にも関わらず休業補償を打ち切られそうになった場合は、弁護士にご相談ください。

労災の休業補償は、休業補償期間中に退職した場合でも給付を打ち切られることはありません。

しかし、療養を開始してから1年6か月を超えると、労働基準監督署より治療の打切りを打診される場合があります。

治療を継続する必要がある際やその打診・決定に不服がある場合は審査請求を行うことができます。

ただし、審査請求は労災保険給付に関する決定を知った日の翌日から起算して3か月以内に請求する必要があります。

期限を経過せずに審査請求を行うためにも、弁護士に一度ご相談いただくことを推奨します。

まとめ

勤務中・通勤途中で事故に遭い、休業せざるを得ない状態になった場合、労災保険から休業補償として給付金を受け取ることができます。

休業補償と間違われることの多い休業損害は、性質や請求先が異なる点に注意が必要です。

休業補償の計算方法や請求方法などに不安な点がある場合は、専門家である弁護士にご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

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