後遺障害等級とは?適切な等級に認定されるための3つの注意点

執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。

この記事の内容を動画で解説しております。

あわせてご視聴いただければと思います。

「交通事故で怪我を負い、症状固定と診断された」
「後遺障害等級がどういう制度かわからない」

後遺障害等級について、このようなお悩みはありませんか。

今回は、後遺障害等級の制度についてご説明します。

申請するメリットや注意点も交えてご説明しますので、交通事故による怪我でお悩みの方の参考になれば幸いです。

1.後遺障害等級とは

後遺障害等級とは、交通事故による後遺障害の程度に応じて認定される等級のことです。

交通事故が原因で負った怪我であると医学的に証明され、一定期間治療後も症状が完治せず、さらに労働能力の喪失(もしくは低下)を伴う状態を程度の重さに応じて等級が定められています。

治療を受けたにもかかわらず完治せず、後遺障害として症状が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定の申請をすることができます。

等級は怪我の症状や程度に応じて1級から14級に分かれており、症状が重くなるほど等級の数字は小さくなります。

例えば、むちうちは交通事故による怪我の中で多くの割合を占めていますが、14級もしくは12級に認定されるケースが一般的です。

最も症状が重い後遺障害1級に認定されるのは、両眼を失明した場合や、日常生活において介助が必要になった場合などです。

2.後遺障害等級を申請するメリットとは

後遺障害等級を申請するためには、さまざまな書類を用意したり検査を受けたりする必要があり、手間がかかります。

面倒に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、後遺障害等級を申請し後遺障害等級が認定されると、大きなメリットがあります。

ここでは2つのメリットについてご説明します。

(1)後遺障害慰謝料を請求できる

後遺障害慰謝料とは、交通事故が原因で怪我を負い、治療後も完治せず後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する慰謝料のことです。

後遺障害慰謝料を算出する際、3の計算基準があり、それぞれ相場も異なります。

#1:計算方法

①自賠責基準
自賠責基準とは、自賠責保険から支払われる賠償金の計算基準です。

必要最低限の補償を目的としていることから、自賠責基準を用いて算出した慰謝料はあまり多くはありません。

②任意保険基準
任意保険会社が定める基準のことで、その内容は非公開です。

多くの場合、自賠責基準と同程度かやや多い金額と考えておきましょう。

③弁護士基準
3つの基準の中で、最も高額の慰謝料を請求することができます。

ただし、弁護士基準で慰謝料を請求するためには、弁護士に依頼する必要があります。

後遺障害慰謝料の金額は、自賠責基準と弁護士基準は、等級に応じて金額が定められています。

#2:相場

自賠責基準と弁護士基準は、等級に応じて慰謝料の金額が定められています。

以下、2つの基準の慰謝料の相場表です。
※2020年3月31日までに発生した事故は()内

(2)後遺障害逸失利益を請求できる

後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害が原因で労働能力が低下した時に、通常どおりに働けていれば将来得られるはずであった収入分のことを指します。

#1:計算方法

後遺障害逸失利益は以下の式で求めます。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

基礎収入は、多くの場合で被害者が事故に遭った前年の収入を基準にしており、人によって金額が異なります。

労働能力喪失率とは、後遺障害が残ったことで労働能力にどの程度影響を与えたのか、割合で示したものです。

例えば、自賠責保険では、等級ごとに以下の表のように割合が定められています。

労働能力喪失期間は、症状固定日から原則として67歳までの年数です。

症状固定日は、医師によってこれ以上治療を続けても改善が見込めないと診断された日です。

#2:相場

後遺障害逸失利益を算出する際に用いる基礎収入は、職業によって基準とする収入が多少異なります。

①会社員の場合

会社員の場合は、事故に遭う前年の実収入を基礎収入とします。

例)事故当時の年齢が50歳、年収500万円、後遺障害9級(労働能力喪失率35%)と診断された時の後遺障害逸失利益

500万×0.35×13.1661(50歳から67歳までの17年間のライプニッツ係数)=2304万0675円

②自営業やフリーランス

自営業やフリーランス、経営者などは、事故に遭う前年の確定申告の申告所得額を基礎収入とします。

例)事故当時の年齢が50歳、前年の申告所得額が600万円、後遺障害14級(労働能力喪失率5%)と診断された時の後遺障害逸失利益

600万円×5%×13.166=394万9830円

③主婦・主夫

主婦・主夫も、後遺障害逸失利益を受け取ることが可能です。

この場合、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均を基礎収入とします。

例)事故当時の年齢が50歳、後遺障害6級(労働能力喪失率67%)と診断された時の後遺障害逸失利益

385万9400円(令和3年の賃金センサス女性全年齢平均年収額)×67%×13.1661=3404万4875円

3.適切な等級に認定されるための注意点

後遺障害等級は、書類をそろえて申請すれば希望どおりの等級が認定されるわけではありません。

適切な等級が認定されるためには、注意するべきポイントがあります。

3つの注意点についてご説明します。

(1)後遺障害等級申請に詳しい弁護士に相談する

後遺障害等級が認定されるためには、後遺障害診断書に症状固定時の怪我の程度や将来の見込みなどについて記載する必要があります。

しかし、必要な項目について正しく記載していなければ、認定されないケースもあります。

後遺障害診断書は、医師しか作成することができません。

ただし、医師は治療の専門家であるため、後遺障害等級の申請に詳しいわけではありません。

そこで、後遺障害等級の申請に詳しい弁護士に相談することで、診断書の書き方や認定にあたって必要な検査についてアドバイスを受けることができるのです。

(2)被害者請求による方法で手続する

後遺障害等級の申請には、事前認定と被害者請求の二つの方法があります。

事前認定とは、相手方の任意保険会社に資料の収集や手続をしてもらう方法です。

後遺障害等級の申請には被害者側の手間や負担が減るというメリットがある一方、資料の選定に携われないため、適切な等級が認定されない可能性があるというデメリットもあります。

一方、被害者請求は、被害者自身ですべての手続を行う方法です。

手間はかかりますが、申請にあたって必要な資料を自分で選定できることから、適切な等級が認定される可能性は事前認定に比べて高いといえるメリットがあります。

(3)結果に納得がいかない時は異議申し立てをする

後遺障害等級の申請をしても、思っていたよりも低い等級が認定されたり、そもそも等級が認められなかったりすることがあります。

もしも結果に納得がいかない場合は異議申立てを検討しましょう。

異議申立てをする際には、異議申立書のほかに、診断書やカルテ、医師の意見書などの書類を提出します。

申立書には、結果が不合理である点や、新たに申請しようとする等級が妥当である点について詳しく記載する必要があります。

自分自身で申立書を作成することも可能ですが、弁護士に相談することで異議申立てが成功する可能性は高まります。

審査結果に納得がいかない方は、後遺障害等級に精通している弁護士に一度相談をしてみましょう。

まとめ

病院に通って治療を受けたけれども完治せず、症状固定と診断された時は、後遺障害等級の申請を検討しましょう。

ただし、申請方法や認定されるためのコツを知らなければ、納得がいく結果を得られない可能性があります。

そこで、まずは交通事故問題に精通している弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきは、これまでに数多くの交通事故問題を解決してきた弁護士が多数在籍しています。

申請を検討している方はもちろん、交通事故による怪我でお悩みの方は一人で悩まずに当事務所にご相談ください。

 

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執筆者 青山 侑源 弁護士

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はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
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