自己破産をするとデビットカードはどうなる?利用する際の注意点についても解説

「自己破産をするとデビットカードは使えなくなるのか」
「自己破産後にデビットカードを使うときの注意点はどこなのか」
借金の返済ができなくなり、自己破産を行うことを検討されている方の中には、デビットカードの利用について、このような不安や疑問をお持ちの方もいると思います。
自己破産は、借金の返済が不可能であることを裁判所に申し立て、裁判所から免責許可決定を受けることで、借金の返済義務を免除してもらう手続です。
返済義務が免除される債務には、税金や養育費などの一部を除いた、すべての債務が含まれます。
そのため、カードローンや住宅・車などのローンも免責の対象となり、ローンが残っている状態で自己破産を行うと、カードが強制解約されたり住宅や車を手放さなければならなくなったりします。
一方で、自己破産を行っても影響がないものもあり、デビットカードの作成や利用もそのうちの1つです。
本記事では、自己破産をしてもデビットカードの作成や利用に影響が生じない理由やデビットカードを利用する際の注意点について解説します。
これから自己破産を行うかどうかについて不安や悩みがある方の参考となれば幸いです。
1.自己破産によるデビットカードへの影響
結論から述べると、自己破産を行っても、デビットカードの作成・利用には影響が生じません。
デビットカードは、利用と同時に銀行口座から利用額の引落しがされる決済手段であり、口座預金の範囲内で利用することが可能です。
自己破産とデビットカードの利用については、以下のような場面が考えられます。
- 自己破産の手続中の利用
- 自己破産後の利用
各シチュエーションの影響について順にご説明します。
なお、自己破産の手続の概要や流れ、そのほかの注意点などについては、以下の記事が参考になります。
(1)自己破産の手続中の利用
自己破産の手続中であっても、デビットカードの利用が停止されることはありません。
そのため、手続中でも問題なくデビットカードを利用して決済を行うことができ、また、新規作成を行うことも可能です。
なお、クレジットカードについては、自己破産を申し立てることによって強制解約となることが多いため、利用できなくなります。
クレジットカードでのショッピングは、利用した後に指定期日に引落しがされるものであり、その実態はお金を借りて商品を購入したり、サービスを受けたりしていることと同じです。
そのため、クレジットカードのショッピング枠やキャッシング枠の残債務がある場合に自己破産を行うと、そのカードは利用規約に従って強制解約されてしまうため、利用ができません。
しかし、先ほども述べたように、デビットカードは利用と同時に引落しがされるため、クレジットカードとは決済の仕組みが異なります。
そのため、自己破産の手続中もクレジットカードに代わる決済手段として引き続き利用し続けることができるのです。
また、作成にあたっては与信調査も必要ではないため、自己破産の手続中であっても新規作成を行うことができます。
なお、自己破産とクレジットカードの利用については、以下の記事で詳しく解説しています。
(2)自己破産後の利用
裁判所から免責許可決定を受け、確定した後でも、手続中と同様にデビットカードを引き続き利用できるほか、新規作成することも可能です。
自己破産を行うと、信用情報機関に事故情報が登録(いわゆる「ブラックリスト入り」)されます。
信用情報機関は、加盟している各金融機関から顧客の借入れや返済などの情報の提供を受けてこれを管理し、金融機関から照会があれば開示を行う機関です。
自己破産をはじめとする債務整理の手続を行った事実は、その人の支払能力に問題があることを示す事故情報として登録され、金融機関は与信調査の際に照会によってこれを知ることになります。
以上のことから、信用情報機関に事故情報が残っている限り、与信調査が必要となるクレジットカードの新規作成や更新、借入れやローンの利用はできません。
これに対して、デビットカードの作成・利用には与信調査が必要ではないため、事故情報が登録されていたとしても問題なく作成・利用することができます。
なお、自己破産を行い、事故情報が登録されることによって生じる生活への影響や登録される期間については、以下の記事もあわせてご覧ください。
2.デビットカードの利用に関する注意点
上記のように、自己破産を行ったとしても、デビットカードの作成や利用ができなくなるわけではありません。
自己破産後は一定期間にわたってクレジットカードの作成や利用、借入れやローンを利用できなくなるため、それに代わる決済手段として利用することができます。
もっとも、自己破産の手続中や手続後にデビットカードを利用する場合には、以下の点に注意することが大切です。
- 銀行口座が凍結されると利用できない
- 手続中に利用する場合には使い方に注意する
- あらかじめ口座残高を確認しておく
順にご説明します。
(1)銀行口座が凍結されると利用できない
デビットカードは、銀行口座が凍結されてしまうと、利用できなくなる点に注意しましょう。
先ほども述べたように、デビットカードは、利用と同時に銀行口座から利用額の引落しがされる決済手段です。
そのため、デビットカードと紐づいている銀行口座が凍結されている場合には、デビットカードの利用ができません。
特に自己破産を申し立てた際にその銀行のカードローンの残債務がある場合には、その銀行口座が凍結される可能性が高いです。
自己破産は裁判所を通して行う手続であるため、弁護士に依頼して進めることが多く、弁護士が手続について受任すると、債権者に対して手続を受任したことを伝える受任通知が送付されます。
受任通知が送付されると、債権者である銀行はカードローンの残債務を回収するために口座を凍結し、カードローンの残債務と口座預金との相殺処理を行って回収を図ることが一般的です。
口座が凍結されてしまうのは一時的ではあるものの、凍結されている間には口座預金を動かすことができないため、口座の凍結が解除されるまではデビットカードの利用もできなくなります。
なお、自己破産を行うことで口座が凍結されてしまうタイミングや期間については、以下の記事も参考になります。
(2)手続中に利用する場合には使い方に注意する
自己破産の手続中にデビットカードを利用する場合は、使い方に気を付けることが大切です。
先ほども述べたように、自己破産を行ったとしてもデビットカードは強制解約されず、引き続き利用することができます。
しかし、自己破産の手続中にデビットカードで決済を行う場合には、利用金額や利用頻度に注意しなければなりません。
自己破産の申立ての際には、裁判所に預金通帳の写しなどの銀行口座の取引履歴を提出する必要がありますが、デビットカードの利用履歴は、引落し口座の通帳に記載されるため、裁判所に知られることになります。
利用金額が大きい場合や利用頻度が高い場合には、裁判所から浪費と疑われかねません。
そして、浪費は裁判所が免責許可を与えないとする「免責不許可事由」の1つであり、デビットカードの利用による支出がこれに該当すると評価されれば、免責を受けられない可能性があります。
そうなれば、自己破産を行ったとしても、借金の返済義務の免除を受けることができず、引き続き返済を行わなければならない事態になりかねないため、注意が必要です。
生活に必要な支出であることを説明することができれば問題はないものの、利用金額や利用頻度には注意が必要です。
なお、免責不許可事由に該当する具体例については、以下の記事もご覧ください。
(3)あらかじめ口座残高を確認しておく
デビットカードを計画的に利用するためには、常に口座残高を把握しておく必要があります。
口座の残高が不足している場合には、デビットカードを利用して決済を行うことができません。
そのため、口座にいくら入金されているのかを利用前に毎回確認するようにしましょう。
なお、家賃や光熱費などの支払いも同じ口座から行っている場合には、残高を把握しにくいことがあります。
そのような場合には、デビットカードの決済用に口座を確保しておくなどの対応を行うことで、計画的にデビットカードを利用することが可能です。
3.デビットカード以外に利用できる決済手段
自己破産の手続中や手続後にデビットカードを利用する場合には、上記で述べたようにいくつか注意点があります。
利用金額や利用頻度を工夫しなければ、借金問題を解決できないだけでなく、再び借金を抱えることにつながりかねません。
なお、デビットカード以外にも自己破産後に利用できる決済手段があります。
具体的には、以下のとおりです。
- 家族カード
- プリペイドカード
- 電子マネー・決済アプリ
順に見ていきましょう。
(1)家族カード
家族カードは、クレジットカードの契約者の家族が利用できる決済手段です。
つまり、家族が契約しているクレジットカード会社から、契約者の家族に対して家族カードを発行してもらうことで、破産者もクレジットカード決済が利用できるようになります。
例えば、配偶者や両親が契約しているクレジットカード会社から家族カードを発行してもらうことで、破産者本人の信用情報における事故情報が残っていても、問題なく利用することが可能です。
ただし、家族カードの利用代金は、契約者の利用分と合算された状態で引き落とされます。
そのため、契約者である家族に利用内容を把握されてしまいます。
(2)プリペイドカード
プリペイドカードも事故情報が登録されている間であっても利用することができるキャッシュレス決済の方法の1つです。
プリペイドカードとは、事前にチャージした金額の範囲内で決済を行うことができるカードで、交通系ICカードをはじめ、さまざまな種類のものがあります。
デビットカードは、紐づけしている口座残高の範囲で利用できますが、プリペイドカードはチャージした分の範囲でしか利用できないため、デビットカードよりも使う金額のコントロールがしやすくなる点がメリットです。
逐一チャージをしなければならない手間はかかるものの、使いすぎを抑えることができるため、活用しやすいといえるでしょう。
(3)電子マネー・決済アプリ
電子マネー・決済アプリも選択肢の1つで、電子マネーをやりとりする決済アプリをスマホにダウンロードすることで決済をすることができます。
スマホがあれば決済ができるため利便性が高い点に特徴があります。
電子マネー・決済アプリには、事前にお金をチャージするプリペイド式と使った分をまとめて後から支払うポストペイ式があります。
このうち、ポストペイ式については、後払いという性質上、借金と同様に扱われるため、自己破産の手続中は利用してはいけません。
また、中にはクレジットカードと連携して利用するサービスがありますが、クレジットカードが使えない状況では、当然利用することはできません。
そのため、電子マネー・決済アプリは、クレジットカードと連携しないプリペイド式を利用するようにしましょう。
4.自己破産について弁護士に相談・依頼するメリット
自己破産を行うことで、利用できる決済手段が限られるなど、いくつかの影響が生じることもあります。
しかし、そのような影響に不安や悩みを抱えているだけでは借金問題は解決しません。
すでに借金の返済が滞っている場合には、なるべく早期に自己破産をはじめとする債務整理を行うことを検討しましょう。
もっとも、自己破産は裁判所を介して行う手続であるため、専門知識や実務経験がなければスムーズに進めることは困難です。
そのため、自己破産を行うことを検討されている場合には、まずは専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 最適な解決方法の提案を受けることができる
- 債権者からの督促や取立てがストップする
- 手続の準備や進行についてサポートを受けることができる
- 免責許可決定を受けるためのサポートを受けることができる
順にご説明します。
なお、債務者ご自身で自己破産の手続を行うリスクについては、以下の記事もご参照ください。
(1)最適な解決方法の提案を受けることができる
弁護士に相談することで、借金問題に対する最適な解決方法の提案を受けることが可能です。
借金の解決方法は、自己破産だけに限られません。
債務整理には、自己破産のほかにも、任意整理と個人再生という手続があります。
債務整理は、債務者の借金残高や返済能力によって適切な手続は異なるため、必ずしも自己破産が最適とは限りません。
しかし、専門的な知識がなければ、どの解決方法が適切か判断することは困難です。
そのため、専門家である弁護士に相談することで、ご自身の借金総額や収入状況に応じた適切な方法の提案を受けることができます。
なお、相談のタイミングが早ければ早いほど、選択肢が広がるため、返済が滞ってしまった時点でなるべく早期に相談することがおすすめです。
(2)債権者からの督促や取立てがストップする
弁護士に自己破産の申立てを依頼することで、債権者からの督促や取立てがストップします。
返済が滞っている場合、債権者から督促の電話や連絡が入り、支払いが終わるまでは止まないことになります。
このことは、債務者にとっても精神的に大きな負担です。
一方、弁護士に手続を依頼すれば、弁護士が債権者に受任通知を送付します。
そうすると、一時的に督促や取立てがストップします。
特に自己破産を行う場合、弁護士費用や裁判所費用を支払う必要があり、ある程度まとまった資金が必要となります。
弁護士に手続を依頼することで、債権者からの督促や取立てが停止し、精神的な負担を軽減させることができると同時に、手続に必要な費用を積み立てることも可能です。
(3)手続の準備や進行についてサポートを受けることができる
弁護士から自己破産の手続の準備や進行についてサポートを受けることができます。
自己破産の申立てをするには、様々な書類や資料を作成・収集する必要があります。
しかし、どのような書類や資料が必要となるのかは、債務者の財産状況などによっても異なり、専門知識や実務経験がなければ不足なく作成・収集を行うことは困難です。
また、書類に不備があれば申立てを却下される可能性もあり、借金の返済義務の免除を受けることなく手続が終了してしまうリスクもあります。
債務整理の手続に慣れた弁護士であれば、手続に必要な書類や資料について熟知しているため、不足なく作成・収集を行うことが可能です。
さらに、必要書類の作成を一任することもでき、資料収集についてもアドバイスやサポートを受けることができます。
これによって、不足なく書類や資料の提出を行うことができるため、スムーズに手続きを進行させることが可能な上、申立てを却下されるリスクを減らすことができます。
(4)免責許可決定を受けるためのサポートを受けることができる
弁護士から免責許可決定を受けるためのサポートを受けることができる点もメリットです。
先ほど述べたように、免責不許可事由に該当する行為をすれば、裁判所から免責を受けられない可能性があります。
免責不許可事由には、浪費以外にも特定の債権者のみに返済する行為(偏頗弁済)や財産の処分など、さまざまな行為が挙げられます。
これらの行為をしてしまうと、免責許可を受けられない可能性が高くなります。
もっとも、免責不許可事由に該当する行為を行ったとしても、その行為に至った経緯などについて債務者が真摯に反省し、更生の余地があると裁判所が判断すれば、裁量によって免責を受けることができる場合があります(裁量免責)。
弁護士に手続を依頼することで、免責不許可事由に該当する行為をしてしまうリスクを抑えることができるほか、すでにそのような行為をしてしまったとしても、裁量免責を受けるための対策を進めることが可能です。
まとめ
自己破産をしても、デビットカードは問題なく利用することができます。
一方で、クレジットカードやローンは信用情報機関に事故情報が登録されている間は、利用することができません。
しかし、デビットカード以外の決済手段として、家族カードやプリペイドカード、電子マネー・決済アプリ等があり、すべての決済方法が利用できなくなるわけではありません。
もっとも、計画的に利用しなければ、借金問題を解決できないだけでなく、再び借金問題を抱えることにつながりかねないため、収支を把握しながら適切に利用することが大切です。
また、手続中にデビットカードを利用する場合には、浪費と評価されないように、利用金額や利用頻度には注意が必要となります。
このように、自己破産の手続とデビットカードの利用にはさまざまな注意点もあります。
そのため、自己破産を行うことに悩みや不安がある場合には、まずは弁護士に相談することがおすすめです。
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