任意整理と個人再生の違いとは?両者のメリット・デメリットを解説

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「任意整理と個人再生はどんな違いがあるのか」
「任意整理と個人再生は何を基準に選べばよいのか」

債務整理を検討している方の中には、任意整理と個人再生の違いについて調べている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、任意整理と個人再生の違いや判断基準、各手段のメリット・デメリットについてご紹介します。

1.任意整理と個人再生の違い

任意整理と個人再生の違い

任意整理と個人再生は、減額幅や手続の内容が異なります。

主な違いは以下のとおりです。

項目 任意整理 個人再生
減額幅 将来利息分 債務金額によって変動
手続の過程 裁判所を介さない 裁判所を介する
必要書類 ほぼ不要 多くの書類が必要
手続期間 約半年 約1年
官報への掲載 なし あり

大きな違いは、減額内容と裁判所を介して手続を行う点です。

2.任意整理と個人再生を選ぶときのポイント

任意整理と個人再生を選ぶときのポイント

任意整理と個人再生を選ぶときのポイントについてご紹介します。

主な判断ポイントは以下の5点です。

  1. 返済がどのくらい厳しいか
  2. 家族に知られたくないか
  3. 手続から除外したい債務があるか
  4. 差押えを受けているか
  5. 高額な財産があるか

順に説明するので、どちらを利用するか迷っている方は参考にしてください。

なお、個人再生でも解決できない場合は、自己破産をすることで借金トラブルを解消することができます。

以下の記事で、自己破産についても紹介しているので、そちらもご覧ください。

2023.08.31

任意整理と自己破産の違いとは?メリット・デメリットを徹底解説

(1)返済がどのくらい厳しいか

債務整理の内、任意整理と個人再生の判断基準として、返済の困難度が挙げられます。

任意整理の場合は将来利息をカットしてもらう可能性は高いが、元金及び経過利息を3~5年以内に完済しなければなりません。

そのため、返済能力に対して借金が大きい場合、期間内に完済を目指すことが困難なケースがあります。

個人再生であれば、金額が大きくなるにつれて減額幅が大きくなるので、完済を目指せる可能性が高いです。

(2)家族に知られたくないか

借金の存在を家族に知られずに、完済を目指したい方は任意整理を選びましょう。

任意整理であれば、裁判所を介して手続をしないため、家族に知られる可能性が低いです。

個人再生の場合は、官報に公告されるため、家族に知られる可能性があります。

家族に知られたくないのであれば、任意整理を検討してみてください。

(3)手続から除外したい債務があるか

手続から除外したい債務がある場合は、任意整理がおすすめです。

任意整理であれば、債務整理の対象を選ぶことができるため、車や家のローン契約を残したまま、他の債務だけを減額することが可能です。

個人再生であれば、全ての債権者を対象にしなければならないので、原則ローン契約が解除されてしまいます。

したがって、特定の債務だけを残して債務整理したい方は任意整理を選びましょう。

なお、住宅ローンに関しては、住宅資金特別条項によって自宅を残したまま返済を継続することができるため、個人再生を行ったとしても家を手放す必要はありません。

(4)差押えを受けているか

差押えを受けている場合やこれから差押えが行われる可能性がある場合は、個人再生を検討しましょう。

個人再生の手続を開始すれば、給与等の差押えを中止にすることができます。

すでに給与等を差し押さえられている場合でも裁判所に認めてもらうことで、解除してもらうことが可能です。

任意整理の場合は、差押えを中止する効果がないため、滞納が数ヶ月も続いている方は、なるべく早めに個人再生の手続を取った方がよいでしょう。

(5)高額な財産があるか

家やマンションなど資産価値の高い財産がある場合は、任意整理を選択することになるでしょう。

個人再生で減額できる借金は、簡単に言うと保有している財産の額までという決まり(清算価値保障原則)があるため、高額な財産を保有している方は、個人再生の恩恵が小さくなる可能性があります。

たとえば、借金が1000万円で800万円分の財産がある場合は、減額される金額は差額の200万円までとなるのです。

また、借金の金額よりも財産の金額の方が大きい場合は、相殺によって手元に財産だけが残ることになるため、個人再生をすることができません。

仮に借金が1000万円で、2000万円分の財産がある場合は、1000万円分の財産があるという判断をされます。

財産状況によっては個人再生を選択できない可能性があることを押さえておきましょう。

3.任意整理のメリット・デメリット

任意整理のメリット・デメリット

任意整理のメリットとデメリットについて以下の表にまとめました。

メリット デメリット
・債権者からの督促が止まる
・借金を減額できる
・返済スケジュールを調整できる
・一定の財産を残せる
・個人再生や自己破産よりも生活への影響が少ない
・裁判所を介さずに早期解決が見込める
・介入先の債権者を選択することができる
・一定期間クレジットカードが使えなくなる
・一定期間借入ができなくなる
・任意整理に応じない債権者もいる

生活に大きな影響を与えることなく、確実に元金を減らすことができるため、手軽に債務整理をしたい方は、任意整理から検討してみましょう。

4.個人再生のメリット・デメリット

個人再生のメリット・デメリット

個人再生のメリットとデメリットについて以下の表にまとめました。

メリット デメリット
・借金が大幅に減額される
・資産価値の高い財産を手放さなくて済む
・職の制限がなく、借金の理由は問われない
・一定期間クレジットカードが使えなくなる
・一定期間借入ができなくなる
・債務総額5000万円を超えると対象外になる
・収入がある人しか利用できない
・裁判所を介さなければならない
・官報に個人の氏名や住所が掲載される

借金が大幅に減額されるので、返済の負担を軽減しつつ、短期間で完済を目指すことができます。

ただし、クレジットカードやローンの利用制限に加えて、官報に個人情報が掲載され、裁判所を介して手続を行うことになるため、家族や知人に知られる可能性がある点は押さえておきましょう。

まとめ

任意整理と個人再生の大きな違いは、減額の幅と手続内容です。

特に裁判所を介すかどうかによって、周囲に知られるリスクが変わります。

今回紹介した判断基準を参考にどの手段を利用するか検討してみましょう。

弁護士法人みずきでは、債務整理に関する相談を無料で受け付けておりますので、任意整理や個人再生を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。