税金の督促状の納期限は10日後?過ぎた場合はどうなるか解説

税金の督促状が届いた!10日後の納期限に支払えないとどうなる?

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「税金の督促状が届いたけれど、10日後の納期限を過ぎるとどうなるの?」
「督促状の納期限までに支払えない時はどうすればよいの?」

税金の支払いを滞納してしまい、督促状が届いたものの納期限が督促状を発した日から10日と書かれており、焦ってしまうという方も多いのではないでしょうか。

税金の督促状の納期限を過ぎても未納のままだと、財産の差押えが可能になります。

この記事では、税金の督促状の納期限が10日とされている理由、納期限を過ぎるとどういう影響があるのか、支払いができない場合の対処法についてご説明します。

1.税金の督促状の納期限はなぜ10日後?

税金の督促状の納期限はなぜ10日後?

税金の督促状の納期限は、督促状を発した日から起算して10日を経過した日(11日目)までとなります。

督促状が届いた日が起算日ではないので注意しましょう。

たとえば、督促状の発送が4月7日とすると、10日を経過した日は4月17日となり、この日までに完納が必要です。

この督促状の納期限については各法律に規定があります。

たとえば、地方税法331条1項は、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、滞納者の財産を差し押えなければならない」と定めており、これを根拠として督促状の納期限が定められているのです。

また、税金の督促状は、本来の納期限を経過した後に送付されることになっていますが、税金の種類によって何日以内の送付となるかは異なります(固定資産税について20日以内(地方税法371条1項)、国税について50日以内(国税通則法37条2項)など)。

督促状を発すべき期限を経過した日以後に発した督促状があっても、その効力は無効にはなりません(徳島地方裁判所昭和30年(行)第2号同年12月27日判決・行政事件裁判例集6巻12号2887頁)。

また、地方税に関しては、各自治体の条例で定めることによって、法律で定められた督促状を発すべき期限を変更することもできます。

この督促状に記載された納期限が過ぎてしまった場合、どうすればよいのか知りたい方は以下の記事をご覧ください。

督促状の入金期限や納付書が期限切れだった時は?滞納した時の対処法

 

なお、税金の督促状発送から10日を経過した日が以下に該当する場合は、その翌日や翌々日などに期限が延長されます。

  • 国民の祝日に関する法律に定める休日
  • その他一般の休日(例:1月2日、3日)
  • 政令で定める日(例:土曜日・12月29日、30日、31日)

つまり、本来の納期限が土曜日や日曜日の場合、次の平日となる月曜日が期限になるということです。

年末年始に該当する場合は、1月4日が平日ならばそこまで延長となります。

2.督促状の納期限を過ぎるとどうなる?

督促状の納期限を過ぎると財産の差押えが可能になる

督促状の納期限を過ぎても支払いが行われない場合には、法令に基づき差押え等の滞納処分の手続に進むことができます。

滞納処分とは、滞納者の財産を差し押さえて公売などを行い、その売却代金を滞納している税金に充てる手続です。

滞納処分により、滞納者の意思に関わらず強制的に滞納分が徴収されます。

(1)納期限経過後から差押えまでの流れ

督促状の納期限を過ぎてから差押えとなるまでの流れはこちらです。

  1. 催告
  2. 財産調査
  3. 差押え

それぞれ詳しく見ていきましょう。

#1:催告

督促状を送付しても期限内に完納しない場合は、催告書(差押事前通知書)が送付されることがあります。

催告は、電話によることもあります。

催告書が届くということは、滞納処分の一歩手前なので早急に納税しなければなりません。

なお、催告書は督促状と異なり、法律上の規定に基づくものではないので、場合によっては催告書を送付する前に滞納処分に進む可能性もあります。

#2:財産調査

督促状や催告書を送付しても完納しない場合は、国税庁の徴収職員や地方自治体の徴税吏員により滞納者の財産調査が行われます。

財産調査の対象となるのは、官公庁、金融機関、勤務先、取引先、滞納者の財産を占有する第三者などです。

この調査は、滞納者の意思にかかわらず行うことができるとされています。

裁判所の令状や事前の予告なども不要となっています。

#3:差押え

財産調査の結果、預金や生命保険、給与、売掛金、土地・家屋などの財産があれば、差し押さえられます。

それらの財産は公売などで換価して滞納分に充当されます。

なお、すべての財産が差し押さえられるわけではなく、生活や営業に欠かせない財産は差押えの対象外となります(国税徴収法第75条~78条)。

たとえば衣類や寝具、家具、収入を得るために必要な道具は差し押さえられません。

また、換価による徴収が行われる場合、滞納分のみならず、延滞金も徴収されます。

(2)固定資産税は共有者全員が財産調査の対象

不動産などの共有している固定資産があり、その固定資産税を滞納している場合は、滞納者本人以外にも差押えの危険があります。

共有している固定資産については、代表者へのみ納付書や督促状が送付されます。

固定資産税は共有者全員に納税義務があるので、万が一滞納となった場合は共有者の誰かが立て替えて支払わなくてはなりません。

しかし、共有者全員が支払いできない状況であれば、全員の財産調査が行われます。

その上で、共有者の財産であれば全て差押えを受ける可能性があります。

3.納期限までに支払えない場合の対処法2選

納期限までに支払えない場合の対処法

税金の督促状が届いた後、納期限までに支払えない場合、納期限経過後すぐに差押えをされる可能性もあります。

そのため、滞納分を支払えないのであれば、税務課や税務署に相談することが大切です。

また、税金滞納のほかに、カードローンや消費者金融からの借金も抱えているなら弁護士に相談するのも有用です。

借金の支払いの負担を軽減できれば、滞納分の支払いにあてられる可能性があります。

納期限までに完納できない場合の対処法を二つ見ていきましょう。

(1)各自治体の税務課や税務署に相談する

税金の支払いが困難な場合は、各自治体の税務課や税務署に相談しましょう。

差押えを回避するには、支払う意思があることを示すことが重要となります。

一般的には、国税であれば税務署、地方税であれば市役所・区役所に相談することになります。

まずは、督促状の発送元に連絡するのが確実です。

相談して支払いの意思があることを示すことにより、猶予や分割納付などの対応をしてもらえる可能性があります。

(2)借金がある場合は弁護士に相談する

そのほかの借金の返済の負担もあるために税金の支払いが困難な場合は、各自治体の窓口だけでなく弁護士にも相談することをおすすめします。

弁護士に相談して債務整理をすることにより、借金の減額や支払義務の免除を受けられる可能性があります。

借金の支払額を減らすことができれば、その分を税金の支払いにあてられます。

税金滞納は差押えが可能になるまでの期間が短く、また、債務整理を行っても免責や減額の対象になりません。

一方、借金の滞納は差押えが可能になるまでに訴訟等の手続が必要なために時間的な余裕があり、その間に債務整理をすれば減額や支払義務の免除を得られる可能性があります。

借金と税金の両方について滞納がある場合には、各自治体の窓口と弁護士の両方に相談し、借金については債務整理を検討するのがよいでしょう。

まとめ

税金の督促状の納期限は、督促状発送から10日を経過した日になります。

納期限を過ぎても完納しない場合は、事前予告や本人の同意もなく、差押えなどの滞納処分の手続が行われます。

納期限に間に合わないのならば、差押えを受ける前に各自治体の税務課や税務署に相談をすることが大切です。

猶予や分割納付の対応をしてくれる可能性があります。

もし借金を抱えていて納税が困難ならば、弁護士に相談して借金の債務整理を検討しましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。