過失割合が10対0の物損事故での示談金の相場とは?3つの注意点

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「物損事故の場合、示談金の相場がいくらになるのかわからない」
「過失割合が10対0だと示談金に影響はあるのかわからない」

交通事故の示談金について、このようなお悩みはありませんか。

今回は、過失割合が10対0の物損事故における示談金の相場や、示談金を請求する際の注意点についてご説明します。

1.物損事故における示談金の種類と相場

物損事故においてもらえる示談金にはいくつか種類があります。

では、どのような費用を請求できるのかご説明します。

(1)車の修理費用

交通事故によって車が損傷し修理をする必要がある時は、修理費用を請求することができます。

事故車両を修理工場に入庫後、加害者側保険会社に事故車両の損傷状況の確認(これを立会、損害確認等といいます。)をしてもらってから、修理に着工しましょう。

修理後に費用を提示すると、必要な修理ではないと加害者側に主張され、一部の修理費用を支払って貰えない可能性もあるからです。

(2)代車費用

車を修理に出したり買い替えたりしたことで、事故車両を使用できなかった間にレンタカーなどの代車を利用した場合は、その費用も示談金として請求することが可能です。

ただし、通勤や通学、買い物など日常生活において車を必要としており、代車を使用する必要性が認められなければ費用を請求できません。

単に趣味でしか使っていない場合は、代車の必要性が認められないことがあります。

業者によって異なりますが、レンタカーを借りた場合、1日あたり5000~6000円程度ですので、2週間で7~9万円程度、1か月で14~18万円程度かかると考えておきましょう。

(3)買替差額

交通事故によって車が損傷した場合、その修理にかかった費用は加害者が賠償金として支払います。

しかし、修理が物理的に難しい場合や、買い替え費用よりも修理費用の方が高額の場合は全損という扱いになり、買替差額(事故車両の時価額-スクラップ代金)を損害として請求していくこととなります。

(4)レッカー代

事故によって車が走行できなくなり、レッカー車を利用した場合はレッカー代も請求が可能です。

(5)評価損

評価損とは、交通事故によって車に修理歴や事故歴、傷跡などが残ることで落ちてしまった分の、車の価値に対する賠償金です。

車を売却する際に初めて損失額がわかるため、評価損の詳細な金額を算出することは難しいですが、以下のようなケースでは評価損を認められる傾向があります。

  • 市場価値がもともと高い高級車
  • 新車登録から3年以内の車で走行距離が40000㎞以下

2.過失割合が10対0になる主なケースとは

過失とは、交通事故が発生した責任を割合で示したものです。

過失割合が10対0ということは、加害者側にすべての責任があり、被害者側には一切責任がない状態を指します。

では、過失割合が10対0になるケースを四つご説明します。

(1)対向車がセンターラインを越えた時

対向車がセンターラインを超えて走行し衝突した場合、ほとんどのケースではセンターラインを越えた車に10割の過失が認められます。

ただし、対向車がセンターラインを越えたからと言って、すべてのケースで被害者側の過失が0になるわけではありません。

例えば、対向車が路上駐車をしている車を避けようとした時など、ラインを越えて走行することが予想できた場合には被害者側にも過失が認められることがあります。

(2)信号無視

一方が信号を守って走行し、もう一方が信号無視をしたことによって起きた事故は、信号無視をした車に10割の過失が認められます。

被害者が歩行者や自転車の場合はもちろん、車同士で衝突した場合も、信号無視をした車にすべての責任が課せられます。

(3)追突事故の時

追突事故では、追突した側に10割の過失が認められます。

追突した車両には、前方注視義務という車両の運転手に求められる基本的な義務違反が認められるため、原則として10割の過失が認められることとなります。

3.示談金を請求する際の3つの注意点

過失割合が10対0の交通事故において、示談金を請求する際にいくつか注意点があります。

見落としやすいポイントですので、参考にしていただけると幸いです。

(1)怪我をしていない場合は原則として慰謝料は貰えない

物損事故の場合、原則として、慰謝料を貰うことはできません。

物損については、修理費用又は時価賠償を受けることにより原状回復が図られたといえるからです。

(2)自身の任意保険会社は交渉できない

過失割合が10対0で被害者に過失がない交通事故の場合、被害者側が加入する保険会社は示談交渉を行えません。

被害者と加害者の両方に過失がある場合、お互いに損害賠償請求をする権利を持っています。

実際に賠償金を支払うのは保険会社ですので、被害者の代わりに示談交渉ができるのです。

しかし、被害者に一切の過失がない場合、被害者が加入する保険会社は賠償金を支払う必要がありませんので、交渉することができません。

もし示談交渉をする場合は自分自身で交渉しなければなりませんが、保険会社を相手に個人で交渉することは負担が大きいため、弁護士に相談してみましょう。

(3)怪我をしている場合は事故処理を人身事故とする必要がある

交通事故によって怪我を負った場合は、物損事故ではなく人身事故として届け出るようにしましょう。

物損事故と人身事故では、示談金の金額や事故後の調査などに違いがあります。

そのため、怪我をしているにもかかわらず物損事故として届け出てしまうと、納得のいく額の示談金を受け取れないこともあるのです。

その場では物損事故として届け出たけれど、後から痛みが生じてきたような場合は、まずは病院を受診したうえで警察署に伝え、人身事故に切り替えてもらいましょう。

万が一人身事故に切り替えられなかったとしても、保険会社に「人身事故証明書入手不能理由書」を提出することで治療費や慰謝料を受け取ることができます。

まとめ

今回は、過失割合が10対0の場合の物損事故の示談金の相場についてご説明しました。

しかし、過失割合が10対0になるようなケースにもかかわらず、相手方が被害者側にも過失があると主張することもあります。

そのような時は、無理に自分自身で解決しようとせず、弁護士に相談しましょう。

弁護士法人みずきでは、交通事故問題を数多く解決してきた経験豊富な弁護士が多数在籍しています。

疑問に思うことや不安なことがあれば、当事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。