休業損害証明書を会社が書いてくれない時の対処法!書き方の注意点

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「休業損害証明書を会社が書いてくれないときはどうしたらいいのか」
「休業損害証明書は必ず必要なのか」

交通事故被害者の中には、交通事故による休業で職場に迷惑をかけているというお気持ちから、職場に休業損害証明書の作成を依頼しづらいと考えている方がよくいらっしゃいます。

しかし、休業損害は収入に対する賠償のため、適切な賠償を受けられない場合は生活に直結してしまいます。

加えて、交通事故被害者は怪我のための通院の交通費など、事故前と比べて支出が増えている方も少なくありません。

そのため、怪我による治療が長引く程、休業損害を請求できないことは深刻な問題へ発展しかねません。

本記事では、会社に休業損害証明書の作成をお願いしづらいなと思っている方、休業損害証明書の作成をお願いしたけれども断られてしまった方に向けて、休業損害証明書を会社が作成してくれない場合の対処法、休業損害証明書の書き方、そして休業損害の計算方法についてご紹介します。

1.会社が休業損害証明書を書いてくれないときの2つの対処法

会社から休業損害証明書を書きませんといわれても諦めることはありません。

状況にあわせた対応をとることで、対処することができることがあります。

会社が休業損害証明書を書くことを拒否するケースには、いくつか考えられる理由があります。

比較的多いのは、

「休業損害証明書を書くことでトラブルに巻き込まれるのではないか」

「書き方がわからない」

「忙しいから書いている暇がない」

といったものです。

(1)会社に説明をする

会社が休業損害証明書を作成することを拒否する理由として、休業損害証明書の作成をすることによって会社がトラブルに巻き込まれるのではないかと考えているケースや、休業損害証明書の書き方がわからないから書けないといっているケースがあります。

#1:トラブルに巻き込まれることを懸念している場合

会社が休業損害証明書の作成を拒否しているケースでは、会社が休業損害証明書の作成に協力することによってトラブルに巻き込まれることを懸念している場合があります。

休業損害証明書は勤務先に休業期間中の給与の支払いを命じるものではないため、職場が休業損害証明書の作成をすることによって被る金銭的な不利益はありません。

こういったケースでは、会社に対して、休業損害証明書とは何で、どういった意図でしようされるのか、休業損害証明書がないことによって被害者がどれだけ困ったことになるのかなどを説明することによって、会社に応じてもらえることも少なくありません。

交通事故被害者の方から話していただいても勤務先が心配している場合は、弁護士から会社に説明することによって解消される場合もありますので、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

#2:休業損害証明書の書き方がわからない場合

会社が休業損害証明書の作成を拒否しているケースでは、会社の総務担当者が書き方がわからないから作成を拒否していることもあります。

こういった場合には、休業損害証明書の記載例を共有することによって書いてもらえるようになる場合があります。

(2)代替資料を準備する

会社には是非とも休業損害証明書の記入に協力していただきたいところですが、休業損害証明書を作成することは、会社にとってデメリットはありませんがメリットもありません。

そのため勤務先に説明を試みてもなおも勤務先が難色を示すことはあります。

会社に休業損害証明書の作成に協力してもらえなかったとしても、休業損害を請求することを諦める必要はありません。

給与明細、源泉徴収票、賃金台帳、タイムカードなどの勤怠を疎明できる資料によって休業損害を請求できることがあります。

そのため、会社に休業損害証明書の作成を作ってもらえない場合は、弁護士に相談のうえ、どのような代替資料があるのかを選定し、それらを収集していくようにしましょう。

やってはいけないのは、自分で休業損害証明書を作ることです。

休業損害証明書は、休業したことを客観的に証明するものです。

そのため、交通事故被害者がご自身で作っても休業損害証明書本来の役割を果たすことができません。そればかりか、ご自身が本来会社が作るべきものを作って相手方保険会社に提出してしまうことで、相手方保険会社から本当は休業していないのではないかなどの疑いをもたれてしまうケースも散見されます。

2.休業損害証明書の書き方と注意点

会社が休業損害証明書の書き方がわからないから書けないといっている場合や、勤務先から休業損害証明書の書き方を尋ねられる場合があります。

以下に、休業損害証明書の記載例と、各スペースごとの注意点についてご紹介します。

休業損害証明書は、①~⑤の注意点があります。

①には、事故に遭った年の前年度の源泉徴収票を添付します。

源泉徴収票の添付が難しい場合は、事故発生前3か月の賃金台帳、雇用契約書、給与支払報告書、課税証明などで代用できることがあります。

②には、交通事故により休業した期間を記入します。

③には、②で記入した期間について、より詳細な内容を記入します。

ここで休業日数に誤りがあると、適切な賠償を受けられないことになります。ご自身の記録とも照らし合わせて、確認をすることをお勧めします。

また、休業損害証明書の訂正が必要となるケースでは、有給休暇が出勤扱いになっていることが散見されます。

有休も賠償の対象になりますので、有休であったことが記載されているかも必ず確認するようにしましょう。

④には、賞与を除いた交通事故発生直近3か月分の給与を記入します。

本給だけでなく、付加給、社会保険料等の控除額についても記載が必要です。

また、パート・アルバイトの場合は、注釈へ所定労働時間・時間給等も記入する必要があります。

⑤には、会社が証明していることを記載します。

休業損害証明書は、会社がその方が休業したことを証明するものですので、この部分も非常に大切なものになります。

社印や記入日を含め、すべての欄に記入していただくようにしましょう。

3.休業損害の3つの計算基準

休業損害の計算方法についてご紹介します。

休業損害は以下の3つの基準で算定することが可能です。

3つの基準

  1. 自賠責基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士基準

以下順にご説明します。

(1)自賠責基準

自賠責基準とは、交通事故の被害者に最低限補償される金額を算定する基準で、自賠責保険会社から休業損害が支払われる場合に適用されます。

自賠責基準の場合、休業損害は以下の式で算出することになります。

『休業損害=日額6,100円×休業日数』

(※令和2年3月31日までに発生した交通事故の場合は、日額5,700円で計算)

たとえば、交通事故によって1週間休業した場合の休業損害は、6,100円×7日=42,700円となります。

なお、休業損害が一日6,100円を超えることを証明する資料を用意できれば、一日19,000円を上限として増額できる場合があります。

(2)任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社が独自に定めている基準です。

その計算基準は一般に公開されていませんが、実際に任意保険基準で算出された休業損害の金額をみてみると、自賠責基準と同程度か若干高い金額で計算されていることが多くあります。

(3)弁護士基準

弁護士基準は、過去の裁判例を参照して算定する基準です。

弁護士が案件に介入した場合にのみ使用することができます。

また、算出される金額は、通常、3つの基準の中で一番多くなります。

弁護士基準の場合、休業損害は以下の式で算出することになります。

『1日あたりの基礎収入×休業日数』

1日あたりの基礎収入は、事故直前の3ヶ月の給与支給額を合計した金額を3か月間の稼働日数で割ることで求めることができます。

給与支給額は、税金や社会保険料などを控除する前の金額で計算しましょう。

たとえば、事故直前の3ヶ月の給与支給額の合計が90万円で、休業日数が20日の場合の休業損害を計算すると以下のようになります。

『休業損害=90÷90×20=20万円』

給与所得者の場合、毎月の支給額が同じになるケースが多いですが、残業代や手当などによって月ごとの支給額が変わる可能性があります。

交通事故の被害に遭ってから直近の3ヶ月の給与明細を手元に用意して、どのくらいの金額を請求できるのか計算してみましょう。

4.休業損害を請求する際の注意点3選

休業損害を請求するときには、いくつかの注意点があります。

特に注意すべき点は以下の3つです。

請求時の注意点

  1. 請求期限がある
  2. 休業損害が打ち切られることがある
  3. 書類に不備があれば支払いが遅れる

順にご説明します。

(1)請求に時効がある

休業損害には、時効がある点に注意しましょう。

不法行為に基づく損害賠償請求には、時効が設けられています。

交通事故の発生から5年もしくは、症状固定時から5年で時効となります。

たとえば、交通事故が令和5年5月1日の場合(症状固定の診断を受けないケース)は、令和10年の4月30日までに休業損害を請求しなければなりません。

なお、令和2年3月31日以前の事故の場合は、時効は3年になるので注意が必要です。

(2)休業損害が打ち切られることがある

休業損害は毎月の給与を補填するものですので、示談の前に先払いを請求することができます。

しかし、必ずしも全額が支払われるとは限りません。

休業損害を示談の前に先払いしてもらっている場合であっても、支払が途中で打ち切られることがあります。

たとえば完治や症状固定の診断を受けると、休業損害は打ち切られることになります。

(3)書類に不備があれば支払いが遅れる

休業損害をの請求するために、必要な書類を提出することになりますが、不備があれば、休業損害の受取が遅れてしまいます。

生活に影響する可能性もあるため、書類を提出するときは、しっかり内容を確認することが大切です。

なお、以下の記事で休業損害の請求の流れについて説明しているので、あわせてご確認ください。

2023.07.31

休業損害はいつもらえるのか?請求方法と押さえておくべきポイント

まとめ

休業損害証明書を会社が作成してくれない場合は、代わりとなる書類を用意することで対応することができます。

ただし、揃える書類が増えるため、不備のないように気をつけなければなりません。

また、請求期限がありますので、適切に対応することが求められます。

スムーズに休業損害を請求したい方は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士法人みずきでは、休業損害の請求に関する相談を無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

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