有給休暇を取得していても休業損害証明書は発行してもらえる?休業損害の注意点

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「有給休暇を取得しても休業損害は請求できるのか」
「有給休暇を取得しても休業損害証明書は発行してもらえるのか」

交通事故によって一時的に働けなくなり、有給休暇を取得して収入を調整していた方の中には、休業損害を請求できるのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、有給休暇と休業損害の関係性についてご紹介します。

1.有給休暇を取得していても休業損害証明書を発行してもらえるのか

有給休暇を取得していても休業損害証明書を発行してもらえるのか

結論から述べると、有給休暇の取得日は休業損害の対象となるため、勤務先に休業損害証明書を作成してもらうことができます。

そもそも、休業損害とは、交通事故により仕事を休まざるを得なくなり、その結果減収が生じた場合の補償制度です。

有給休暇には給与が支払われており、減収はないことから休業損害を請求できないと思われている方もいるかもしれません。

しかし、有給休暇を利用した日は収入を得られることから、有給休暇には財産的価値があるとされています。

そして、交通事故の怪我のために有給休暇を利用した場合、本来であれば好きなタイミングで利用できるはずだったものを強制的に使用させられたことになり、財産的価値が侵害されたと扱われるため、休業損害として補償してもらうことが可能です。

したがって、有給休暇を取得したという理由で休業損害を請求できなくなるわけではないことを押さえておきましょう。

2.休業損害を請求する条件

休業損害を請求する条件

休業損害を請求する条件についてご紹介します。

先ほど述べたように、休業損害は交通事故によって仕事を休まざるを得なくなり、減収が生じたときの補償制度です。

そのため、仕事を休んでも収入が減少していない場合(有給休暇取得は除く)は、休業損害を請求することはできません。

また、家事従事者であっても休業損害は発生します。

家事労働では収入が発生していないため、休業損害とは無縁に思う方もいるかもしれませんが、実は家事労働も経済的価値のある労働として認められているのです。

家事従事者として休業損害が認められる理由は、他人(家族)のために家事・育児を行うことは、会社員として勤務しているのと同様に経済的な価値があると考えられるからです。

このように、家事労働は金銭に換算することができるため、専業主婦等の家事従事者が交通事故によって家事が出来なくなったときは、休業損害を請求することができます。

以下の記事で、休業損害の計算方法や請求方法についてまとめているので、あわせてご確認ください。

2023.07.31

休業損害を計算する方法とは?適切に計算するコツを解説

3.休業損害証明書の発行方法

休業損害証明書の発行方法

休業損害証明書は、加害者側の任意保険会社が書式を発送してくれるので、受け取ったら勤務先に記入をお願いしましょう。

記載項目は以下のとおりです。

  • 休業期間
  • 休業内訳(欠勤、有給休暇取得、遅刻・早退など)
  • 休業日
  • 休業期間の給与支給状況
  • 事故前の直近3か月の月例給与
  • 社会保険給付の有無

記載事項に関しては、休業期間の詳細に関することがほとんどです。

必要事項の記入漏れやミス等があれば、勤務先にお願いをして、再度記載し直してもらわなければなりません。

手続に遅れが生じる可能性があるので、提出前に不備がないか確認しておきましょう。

事業所得者や家事従事者は、休業損害の請求手続で休業損害証明書は必要ありません。

事業所得者は、事故前年度の確定申告書が必要となります。また、家事従事者は主婦又は主夫であることを証明する書類として、家族構成表や家族の記載のある住民票の提出が求められます。

4.休業損害の注意点

休業損害の注意点

休業損害を請求する上で注意しなければならないことがいくつかあります。

特に注意すべき点は以下の2つです。

請求時の注意点

月単位での記載になる

休業損害請求には時効がある

順に説明します。

(1)月単位での記載になる

休業損害請求書は、月単位の記載になるため、勤務先にお願いをして毎月記載してもらわなければなりません。

請求のたびに勤務先に休業損害証明書の記入を依頼しなければならないため、スムーズに休業損害証明書を受け取れるように、前もって担当者にその旨を伝えておきましょう。

(2)休業損害請求には時効がある

休業損害の請求には時効がある点に注意しましょう。

交通事故の発生から5年、もしくは症状固定の診断を受けたときから5年経過するまでに、休業損害を請求しなければなりません。

後遺障害が残ってしまった場合は、症状固定の診断を受けた時が消滅時効の起算日となります。

他方で、後遺障害に至らない場合は、交通事故の日が消滅時効の起算日となります。

まずは治療に専念すべきですが、ある程度治療の目途がたったら、なるべく早く休業損害の請求手続に移りましょう。

まとめ

有給休暇を取得している場合でも、休業損害証明書を発行して、休業損害を請求することは可能です。

休業損害の請求手続がスムーズに進むように、休業損害請求書に不備がないか確認しておきましょう。

もし休業損害の請求手続で不明な点があれば、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、休業損害に関する相談を無料で受け付けておりますので、分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。