休業損害はいつもらえるのか?請求方法と押さえておくべきポイント

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「休業損害はいつもらえるのか」
「休業損害を請求するにはどうしたらいいのか」

休業損害の請求を考えている方で、いつ受け取ることができるのか疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、休業損害のもらえるタイミングや請求方法、注意点についてご紹介します。

1.休業損害はいつもらえるのか

原則として、交通事故による損害賠償は、治療が終了した後に行われることになっています。

したがって、休業損害についても、本来は示談交渉時にまとめて請求することになります。

しかし、事故が原因で働くことができなくなり、生活に困っている場合は、任意保険会社から休業損害の内払いという形で、示談に先立ち休業損害を支払ってもらえることがあります。

なお、休業損害の計算方法については以下の記事で説明しているので、あわせてご確認ください。

2022.05.31

休業損害を計算する方法とは?適切な金額を請求する三つのポイント

(1)休業損害の内払い

休業損害の内払いとは、相手方保険会社との間で事故の損害賠償金に関する示談が成立する前に、休業損害を支払ってもらうことをいいます。

まず、内払いの請求をする場合には、勤務先に記入してもらった休業損害証明書を準備する必要があります。

そのうえで、準備した休業損害証明書を任意保険会社へ提出し、休業損害の計算内容や内払いの時期、支払方法などを話しあうことになるでしょう。

内払いの注意点としては、あくまでも任意保険会社による任意の対応にとどまるため、強制はできないという点にあります。

そのため、生活が苦しくても、相手方保険会社が支払わないといえば、休業損害の内払いを受けることはできません。

(2)示談交渉時に請求

すでに触れたとおり、加害者側との示談交渉時にまとめて休業損害を請求するケースが本来の形です。

示談交渉は完治または症状固定(症状が一進一退の状態となり治療の効果が期待できない状態のこと。)の診断を受けて、治療が終了した後にすることになります。

したがって、休業損害すべての支払を受けられるのは事故から数か月たった後ということになります。

2.休業損害の請求方法

休業損害の請求方法についてご紹介します。

(1)休業損害の内払い

休業損害の内払いを受ける場合は、加害者が加入している任意保険会社に必要書類を提出する必要があります。

手続に必要な書類は以下のとおりです。

給与所得者 ・休業損害証明書
・事故の前年分の源泉徴収票
個人事業主 ・確定申告の控え
家事従事者(主婦など) ・家族分の記載がある住民票

なお、自賠責保険会社に請求する場合は、休業損害の支払を一括で受けることになります。

また、計算方法に自賠責基準が適用されるため、原則として「6100円×休業日数」が休業による損害となります。

以下の記事で自賠責保険会社に休業損害を請求する際の注意点をまとめているので、あわせてご覧ください。

2022.05.31

休業損害は自賠責保険に請求できる?休業損害の発生条件と計算方法

(2)示談交渉を行う場合

示談交渉時に休業損害を請求する場合も、前もって必要書類を揃えましょう。

提出された書類や事故の状況を考慮し、任意保険会社が休業損害を算定します。

算定結果が出たら、任意保険会社が金額を提示してくるので、その結果をもとに示談交渉を行いましょう。

示談交渉では、休業損害だけでなく、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを含む、損害賠償金に関する話合いが行われます。

何度か交渉を繰り返し、双方が納得のいく内容に着地したら、示談書を交わして示談を成立させましょう。

示談が成立すると、成立から1~2週間後に休業損害を含む損害賠償金が支払われます。

3.休業損害の注意点

休業損害を請求する上で注意しなければならないポイントがいくつかあります。

主な注意点は以下の2つです。

 

請求時の注意点

  1. 時効がある
  2. 条件を満たす必要がある

 

順にご説明します。

(1)時効がある

休業損害を含む交通事故の損害賠償請求権には時効があります。

症状ごとの請求期限は以下のとおりです。

請求区分 請求期限
傷害 事故発生日から5年以内
後遺障害 症状固定日から5年以内

後遺障害が残らない怪我の場合は、交通事故の発生日が起算日となりますが、後遺障害の場合は症状固定日が起算日になります。

職場復帰の目処が立ったら速やかに手続を済ませましょう。

(2)条件を満たす必要がある

休業損害を請求するためには、事故によって休業せざるを得なくなり、減収が生じたことが必要です。

交通事故の翌日から問題なく働くことができ、事故前と同じ給料を得ている場合は、休業損害を請求することはできません。

一方で、専業主婦等の家事労働者の場合は、家事に支障が出ていれば、休業損害を請求することができます。

家事も財産的価値のある労働ととらえられるため、給料を得ていなくても休業損害を受け取ることが可能なのです。

まとめ

休業損害を受け取るタイミングは大きく分けて2つあります。

示談交渉前に内払いとして受け取る場合と、示談交渉時にまとめて受け取る場合です。

労働が困難になり、減収して生活に支障をきたす場合は、内払いの請求を検討してみてください。

ただし、加害者が任意保険に加入していることが条件になっているので、注意しましょう。

具体的な受け取るタイミングや請求方法については、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士法人みずきでは、休業損害に関する相談を無料で受け付けているので、支払タイミングなど疑問に思うことがあれば、お気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
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