後遺障害診断書を作成するデメリットとは?後遺障害診断書について解説

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「交通事故で怪我を負ってしまった」
「後遺障害診断書がどのような書類なのか知りたい」

交通事故で怪我を負い後遺障害が残った時は、後遺障害診断書を提出して後遺障害等級の認定を受けることができます。

しかし、後遺障害診断書を提出したからと言って必ずしも希望どおりの等級が認定されるわけではありません。

今回は、後遺障害診断書とはどのような書類なのか、デメリットの有無も踏まえてご説明します。

1.後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは、後遺障害の症状の内容やその程度を医師が記載した書類で、後遺障害等級認定の申請に不可欠なものです。

病院によって異なりますが、5000円~1万円程度で後遺障害診断書を作成することができます。

後遺障害診断書の作成にかかる期間は、病院によって異なります。だいたい1週間から10日程度であることが多いですが、中には1か月以上を要することもあります。

また、後遺障害診断書は、後遺症が等級認定基準を満たしていることを証明するものですから、等級に応じて記載すべき項目が決まっています。

申請する自賠責保険会社ごとに後遺障害診断書の書式がありますので、その書式で求められている各項目に沿って医師に作成してもらうことになります。

後遺障害診断書は、自賠責保険会社から用紙をもらうか、インターネットからも入手することができます。

稀に、自賠責書式の後遺障害診断書の作成に応じていない病院もあります。その場合は、後遺障害診断書に記載する各項目についての医療照会回答書を医師に作成してもらうなどで代用する必要があります。

2.後遺障害診断書を作成するデメリットとは

後遺障害診断書を作成するにあたって、デメリットはありません。

むしろ、作成することで後遺障害認定を申請できるという大きなメリットがあります。

後遺障害認定では、等級が1級から14級までに分かれており、怪我の内容や程度によって等級が異なります。

申請するためには後遺障害診断書が必要ですので、後遺障害認定の申請を検討している場合は速やかに作成することをおすすめします。

そして、後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を受け取ることができます。

後遺障害慰謝料とは、交通事故が原因で後遺障害が残るほどの怪我を負ってしまったことへの精神的苦痛に対する慰謝料です。

後遺障害逸失利益とは、後遺症が残ってしまったことによる将来の減収に対する補償です。

後遺障害が残ったことで、今までと同じように働けなくなり、収入が減ってしまうことが予想されます。

そこで、本来得られたはずであろう将来の収入分を、後遺障害逸失利益として請求できるのです。

どちらも請求するためには後遺障害認定を受けなければなりませんので、後遺障害診断書の作成も必須です。

3.後遺障害診断書を作成する時の注意点

後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害診断書を認定基準に則した形で作成する必要があります。

では、適切な等級が認定されるためにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

後遺障害診断書に記載される項目について触れながらご説明します。

(1)医師しか作成できない

後遺障害診断書は医師のみが作成することができます。

交通事故によって怪我を負った場合、接骨院や整骨院に通う方がいらっしゃいますが、柔道整復師は後遺障害診断書を作成できません。

症状固定の時期についても、医師による診断が必要です。

そのため、交通事故で受傷した時は、必ず整形外科を受診するようにしましょう。

(2)内容に不足があると認定されないケースがある

後遺障害診断書には記載するべき項目が決められています。

#1:受傷日時、症状固定日、入院期間・通院期間

受傷日時とは交通事故に遭った日を指します。

症状固定とは、治療を続けても改善の余地がなく、症状が残ってしまった状態を指します。

原則として最後の通院日が症状固定日になります。

もし後遺障害診断書に記載されている症状固定日が最終通院日でない場合は医師に確認してみましょう。

症状固定日は、後遺障害が認定される可能性だけではなく、加害者に請求できる治療費や慰謝料の金額に大きく関わりますので、正確な日付を記載しなければなりません。

入院期間・通院期間の欄には入院もしくは通院した期間が記載されます。

#2:傷病名

傷病名欄には、症状固定日の時点で残っている傷病の名称が記載されます。

治療を続けている間に完治した症状については記載されません。

後遺障害は、治療を受けたけれども改善されず、将来にわたって残存しつづける症状を指します。

治療をしたことで完治した症状については、後遺障害として申請できません。

#3:自覚症状

自覚症状の欄には、受傷した本人が自覚している症状について、医師が聞き取って記載します。

これは、後遺障害診断書の中で、被害者自身が訴えられる唯一の箇所です。

曖昧な表現は避け、身体のどの部分にどのような症状があるのかを具体的に医師に申告し、記載してもらいましょう。

いつも感じている痛みや、ある姿勢をとったときにのみ〇〇がしびれるなど、申告漏れがないように、事前にメモを作っておくとよいでしょう。

後遺障害等級の審査において、自覚症状と他覚症状および検査結果に不一致がないかどうかという点は非常に重要です。

記載漏れや内容に誤りがあれば認定されない可能性もありますので、医師に自覚症状を正しく伝え、伝えた内容が正確に後遺障害診断書に反映されているかどうかを確認しましょう。

#4:他覚症状および検査結果

自覚症状と同様に、曖昧な書き方ではなく、具体的に記載してもらう必要があります。

レントゲンやMRI検査などの画像所見やMMTなどの徒手検査の結果もこの欄に記載されます。

#5:傷害内容の増悪・緩解の見通しなどについて

この欄には、医師が今後の見通しを書きます。

「症状が固定されている」「将来にわたって改善の見込みがない」という趣旨の内容を書いてもらうとよいでしょう。

改善の見通しがある等と記載されてしまうと、後遺障害として認定されない恐れがあります。

(3)作成時に弁護士にアドバイスをしてもらう

後遺障害認定は、後遺障害診断書に記載されている内容や検査結果などをもとに書面だけで審査されます。

そのため、医師が作成する後遺障害診断書は非常に重要な書類です。

適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、検査結果等が、該当する後遺障害等級の基準を満たす必要があります。

しかし、多くの医師は、後遺障害等級の認定基準に則した後遺障害診断書の書き方をあまり詳しく把握していません。

そこで、後遺障害の等級認定に精通した弁護士に相談することで、認定されやすい後遺障害診断書を作成してもらえるのです。

後遺障害診断書の作成時には弁護士に相談し、どのように作成すれば良いかアドバイスをしてもらうようにしましょう。

まとめ

後遺障害診断書は、規定された書式に従って、各項目につき具体的かつ正確に記載する必要があります。

しかし、後遺障害等級に関する知識がなければ、認定されやすい後遺障害診断書とはどのようなものか判断することは難しいでしょう。

弁護士法人みずきでは、これまで数多くの後遺障害等級認定のご相談を受けてきました。

後遺障害等級の申請を検討している方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

納得のいく等級が認定されるための後遺障害診断書の作成のアドバイスをさせていただきます。

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