ギャンブルの借金は自己破産は可能なのか?免疫を受けるポイント

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「ギャンブルでできた借金は自己破産できるのか」
「ギャンブルの借金を自己破産するためにどうしたらいいのか」

ギャンブルによる借金で困っている方の中には、自己破産ができないか考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ギャンブルによる借金が自己破産できるのかについてご紹介します。

1.ギャンブルによる借金は自己破産が可能なのか

ギャンブルによる借金は自己破産できるのか

結論から述べると、ギャンブルによる借金は原則として自己破産によって免責を受けることが難しいです。

ギャンブルによる借金は自己破産における免責不許可事由という支払い義務の免除が認められない事由に該当するため、自己破産を申立てしても免責が許可されない可能性があります。

ただし、場合によってはギャンブルによる借金も自己破産できることがあります。

自己破産によって免責を受けることができるケースに関しては、次の章でご説明します。

また、ギャンブルの他にも自己破産では免責不許可事由が定められており、以下の原因によってできた借金は、免責許可を受けられない可能性が高いでしょう。

  • 射幸行為(株式やFX、仮想通貨などの取引で負った借金)
  • 収入と釣り合わない過度な浪費
  • クレジットカードの現金化
  • 自己破産前に返すつもりの無い意図的な借入

2.ギャンブルによる借金でも自己破産できるケース

ギャンブルによる借金でも自己破産できるケース

ギャンブルによる借金でも、裁判所が裁量免責を認めた場合は自己破産によって支払い義務の免責を受けることは可能です。

裁量免責とは裁判所の判断によって下される支払い義務の免責であり、破産者が深く反省し、改善が見られるなどの事情が判断されれば、免責不許可事由に該当する場合でも免責が認められることがあります。

自己破産は、借金で困っている人のための救済措置なので、免責不許可事由に該当するからという理由ですべて却下されるわけではありません。

免責許可を決定するのは裁判所であるため、深く反省し、生活を再建したい意思を示すことで裁量免責が認められることがあります。

3.免責を受けるための3つのポイント

免責を受けるためのポイント

ギャンブルによる借金というだけで、自己破産で免責を受けにくくなるのは確かですが、裁判所の裁量によって裁量免責を受けやすくするポイントがいくつかあります。

特に意識すべき点は、以下の3点です。

  1. 裁判所や管財人に対して誠実に対応する
  2. 裁判所や管財人に対して真実を伝える
  3. ギャンブルから一切手を引いて経済的再建に真摯に取り組む

これらを行ったからといって必ずしも裁量免責を受けられるとは限りませんが、上記の点を行うことで可能性は高まります。

(1)裁判所や管財人に対して誠実に対応する

自己破産の手続の際に、裁判官や破産管財人と接することがあるので、誠実な対応を心がけましょう。

提出書類の期限を守らなかったり、やり取りの際の態度が悪かったりすると、反省の色が見えないと判断される可能性が高く、裁量免責の判断へ悪い影響が与えてしまいます。

(2)裁判所や管財人に対して真実を伝える

自己破産の手続において、事実を隠すことや嘘をつくことは厳禁です。

裁判官や破産管財人から聞かれたことは、包み隠さずに真実を伝えましょう。

ギャンブルが原因の場合、どうしても後ろめたい気持ちになりがちなので、これまでのお金の使い道など小さな嘘を重ねてしまう人もいます。

ギャンブルの頻度を聞かれたときに、本来は週1回行っていたところを月1回と答えてしまったり、実際に行っていたギャンブルとは異なる内容を伝えたりするのは印象を悪くするでしょう。

結局は管財人の調査によって真実が明らかになるため、後からばれてしまう嘘は初めから付いてはいけません。

免責許可を受けるためには、反省して同じ失敗を繰り返さない意思を姿勢で示すことが大切ですが、嘘をつく行為はそれに反することになります。

ギャンブルに関することをありのまま話さずに、事実を隠したり嘘をついてしまうことは免責を受けるためには逆効果です。

自分にとって不利になることを伝えるより、嘘をつく方が結果は悪くなるため、ありのままを素直に伝えましょう。

(3)ギャンブルから一切手を引く

ギャンブルによって返済が困難な借金を負ったことを深く反省し、経済的な再建をする意思と姿勢を示すため、ギャンブルから一切手を引かなくてはいけません。

もともとギャンブルによる借金は免責不許可事由に当てはまることから、原則自己破産は認められません。

ただし、例外的に深く反省している姿勢を示すことで、裁判所の裁量で免責を許可してもらえます。

裁判所から反省していると認識してもらわなければならないにもかかわらず、借金の原因となったギャンブルを継続していては、裁判所が容易に免責を認めるわけにはいきません。

再びギャンブルで借金を作るのではないかと疑われるのは当然なので、ギャンブルからは一切手を引きましょう。

どうしてもギャンブルをやめられない場合は、専門的な医療機関で、治療を受けるのも一つの選択肢です。

自己破産を機会にギャンブルから距離を置きましょう。

4.自己破産ができないときの対処法

自己破産ができないときの対処法

万が一、自己破産で免責を受けられなかった場合は、個人再生の手続きをとることを検討してみましょう。

個人再生とは、自己破産と同様、借金を返済することが困難であることを裁判所に申し立てて、借金を5分の1程度に減額し、それを返済していく手続です。

自己破産が借金の支払い義務が免除されるのに対して個人再生では一部支払い義務が残るのですが、個人再生では、借金が大幅に減額されることに加えて、ケースに応じて自己破産のように資産価値の高い財産を手放さなくて済むという利点もあります。

また、資格制限を受けないため、収入が一時的にゼロになる心配もありません。

借金の総額が5,000万円以上になると個人再生はできませんが、5,000万円未満であれば手続が可能です。

自己破産で免責許可が下りなかった際は、個人再生が可能か弁護士と相談してください。

また予め自己破産によって免責許可を受けることが難しいことが明らかな場合は、自己破産を行わずに最初から個人再生の手続きをとるべきでしょう。

まとめ

ギャンブルによる借金は原則として自己破産による支払い義務の免除が認められません。

しかし、反省していることを示すことで、裁量免責を受けられる場合があります。

そのためには、嘘はつかず、誠実に対応することがポイントです。

ギャンブルによる借金がある場合でも最初から諦めるのではなく、弁護士と相談し、破産手続きを進めるにあたっては免責許可が下りるようにしっかり対策を立てましょう。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。