過払い金が戻ってこないケースとは?過払い金請求の主な流れを紹介

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「過払い金が発生していても戻ってこないことってあるのか?」
「過払い金が戻ってくる場合はどう請求したらいいのか?」

過払い金請求の対象者の中には、請求をしても過払い金が戻ってこないかもしれないと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

借入をしていた消費者金融やクレジットカード会社や借入の内容次第では、過払い金が戻ってこないケースがあります。

本記事では、過払い金が戻ってこないケースについてご紹介するので、該当しているか確認のうえ、過払い金請求の手続を進めましょう。

1.過払い金が戻ってこない3つのケース

過払い金が戻ってこない3つのケース

過払い金が発生している方でも、場合によっては過払い金の返還を請求できないことがあります。

以下の3ケースに該当する場合は、過払い金が戻ってこない可能性が高いです。

  1. 過払い金の請求期限を過ぎている(時効期間が経過している)
  2. 貸金業者が倒産している
  3. 過払い金以上の借金をしている

順にご説明するので、これらの内容に該当していないか確認してみましょう。

(1)過払い金返還の請求期限を過ぎている

過払い金の請求期限が過ぎている場合は、過払い金が戻ってこない可能性が高いです。

消費者金融やクレジットカード会社との最終取引日から10年経過すると、過払い金請求権が消滅時効にかかってしまいます。

たとえば、2012年の4月1日に借金を完済し、その後何もその消費者金融やクレジットカード会社と取引が無かった場合、10年後の2022年4月1日を迎えてしまうと、過払い金の返還を受けられなくなってしまいます。

ただし、10年経過していても、同一の消費者金融やクレジットカード会社から再度お金を借りた場合には過払い金を請求できるケースがあります。

完済日から10年経過する前に、さらに同じ貸金業者から借金をしていれば、前の取引と後の取引が一連一体の取引と考えられるケースがあり、その場合には時効期間が伸びることがあります。

(2)貸金業者が倒産している

お金を借りていた貸金業者がすでに倒産している場合は、過払いの返還を受けることは難しいです。

ただし、貸金業者が破産をしても、その貸金業者に資産が残っている場合、配当という形で一部の過払い金を受け取れる可能性はあります。

その場合の金額は発生している過払い金の数パーセントなど非常に低いパーセンテージで計算された金額になります。

取引をしていた貸金業者が倒産していないか確認しておきましょう。

また、事業譲渡や吸収合併等で別の貸金業者に引き継がれているケースもありますが、その場合には過払い金の返還請求ができる可能性は残ります。

(3)過払い金以上の借金をしている

過払い金以上の借金をしている場合は、過払い金請求をしても借金の残高に過払い金が充てられるため、手元に過払い金は戻ってきません。

たとえば、100万円の借金があり、50万円の過払い金がある場合、残っている借金に過払い金がまず充てられるため50万円の借金が残ります。

借金の残高がある状態で過払い金請求をすると、まずは借金の残高に過払い金を充てていくという計算になることを押さえておきましょう。

クレジット会社とのキャッシング取引で過払い金が生じていて、ショッピング取引で残高があるケースも同様で、ショッピングの残高と相殺の処理をまず行い、それでも過払い金が多い場合に手元に過払い金が戻ってきます。

ちなみに、過払い金請求をして、借金の残高を減額していってもまだ借金が残るケースだと、債務整理としてその貸金業者に受理されてしまいます。

この場合には信用情報機関に事故情報が記録され、クレジットカードのりようができなくなったり、新規での契約ができなくなったりするので、注意しましょう。

信用情報機関への登録されるか事前に確認して過払い金返還を請求する方法としては、過払い金返還請求をする前にまず取引履歴の開示を求めて、引き直し計算を行い、具体的な過払い金の金額をみて、借金の残高が残らないことを確認したうえで、過払い金返還を行う方法があります。弁護士にお尋ねください。

2.過払い金の対象ではない3つのケース

過払い金の対象ではない3つのケース

以下の3つのケースに該当する場合は、そもそも過払い金が発生していないため、過払い金が戻ってこないケース同様に請求ができないケースになります。

  1. 最初の借入から金利が利息制限法の上限利率に収まっている
  2. クレジットカードのショッピング取引
  3. 貸金業法改正以降に最初の借金をした

順にご説明します。

(1)金利が利息制限法の上限利率に収まっている

消費者金融やクレジットカード会社からの借入の金利が利息制限法に規定されている制限利率(15~20%)に収まっている場合は、そもそも過払い金が発生しません。

過払い金は、利息制限法に規定されている制限利率を超える金利で借入をした場合に発生します。

また、消費者金融やクレジットカード会社は2010年頃取引の途中から金利を下げていることがほとんどですので、今現在の金利が利息制限法所定の利率に収まっていても、過去に高い利率で借入をしている期間があれば過払い金は生じます。

過去の利息が分からない場合は、弁護士に依頼して過去の取引履歴から調べてもらうことが可能です。

今の時点ではなく、一番最初の契約時の金利が利息制限法内に収まっているかが大切ですのでその点を確認しましょう。

ちなみに、借入先が銀行の場合は、過払い金が生じません。

以前から銀行は利息制限法所定の利率を守って貸付を行っているためです。

しかし、銀行系列のクレジットカードのキャッシングでは、利息制限法の上限利率を超えた金利で貸付を行っていたことがあります。

クレジットカードのキャッシング枠で借入をした方は、過払い金が発生している可能性があるので、弁護士に確認を依頼しましょう。

(2)クレジットカードのショッピング枠を利用している

クレジットカードのショッピング枠を利用している場合は、過払い金の対象になりません。

キャッシング枠の場合は、制限利率を超えていれば過払い金が戻ってきますが、ショッピング枠の場合は、クレジットカード会社による立替払い扱いになります。

そのため、元金とは別に支払ったお金は、利息ではなく手数料という扱いになるので、利息制限法が規制をする対象にならないのです。

(3)貸金業法改正後に借金をしている

貸金業法改正後に最初の借入をしている方は、過払い金は発生していません。

2010年6月18日に改正貸金業法が施行され、グレーゾーン金利が撤廃されました。

貸金業法の改正後は、貸金業者が利息制限法所定の制限利率に収まる金利で貸付を行っているため、過払い金が生じません。

貸金業法が改正される前で、グレーゾーン金利で借入を行った方は、過払い金が戻ってくる可能性が高いので、最初の契約日が2010年6月18日より前か確認してみましょう。

3.過払い金を請求するときの主な流れ

過払い金を請求するときの主な流れ

これまでご紹介したケースに該当していない場合は、過払い金が戻ってくる可能性があります。

弁護士に依頼をして過払い金の返還を請求する場合の流れは以下のとおりです。

  1. 弁護士に相談
  2. 取引履歴の開示請求
  3. 過払い金の調査・計算
  4. 貸金業者などへの過払金請求
  5. 貸金業者などとの交渉
  6. 過払い金返還請求訴訟を提起
  7. 過払い金の返還

過払い金が発生している可能性があると思われた方は、まずは弁護士に相談して、過払い金請求に向けて動き出しましょう。

法的な争点が少なくて貸金業者とスムーズに交渉が進めば、4~5か月ほどで過払い金が戻ってきますが、金額に折り合いがつかず、過払金返還請求訴訟を行う場合には、4ヵ月~1年程度期間を要することがあります。

過払い金が戻ってくるまでにある程度の期間を要するので、なるべく早く始めの行動をとっておいた方がよいでしょう。

まとめ

過払い金請求の期限を経過していたり、貸金業者が倒産していたりすると、過払い金の返還を受けることが難しくなります。

過去に利息制限法の上限利率を超える金利で借入をしていた期間がある場合で、今回ご紹介した過払い金が戻ってこないケースに該当しない場合は、過払い金が戻ってくる可能性があります。

過払い金が発生しているかもしれないと思われた方は、まずは弁護士に相談して過払い金の返還が受けられそうか確認してみましょう。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

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