過払い金請求のリスクとは?手続後のデメリットも解説

過払い金請求のリスクとは?手続後のデメリットも解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「過払い金の返還請求をしようか迷っているけど、何かリスクがあるのではないか」

過払い金は借金の返済時に払いすぎたお金が返ってくるものですが、手続をすることによって自分に不利益が出るのではないかと心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とくに多くの人が心配するのが「ブラックリスト入り」ですが、基本的に過払い金を請求したとしても信用情報機関に金融事故として掲載されることはありません。

この記事では過払い金の返還請求をするリスクと、手続後のデメリットをご説明しますので、返還請求に不安がある方はご一読ください。

1.過払い金の返還請求をするとリスクが発生するのか

過払い金の返還請求をするとリスクが発生するのか

過払い金の返還請求のリスクとして、一番想像しやすいのは、信用情報機関に事故情報として登録されることです(いわゆる「ブラックリスト入り」)。

とはいえ過払い金の返還請求によってリスクが発生するかどうかは、債権者に対しての借金を完済しているか、それとも返済中であるかによって異なります。

ここからは「返済完了後の返還請求」と「返済中の返還請求」に分けてリスク発生の可能性を解説しますので、ブラックリスト入りを気にされている方はチェックしてみてください。

(1)返済完了後の過払い金の返還請求は事故情報が登録されない

借金を完済した後に過払い金を請求する場合、信用情報機関に事故情報として登録されることはありません。

返済利率が年利20%以上である、取引の開始が平成22年より前であるなどの場合、過払い金が発生している可能性がありますので、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

事故情報が登録されない(ブラックリスト入りしない)ということは、その後に新しくローンを組んだりクレジットカードを作ったりするときも妨げにならないということです。

完済後の過払い金返還請求であれば、そのような心配は不要です。

(2)返済中に過払い金の返還請求するとブラックリスト入りする場合がある

借金と過払い金の関係 ブラックリスト入りの要否
過払い金が借金よりも多い 過払い金で借金を完済することになるため、完済したことだけが信用情報機関に登録される
過払い金が借金よりも少ない 過払い金を充当しても借金を完済できず、任意整理を開始したことが信用情報機関に登録される可能性がある

(1)で返済完了後の過払い金の返還請求はブラックリスト入りしないとご説明しましたが、借金の返済中に過払い金の返還請求をした場合は信用情報機関に事故情報が登録される場合もあります。

それは「過払い金の金額が借金の金額よりも少ない」ケースです。

過払い金の金額が借金の金額を上回っていれば、過払い金で借金を完済することになりますので、完済した事実だけが信用情報機関に登録され、事故情報は登録されません。

しかし、過払い金の金額が借金の金額よりも少ないと、過払い金で借金を返済しきれず、任意整理によって債務を圧縮したと扱われ、任意整理の開始という事故情報が信用情報機関に登録されてしまう可能性があります。

未だ返済を続けている状況での過払い金返還請求は、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうリスクがあるため、事前に弁護士に相談の上、ブラックリスト入りを回避できるように手立てを考えるようにしましょう。

2.過払い金の返還請求をするデメリット

借金を返済中の過払い金の返還請求で、過払い金が借金の残高よりも少ない場合はブラックリスト入りすることをご説明しましたが、ブラックリスト入りしなくとも影響が生じることがあります。

過払い金返還請求をした場合には以下のような影響が生じる可能性があります。

  • 過払い金の返還請求の対象にした会社を利用できなくなる可能性がある
  • 過払い金の返還請求しても借金完済できない場合は新たなローンが組めない(ブラックリスト入りによる影響)

詳しくご説明します。

(1)過払い金の返還請求をした会社を利用できなくなる可能性がある

過払い金の返還請求をした相手方の会社との間では、今後取引ができなくなる可能性があります。

会社は、自己に不利益な顧客の情報を個別に保有していることがあり、過払い金の返還請求をしたことも会社にとって不利益な情報と判断していることがあります。

このような情報が残っていると、その会社は、その後の取引に応じてくれなくなります(「社内ブラック」といいます。)。

次にご説明するとおり、信用情報機関に事故情報が登録されることによる不利益は、完済から5年で解消されます。
しかし、社内ブラックの場合はその期間が経過しても続くものと考えていた方がよいでしょう。

社内ブラックはあくまで会社ごとに情報を保有していることによる不利益ですので、過払い金の返還請求をした会社以外には影響がありません。

社内ブラックによる借入れ、クレジットカードの利用ができない場合は、他の会社を利用するようにしましょう。

(2)過払い金の返還請求をしても借金完済できない場合は新たなローンが組めない

すでにご説明したとおり、過払い金の金額が借金の金額よりも少なく、過払い金での完済ができなかった場合にはブラックリスト入りする可能性があります。

ブラックリスト入りすると、その後新たにローンやクレジットカードの利用申込みをしても断られてしまうようになります。

信用情報機関に事故情報が登録されていると、与信審査時に金融機関等からの照会によってそのことが判明し、借金の返済を続けていけるかどうか疑問があると判断され、審査を否決されてしまうからです。

過払い金の返還請求をしていない会社であっても、与信審査時の照会を行うことになっていますので、社内ブラックの場合と異なり、ほとんどすべての機関等との取引に影響が生じることとなります。

一方で、信用情報機関登録された任意整理の情報は完済から5年で抹消されることになっています。

そのため、社内ブラックと異なり、影響は一時的といえます。

3.過払い金の請求をするメリット


過払い金の返還請求を行うメリットは、お金が戻ってくることに尽きます。

借金の返済中であっても、過払い金の金額が大きければ借金を完済できるかもしれませんし、借金の金額の方が多い場合でも過払い金により、借金を減額できたり、当面の生活資金に充てたりすることにより、生活の立て直しを図ることも可能になるかもしれません。

まとめ

この記事では過払い金の返還請求をすることによるリスクと、手続後のデメリットについてご説明しました。

過払い金の返還請求のリスクとして多くの人が思い浮かべるであろう「ブラックリスト入り」は、一部のケースのみで発生するものであり、返還請求イコールブラックリスト入りいうわけではありません。

過払い金の返還請求のタイミング 過払い金の返還額 信用情報機関への事故情報の登録
借金を完済している場合 ー(無関係) 登録されない
借金を返済中の場合 返還額 > 借金額 登録されない
返還額 < 借金額 登録される可能性がある

過払い金の返還請求後にブラックリスト入りしなかった場合でも、請求先の貸金業者やクレジットカード会社を利用できなくなる場合もありますが、請求先以外の会社では取引に影響が出ることはありません。

ブラックリスト入りしてしまう場合には、完済から5年間は新たなローンを組んだりクレジットカードを作るのが難しくなります。

とはいえ借金によって今の生活が圧迫されているのであれば、過払い金の返還によって借金を減額したり、生活費の足しにすることも可能です。

過払い金の返還請求後のリスクは、取引先を選ぶことによって回避することができたり、時間が経てば解消したりするものです。

過払い金について気になることがあれば、弁護士法人みずきまでご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。