借金の返済中に過払い金請求はできる?注意点やメリットをご紹介

借金の返済中に過払い金請求はできる?注意点やメリットをご紹介

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「借金の返済中でも過払い金請求はできるのだろうか」
「注意しなければならないことはなんだろう」

返済中であっても過払い金の請求ができる可能性があり、引き直し計算をすると過払い金の額がわかります。

本記事では、返済中に過払い金請求できる2つのパターンや注意点について解説します。

1.借金返済中に過払い金を請求できる2つのパターン

借金返済中に過払い金を請求できる2つのパターン

借金の返済中でも過払い金があれば、借金を減額できるかもしれません。

どのくらいの過払い金があるか調べるには、引き直し計算を行います。

引き直し計算とは、貸付けや返済などすべての取引を利息制限法所定の制限利率に従って計算し直して、借金の残高を調べる方法のことです。

借金返済中の場合、利息制限法で定める制限利率を超えた利息分(過払い金)も元本の返済にあてて残高を計算し直します。

引き直し計算の結果、返済中の借金は以下の2パターンのどちらかになります。

  1. 残高が0を下回り過払い金が発生する
  2. 残高が減額される

制限利率を超えた利息分を元本に充当した結果、借金が完済されてもなお貸金業者へ支払ったお金が多いと、過払い金としてお金が返ってきます。

借金が完済されなくとも、払いすぎた利息があればそれが元本に充当されるため、今後返済すべき残高は少なくなります。

過払い金を算出するために、引き直し計算について詳しく見ていきましょう。

(1)引き直し計算の方法

引き直し計算の方法は、以下のとおりです。

  1. 貸金業者から取引履歴を入手する
  2. 各取引について利息制限法上の上限利率に従った利息を計算していく

取引履歴とは、何月何日にいくら借りていくら返したのかを記録した明細のことです。

これは、貸金業者に請求することにより入手することができます。

利息を計算する際は、元本の変動による利率の変更や借り換え・再借入れによる借入額などについても考慮して計算する必要があります。

インターネット上の検索サービスで検索すると、引き直し計算用のツールを入手することもできます。

取引履歴を取り寄せ、計算ツールを入手すれば個人でも過払い金の金額を計算できることになります。

しかし、一般の方がご自身で引き直し計算をすることはおすすめしません。

たとえば、過払い金の返還請求については、取引の分断など、単に計算ツールで計算するだけではわからない問題があります。

このような問題について気付かずに貸金業者に請求をしても、返還を断られたり大幅に減額されたりしてしまうだけです。

弁護士に依頼すれば、上記のような問題の調査も含めて面倒な計算を任せることができます。

過払い金の請求を確実に行うなら、弁護士に任せてしまいましょう。

2.借金返済中に過払い金を請求する時の注意点やデメリット

借金返済中に過払い金を請求する時の注意点やデメリット

借金の返済中に過払い金を請求するにあたって、どのようなデメリットや注意点があるのか確認しましょう。

(1)信用情報に影響が出ることがある

借金を完済する前に過払い金を請求すると、信用情報に影響が出る可能性があります。

過払い金請求を行ったことにより残りの借金がすべてゼロになる場合、信用情報への影響はありません。

しかし、過払い金請求を行っても、借金が減額されるにとどまり残額があるという場合は、事故情報が登録され信用情報に影響が出ることとなります。

借金の支払が残った場合、債務整理(任意整理)手続と同様の扱いになるため、残額を完済してから5年が経過するまでの間、信用情報機関に事故情報が残ってしまう可能性があります。

いわゆる「ブラックリスト入り」という状況です。

こうなると、審査時に事故情報があることがわかってしまい、その人の支払、返済の可能性に疑問があるということになってしまいますから、新しくローンを組めなかったりクレジットカードを作成できなかったりといった影響を受けることになってしまいます。

(2)過払い金請求には時効がある

過払い金には時効があり、請求できる期間が限られています。

過払い金返還請求権は、最後に取引(借入れ、返済)をした時から10年で消滅時効が成立します。

返済中であれば、取引から10年が経過していることはあまりないと思います。

しかし、10年以上前に一度完済しており、その後に間を空けて借入れを再開した、という場合は注意が必要です。

このような場合、完済した時点で取引が終了しており、その後の借入れは別のものであると判断されることがあります(「取引の分断」という問題です。)。

そうなると、前の取引について時効が成立しており発生していた過払い金を請求できず、後の取引ではそもそも過払い金が発生していない、ということもあり得ます。

返済中であっても時効がかかわってくる場合があり、その判断には専門的な知識が必要になります。

そのため過払い金が発生しているかどうかを確認するためには、弁護士へ相談されることをおすすめします。

3.返済中に過払い金返還請求をするメリット

返済中に過払い金返還請求をするメリット

完済する前に過払い金を請求するメリットは、以下の2つです。

  1. 借金を減らせる可能性
  2. お金が返ってくる可能性

返済途中に過払い金の請求を行えば、借金を減額できる可能性があります。

月々の返済額が大きく生活に負担を感じている方なら、借金を減額することで生活に余裕ができるでしょう。

場合によっては借金の完済だけでなく、お金が返ってくる可能性もあります。

高い利率で返済していた期間が長かったり、完済間際だったりすると、借金残高よりも過払い金の方が大きくなり、お金が戻ってくるかもしれません。

返済で生活が苦しい方や完済間際の方は、返済中でも過払い金を請求するメリットがあります。

4.返済中か完済後どちらに過払い金の請求をすべき?

返済中か完済後どちらに過払い金の請求をすべき?

毎月しっかりと返済できており、近々ローンを組んだりクレジットカードを作成する予定があったりする場合は、信用情報機関への登録を避けるため、完済後に過払い金を請求するということも考えられます。

ただし、取引履歴の開示だけであれば、返済が滞らない限り、貸金業者は信用情報機関への登録を行うことはありません。

そのため、過払い金発生の調査だけであれば、ブラックリスト入りのデメリットを避けることができます。

一方、返済中に貸金業者が倒産してしまうと、過払い金が戻ってこない可能性があります。

したがって、このようなリスクとブラックリスト入りの両方を避けるならば、まず、過払い金の有無の調査を行うのがよいでしょう。

調査により、過払い金が発生していることがわかった時点で返還請求をすれば、完済を待たずにブラックリスト入りを避けつつ過払い金の返還請求ができます。

この際、誤った形で貸金業者と話をすると、事故情報を登録されてしまうこともあります。

したがって、過払い金の調査だけであっても弁護士に依頼することをおすすめします。

なお、3か月以上延滞をしたことがある方は、すでに信用情報機関に延滞の事故情報が登録されている可能性があります。

返済が追い付かず滞納しがちであり借金を少しでも減らしたいという状況であれば、過払い金請求することにより借金の減額を目指すという選択肢をとることもできるでしょう。

まとめ

借金の返済中であっても、過払い金を請求できる可能性があります。

ただし、個人の信用情報に影響が出たり、返済額を減らせなかったりすることもあるため、慎重な判断が必要です。

過払い金があるかもしれないと思うなら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

過払い金の有無や正確な金額、回収のリスクなどの見通しを専門家目線でアドバイスしてもらいましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。