多重債務を放置するリスクとは?主な解決方法を解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「多重債務に陥るとどのようなリスクがあるのか」
「多重債務を解消するにはどうしたらいいのか」

多重債務で苦しんでいる方の中には、なんとか解消する方法はないのかとお考えの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、多重債務を放置するリスクや解決方法についてご紹介します。

1.多重債務を放置するリスク

多重債務とは、複数の金融機関から借金をして返済が困難となっている状態のことをいいます。

多重債務となっている場合、借入れを行って別の金融機関への返済にあてるいわゆる「自転車操業」状態に陥っていることが多いです。

このような状態となると、いつまで経っても借金が減らないということになってしまいますので放置するのは危険です。

具体的には以下のようなリスクが考えられます。

  1. 利息で借金が膨らむ
  2. 遅延損害金が発生する
  3. 督促や一括返済を求められる
  4. 信用情報機関に事故情報として登録される
  5. 訴訟の提起や差押えに移行する可能性がある

順にご紹介します。

(1)利息で借金が膨らむ

返済のために借金を繰り返している状態なので、元金は減ることがありません。

そのため、元金に対して発生する利息もどんどん増えていくため、結果として借金が膨らむのです。

収入が増えたり、大きな臨時収入があったりすれば状況が変わることもあります。

しかし、そのような大きな変化がなければ解決は難しいというべきです。

また、住宅ローン、銀行からの借入れ、クレジットカードのショッピング等を除く債務の総額が年収の3分の1を超えると、新たな借入れができなくなるという総量規制が行われています(貸金業法13条の2)。

そのため、自転車操業にもいずれ限界が訪れてしまいます。

(2)遅延損害金が発生する

返済が滞り、期日までに返済できない場合には遅延損害金が発生します。

遅延損害金の利率は、利息よりも高く定められているため、債務額が増えるのも早くなります。

さらに、支払の滞納期間が長くなればなるほど、遅延損害金の額が大きくなるため、その分だけ債務額が大きくなる点に注意が必要です。

遅延損害金がいつから発生するかについては各金融機関との契約次第ですが、1か月以上滞納している方は遅延損害金の発生に気を配った方がよいでしょう。

(3)督促や一括返済を求められる

滞納期間が長くなると、債権者から電話や手紙で督促の連絡がくるようになり、それに応じなければ一括返済を求められるようになります。

いきなり一括返済を求められることはあまりありませんが、督促状を何度か受け取って何もリアクションしていなければ、一括返済を求められる可能性が高いです。

すでに督促状を受け取っている方は、返済の余裕があるのであれば、すぐに債権者に連絡をして、返済する意思があることだけでも伝えておきましょう。

(4)信用情報機関に事故情報として登録される

一定期間滞納期間が続くと、信用情報機関にその情報が登録されます。

信用情報機関は、各金融機関から顧客情報の提供を受けて管理し、反対に各金融機関から信用情報の照会を求められたときにはこれを提供するという業務を行う機関です。

滞納した事実は、その人の返済能力に問題があるということを示す事故情報となってしまい、信用情報機関への照会により各金融機関がこれを知ることになります。

事故情報があると、金融機関が行うクレジットカードやローンの審査に通らなくなってしまいます。

そのため新たな借入れはできなくなりますし、クレジットカードの利用も止められる可能性があります。

家賃や水道光熱費等をクレジットカード払いにしている方は、支払方法の変更をしておきましょう。

(5)訴訟の提起や差押えに移行する可能性がある

督促を無視した状態が続くと、債権者から訴訟を提起されたり差押えを実行されたりする可能性があります。

訴訟を提起されているにもかかわらず何もしなければ、そのまま敗訴となり、控訴期間を徒過してしまうと判決が確定します。

確定判決は債務名義と呼ばれ、債権者がこの債務名義に基づいて強制執行を申し立てる可能性が出てきます。

預金口座や給与の一部も差押えの対象になるため、差押えを受けると、生活に対して大きな影響を受けるリスクがあります。

そのため、裁判所から通知が届いたら放置せずに対処しなければなりません。

裁判所からの書類が届いている方は、速やかに弁護士に相談しましょう。

2.多重債務を解消する方法

多重債務を解消するためには、債務整理の利用を検討しましょう。

債務整理とは、借金の返済に困窮している人を救済するための制度で、借金の減額や免除を受けることができます。

債務整理には、主に以下の3つの方法があります。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

どの方法を選ぶかは、借金の総額や返済能力等によって決まります。

自分で手続を進めることも可能ですが、手続についての十分な知識が求められるため、弁護士に手続を依頼するのがおすすめです。

順に紹介しますので、具体的な違いについて把握しておきましょう。

なお、それぞれの内容について以下の記事で詳しく説明していますので、あわせてご確認ください。

債務整理のやり方とは?種類や主な注意点を解説

(1)任意整理

任意整理とは、弁護士が債権者と和解交渉を行い、借金の減額を図る方法です。

将来利息部分をカットしたり、返済期間を5年程度にした分割払いの設定をしたりできるように交渉し、月の支払額や将来にわたっての支払総額を減額していきます。

任意整理は、裁判所を通さない手続であるため、書類の収集等がほとんど必要なく、家族や知人に知られるリスクが低い点がメリットです。

また、任意整理の対象を選べるため、住宅ローンや自動車ローンを任意整理の対象から除外することで住宅・自動車を失うリスクを回避できます。

一方で、短期の返済期間しか認めなかったり、そもそも交渉に応じてくれなかったりする債権者も存在するため、必ずしも成功するとは限りません。

債務者本人による交渉では厳しい態度で臨んでくる債権者も多く、また減額幅が小さい和解になってしまうリスクもありますので、弁護士に依頼して進めるのがよいでしょう。

(2)個人再生

個人再生は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金額をその総額によって決められた割合で減額して返済していく手続です。

裁判所を通した手続ですが、住宅ローンの支払を手続とは別に継続する条項(住宅資金特別条項)を定めることにより、住宅ローンの会社を実質的に除外して支払を継続しながらほかの債務を減額できる点が大きなメリットです。

また、借入れの原因が浪費であるなどの理由で自己破産を利用できず、任意整理では解決できないような高額な借金がある場合にも選択されることが多いです。

個人再生をすることで、債務を大きく減らせるほか、自己破産に設けられている資格制限も受けないため、手続中も仕事を変えずに済みます。

しかし、手続の利用にあたっては細かな要件が定められています。

具体的には、安定した収入を得ていることや借金の総額が5000万円を超えないことなどが求められます。

また、官報に個人情報が掲載されるため、個人再生をした事実が周囲に知られるリスクもあります。

もし個人再生をするか迷っている方は、個人再生を行うべきか弁護士に相談してみましょう。

(3)自己破産

自己破産は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう手続です。

借金が全額免除されるかわりに、資産価値の高い財産は手続の中で換価され債権者への配当にあてられてしまいます。

また、手続中に警備員、保険の外交員などの資格について制限を受けるため、一時的に仕事を休んだり、転職したりする必要が生じることもあります。

個人再生と同様、官報に個人情報が掲載されるため、周囲の人に知られるリスクがあります。

このように大きなデメリットがあるように見えますが、これらを解決できればメリットは大きいため、借金の金額が大きく減額しても返済が困難という場合には検討することをおすすめします。

まとめ

多重債務状態を放置するのはかなりリスクが高いです。

債務整理をすることで、その状態を解消することはできるので、収入が増える見込みがない方は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

弁護士法人みずきでは、借金に関する相談を無料で受け付けておりますので、多重債務でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

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