家を差し押さえられたらどうなる?差押え後の住居について

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。

「家を差し押さえられてしまい、どうすればいいのかわからない」
「家を差し押さえられた後、どのような手続があるのか知りたい」

ローンや税金を滞納した結果、家を差し押さえられてしまうと、今後に関して大きな不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。

差押えと聞くと、すぐさま売りに出されるイメージを持つ方も多いですが、強制執行はすぐに行われるものではありません。

本記事では、差押えを回避するためにできることや、差押えされた後の流れ、実際に家が売却されて次に住むところを探す場合の注意点についてご説明します。

1.差押えとは

差押えとは、裁判所が債権者からの申立てに基づいて債務者による財産譲渡などの法律上の処分を禁じるための法的手段です。

差押えという法的処分をとることで、債権者としては、債務者に収入を自由に使わせなかったり、資産を自由に処分させなかったりすることができます。

借金の滞納による差押えの対象となる財産は、債権、動産、不動産など、あらゆる財産が対象になりますが、中でも債権を差し押えられることが多いです。

不動産については差押えを行うためにかかる費用や時間など債権者にとって負担が大きいためです。

ただし、滞納額が高額になっている場合は、家やマンションを差し押えられる可能性があります。

また、住宅ローンを組んでいる場合、設定された抵当権の実行により住宅を競売にかけられることがありえます。

差押えは、具体的な実行日時等の情報が債務者へ連絡されることはありませんが、その前後の返済の督促などである程度のタイミングを予想できるケースが多いです。

家を差し押さえられた場合には、今後の流れや対処法について弁護士に相談することをおすすめします。

2.差押えの対象になる財産と対象外になる財産

借金の滞納による差押えの対象となる財産は、債権、動産、不動産など、あらゆる財産が対象になります。

差押えの対象には以下のようなものがあります。

差押えの対象となるもの

  • 預貯金
  • 給料
  • 退職金
  • 土地や家屋
  • 株式
  • 自動車
  • 生命保険

これらの財産の内、特に差押えを受けやすいのは預貯金と給料といった債権になります。

なお、債務者の生活のために差押えをすることができない財産(民事執行法131条、152条等。「差押禁止財産」といいます。)があり、これに該当するものは手元に残すことが可能です。

差押禁止財産には以下のようなものがあります。

差押えが禁止されているもの

  • 66万円までの現金
  • 33万円までの給料(給料の手取り金額が44万円以下の場合その4分の3)
  • 退職金の4分の3
  • 債務者の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
  • 債務者の1か月間の生活に必要な食料及び燃料
  • 債務者の職業に応じて、その業務に欠くことができない器具等
  • 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
  • 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に欠くことができない物

最低限の生活を送るために必要なものや、仏像などの礼拝、祭祀に関連するものは「差押禁止動産」として、差し押さえることができません。

2.家を差し押さえられた後の流れ

家を差し押さえられた後の流れは以下の通りです。

家を差し押さえられた後の流れ

1.競売開始決定
2.執行官による現況調査と評価
3.売却基準価格の決定
4.裁判所から期間入札通知が届く
5.自宅の競売の公告・入札・開札
6.代金の納付と所有権の移転

これらは短期間で進むわけではなく、競売開始決定から売却基準価格の決定までに1〜2週間、期間入札通知までに3〜5か月と、入札開始までに半年近くの期間を要します。

強制執行回避のために任意売却をする場合は、期間入札が開始される前までにすべての手続を完了させ、競売申立ての取下げをしてもらう必要があります。

3.差し押さえされた後の住居について

自宅を差し押さえられ、競売にかけられてしまうと、現在住んでいる家から引っ越しする必要があります。

差押えを受けた後に住居を借りる場合は以下の点を参考にしてみてください。

1.信販系の賃貸保証会社を利用している賃貸物件は選ばない
2.公営住宅の利用もおすすめ

順にご説明します。

(1)信販系の賃貸保証会社を利用している賃貸物件は選ばない

新たな住居を探す場合、信販系の賃貸保証会社を利用している賃貸物件は選ばないようにしましょう。

ローンなどを滞納すると、滞納したという情報がクレジットカード会社・消費者金融会社などの信用情報機関に事故情報として登録されます。

信用情報は信用情報機関同士で共有でき、借りる予定の物件が信販系の賃貸保証会社を利用している場合は、審査を通過することができません。

そのため、信販系以外の賃貸保証会社を利用している物件か、保証会社が不要の物件を探すことをおすすめします。

なお、事故情報としての登録が抹消されると、信販系の賃貸保証会社を利用している賃貸物件でも契約可能です。

(2)公営住宅の利用もおすすめ

都道府県や市町村などの公的機関が運営している公営住宅の検討もおすすめです。

入居時の審査で信用情報機関をチェックされることがなく、保証人を必要としない物件が増えています。

ただし、入居するためには一定の条件を満たす必要があり、住民税の滞納がなく、収入が一定以下で、住宅に困っている事情がないと入居できません。

公営住宅は入居したい時にすぐに入居できず、決められた日程で抽選を行うシステムを取っている自治体がほとんどです。

それでも、家賃が安く立地が良い物件が多いので、入居条件を満たしているかだけでも確認しておきましょう。

まとめ

家を差し押さえられた後、すぐに競売にかけられるわけではありません。

差押えは、具体的な実行日時などについて債務者へ連絡が来ることはありませんが、その前後の返済の督促などである程度のタイミングを予想できるケースも多いです。

今後の流れや手続について不安や悩みがある場合には、弁護士に相談してみましょう。

また、家を差し押さえられて賃貸に引っ越さなければならない場合は、今回紹介したポイントを参考に、自分の条件に合った物件を探してみましょう。

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執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。