消費者金融の借金返済に時効が成立するはどんな場合?

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。

「消費者金融の借金が時効によって帳消しになるって本当?」
「借金の時効はどういうときに成立する?」

消費者金融からの借金は、時効が完成すれば返済義務が無くなります。

そのため、消費者金融からの借金でお困りの方の中には、借金が時効で無くならないか気になる方も多いでしょう。

本記事では消費者金融における借金について時効が成立する要件や成立しないケース、時効成立を待つ上でのデメリットについてご紹介します。

この記事を読んで、消費者金融の借金問題を解決する際の参考にしていただければ幸いです。

1.消費者金融からの借金に時効が成立する可能性

一般に、借金が時効によって消滅するというときの「時効」とは、「消滅時効」のことです。

消滅時効とは、貸金などの権利について、請求や支払いがないまま一定期間が経過した場合に、権利を消滅させる制度のことをいいます。

消費者金融からの借金の支払義務について消滅時効が成立すると、借金の返済義務が消滅することになります。

もっとも、消費者金融も時効が成立しないよう債権管理を行っていることが通常です。

したがって、時効の成立によって借金が帳消しになることはそこまで多いことではないと言えます。

2.借金の支払義務に時効が成立するための要件

中には、最後に返済してからかなりの期間が経っていて、その借金の時効が成立している場合もあります。

当事務所にご相談にいらっしゃる方の中にも、一部の消費者金融からの借金について消滅時効が成立しているという方もいらっしゃいます。

そこで、借金の時効が成立する要件について、詳しく見ていきましょう。

消費者金融からの借金に時効が成立するための要件は、一般的に「借金の支払日の翌日から、時効期間が経過して時効が完成し、完成した時効を援用すると相手に伝えること」です。

たとえば、2022年4月1日に消費者金融からキャッシングをし、その支払日が2022年4月30日だった場合、貸金の消滅時効は5年のため、2027年5月1日に時効期間が経過することになります。

もっとも、契約の定めや延滞の状況によっては例外もありますので、弁護士などの専門家に相談しましょう。

(1)時効期間中に更新や完成猶予にあたる事由がない

時効の完成には、単純な時間の経過だけでなく、時効期間中に時効が更新される出来事や時効の進行が一時停止する出来事(完成猶予事由)が起きていないことが必要です。

どのような場合に更新や一時停止(完成猶予)が起きるのか、順に見ていきましょう。

#1:時効が更新されるケース

時効の更新とは、それまで進行してきた時効期間のカウントが中断され、その時点を起算点として、また一から新たに時効期間のカウントが始まることをいいます。

たとえば、先ほどの例のように、消費者金融からの借金の支払日が2022年4月30日だった場合を考えてみましょう。

支払日の翌日である2022年5月1日から時効期間のカウントが始まりますが、2024年の4月30日に「借金の支払いをしないといけないことはわかっています」などと消費者金融に対して借金の返済義務を認めたとします。

「借金の返済義務を認める」ことは、時効の更新事由になっていますから、そこまでにカウントされていた2年分の期間はリセットされ、2024年5月1日から期間が数え直しになります。

この場合、時効期間が経過するのは2029年5月1日です。

時効の更新の原因としては、主に次のようなものがあります。

  • 裁判等で借金の返済義務の存在が確定する
  • 強制執行等を受ける
  • 借金の返済義務を認める

#2:時効の進行が一時停止する(完成猶予がされる)ケース

時効の更新とは別に、一時的に時効期間のカウントが停止してしまうケースがあります。

これを「時効の完成猶予」といいます。

時効の完成猶予の事由としては、主に次のようなものがあります。

  • 裁判所に裁判等の申立てがされる
  • 裁判所に強制執行等の申立てがされる
  • 裁判所に仮差押え等の申立てがされる
  • 催告(内容証明郵便等で返済を求める文書を送るなど、裁判外で債務の返済を促すこと)

なお、2020年4月1日に改正民法が施行されました。

改正前は、時効の更新と完成猶予ではなく、時効の中断と停止という用語が使われており、2020年3月31日までに生じた事由については改正前の民法が、2020年4月1日以降に生じた事由については改正後の民法が適用されることになります。

改正によって変更された部分はいくつかありますが、時効の中断と停止も、時効期間のカウントをリセットしたり停止させたりするという点については変わりません。

また、それらが生じる事由についても、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予が追加されたほかは、大きな変化はありません。

時効が完成しているのかどうかわからないという場合は、弁護士などの専門家に判断してもらうことをおすすめします。

(2)時効制度を利用する旨を消費者金融に伝える

時効の更新や完成猶予が起きることなく時効期間が経過したとしても、それだけでは借金の支払義務は消滅しません。

時効期間が経過し、時効が完成したら、完成した時効を利用する旨を消費者金融に伝える必要があります(これを「時効の援用」といいます。)。

法律上、時効の援用の方法は決まっていませんが、時効を援用したことを記録に残すため、時効援用通知書を内容証明郵便で送る方法が一般的です。

注意点として、起算日の勘違いや期間の数え間違いなどにより、時効が完成していないうちに時効の援用をしてしまうと、相手に時効が完成間近であることを知らせてしまうことになります。

そうすると、相手は時効の更新や停止のための手段をとってくることが多く、せっかく完成間際だった時効が完成しなくなってしまうこともあります。

弁護士に依頼すれば、時効が完成しているかどうかチェックしたうえで、時効の援用を行ってくれます。

また、時効援用通知書には、時効によって消滅させたい債権を特定しなければならないなどの注意点があります。

弁護士ならこうした手続の詳細について熟知しているので、時効さえ完成していれば、確実に時効を援用できます。

3.借金の支払義務に時効が成立しないケース

借金の支払いをしないまま時間が経ったにも関わらず、時効が成立しない例を具体的にいくつかご紹介します。

(1)支払督促の申立てがあった場合

支払督促とは、借金などを支払わない相手に対し、裁判所に申し立てて支払いを命じてもらう手続です。

一般的な裁判と違い、申立人の提出した書類の審査のみで、相手方に支払いを命じる支払督促という書面が発付されることになります。

支払督促を受け取った相手方は、受領後2週間以内であれば異議を述べることができます。

この異議申立が受理されると、支払督促は効果を失い、裁判手続に移行することになります。

支払督促は、一般的な裁判に比べると簡易で時間がかからないため、消費者金融が債権回収の手段として選ぶことがあります。

この支払督促は、申し立てた時点で時効の完成猶予の効果があり、時効期間のカウントが停止します。

また、異議申立をしなかった場合、申立人の申立てによって今度は「仮執行宣言付き支払督促」が送付されます。

これにも2週間以内に異議申立をしない場合には、支払督促が確定することになります。

この支払督促の確定は時効の更新事由になっているため、止まっていた時効期間のカウントが振り出しに戻り、数え直しとなってしまいます。

したがって、消費者金融が支払督促の申立てをした場合、それだけで時効期間のカウントが停止し、そのまま放っておくと進行した期間が意味を失ってしまいます。

なお、支払督促に異議を述べた場合、裁判手続に移行し、そこで借金の返済義務の有無を争うことになります。

もしも裁判で返済義務が認められると、時効の更新事由になりますので、この場合も時効期間は数え直しになってしまいます。

(2)借金の返済義務を認めた場合

先に述べたように、借金の返済義務を認めると時効期間は数え直しになります。

ここで注意が必要なのは、直接消費者金融に対して「返済義務があると認めます」や「払います」などと宣言しなくても、借金の一部を支払ったり、支払期間の延長を頼んだりなど、借金の返済義務があることを前提とした行動をとると、返済義務を認めたとされてしまうことです。

たとえば、ある消費者金融から借金をして、支払期日を過ぎてしまったとします。

消費者金融から督促の電話がかかってきたときに、「あと数日待ってください」と答えてしまった場合、その日から時効期間が数え直しになる可能性があります。

また、法律上、時効が完成した後でも、援用する前に借金の返済義務を認めると、完成した時効が援用できなくなってしまいますので、ご注意ください。

(3)裁判所に訴訟が提起された場合

裁判所に借金の支払いを求める訴訟が提起された場合、訴訟が提起された時点で、時効の完成猶予の効果が生じます。

そして、返済義務を認める判決が出ると、その時点で時効が更新され、また時効期間が最初から数え直しになります。

4.借金の支払義務の時効成立を待つデメリット

時効期間が経過し、時効を援用できれば、借金の返済義務が消滅するという大きなメリットを得られます。

しかし、時効を成立させるために支払いをせずに時効期間の経過を待つことには、以下のようなデメリットがあります。

(1)信用情報機関に事故情報が登録される

借金の支払期日に大幅に遅れると、信用情報機関に事故情報として登録されます。

事故情報が登録されると、クレジットカードやローンの審査に通らなくなるおそれがあるなど、様々な弊害が生じます。

(2)遅延損害金が増額し続ける

遅延損害金とは、支払いが期日に遅れた場合に、追加で支払わなければならない賠償金です。

遅延損害金は、残っている元金×遅延損害金利率(契約によって異なります)×延滞日数で計算されます。

時効完成を待っている間も延滞日数は伸びていくので、遅延損害金の額が増え続けることになります。

したがって、もし時効完成前に支払督促や裁判を起こされて返済しなければならなくなった場合には、より早い段階で支払った場合と比べ、増えた遅延損害金の分だけ多く支払わなければならないのです。

(3)消費者金融からの支払いの督促が続く

一般的に、消費者金融は延滞している利用者に対して電話やメール、郵便等により支払いを求めてきます。

これらは催告として時効の完成猶予の事由になるだけでなく、精神的にも非常に負担となります。

5.借金を減額したい場合にとるべき他の方法

これまで解説してきたように、時効の成立を待つことにはデメリットがある一方、消費者金融の借金について消滅時効が成立する可能性は低いといえます。

したがって、時効の成立による借金の減額を期待するのは、あまり現実的とは言えません。

むしろ、デメリットのことを考えれば、できるだけ早く支払った方がいいと言えるでしょう。

もっとも、消費者金融からの借り入れが膨れ上がってしまったり、ほかにも債務を抱えていたりして支払いが難しいこともあるかもしれません。

その場合は、弁護士に相談して債務整理を検討することが考えられます。

債務整理とは、法的手段によって借金の減額や支払いの猶予等、借金問題の解決を目指す方法です。

主に任意整理、個人再生、自己破産の三つの手段があります。

弁護士に相談すれば、自分の状況に合った手段を提案してもらったり、その後の手続を任せたりすることができます。

また、運よく既に時効が完成している可能性がある場合でも、弁護士に相談すれば、時効が完成しているかどうかを確認してもらえます。

そうすることで、間違えて時効完成前に時効を援用しようとしてしまい、相手に時効のことを知らせてしまうといった事態を避けることができます。

反対に、既に時効が完成していたのに、一部を支払ってしまったり、支払猶予を申し入れたりしたために時効が援用できなくなるというケースも、事前に弁護士に相談すれば防ぐことが可能です。

まとめ

本記事では、消費者金融における借金の時効成立の条件や成立しないケースについてご説明しました。

消費者金融の時効成立を待つことには、様々なデメリットも考えられます。

借金に関するお悩みを抱えている方は、一度専門家である弁護士へご相談ください。

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執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。