債務整理中の新しい借入はばれるのか?絶対にやめたほうがいい理由を解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「債務整理中にまとまったお金が必要になってしまった。」
「債務整理中の新しい借入はばれなければ大丈夫?」
このように、債務整理中に支払の必要が生じ、新たな借入を検討されていないでしょうか。

債務整理中の借入はばれなければいいという問題ではなく、刑事罰に該当するおそれがあるなど、デメリットが非常に大きい行為と言えます。

今回は債務整理中の借入のデメリットや、ばれてしまった際にどうなるかを解説します。

「ばれなければいいや」と軽い気持ちで借入を検討される前に、この記事を読んで考え直されてみてください。

1.債務整理中の借入のデメリット



債務整理を行っている最中に新たな借入をした場合、その借入についても返済の必要が生じ、そもそも自分が負担する債務を増やすことになってしまい、状況は悪化してしまいます。

また、進行中の債務整理手続が中止してしまう可能性が生じますし、本来だったら負担を減らすことができたものがそのままになってしまったり、余計な手続が必要になって追加の費用が発生したりすることも考えられます。

さらに、債務整理を行っている状況での借入は、債権者に対する詐欺罪として刑事罰を受けるおそれのある行為にあたるケースもありますから、大きなデメリットしかないといえます。

ばれなければいいやということではなく、百害あって一利なし、絶対に避けた方がいい行為だということを頭に入れておいてください。

(1)任意整理中の場合

まずは任意整理の最中の借入について解説します。

ばれてしまう経緯やデメリット・リスクを確認し、安易な借入は行わないように注意してください。

#1:発覚の経緯

任意整理の交渉をする場合、弁護士は債務者から家計の状況を聞き取り、無理のない範囲での返済となるように、利息をカットするなどして債務をどの程度圧縮するか、どれくらいの返済期間に改めて取り決めることが妥当かについて、債権者と交渉をします。

したがって、依頼者が毎月返済に拠出できる金額を確認するために、家計の状況は任意整理を進めるにあたって重要な情報です。

その中に説明がつかない支出がある場合、弁護士は新たな借入の返済の可能性を疑うことになります。

このようにして、弁護士に新たな借入がばれることがあります。

また、信用情報機関には新たな借入の情報も登録されますので、これを確認することにより、債権者にも新たな借入があることが発覚する可能性があります。

#2:借入のデメリット

任意整理を行っているということは、すでに借金を返済するのが難しい状況にあるということです。

そのような状況で新たな借入をした場合、任意整理が完了すれば新たな借入についての返済も一緒にやっていける見込みがあれば詐欺罪にはなりません。

ですが、返せる見込みがないのに借入をしていれば、債権者を騙したとして、詐欺罪に当たる可能性があります。

そもそも、任意整理の進行中、もともとの債権者への返済は、受任通知を送付したことによって止まっているはずです。

それなのに新たな借入が必要になってしまったということは、そもそも収入と支出のバランスに問題があるということになります。

そうなると、仮にその後うまく任意整理による和解の成立に至ったとしても、和解の内容のとおりに返済をするのは難しいのではないかと予測せざるを得ません。

任意整理が進行している間に借入が必要になってしまうような場合は、そのまま任意整理を続けてよいのか、方針についての見直しが必要な可能性がありますから、借入をしてしまう前に、まず弁護士に相談をするべきです。

#3:余計な出費・財産を失う可能性も

任意整理中の借入が債権者に明らかとなると和解交渉が決裂してしまう可能性も考えられます。

和解交渉が決裂したということは、もう任意整理によって債務を圧縮して無理のない返済をしていくことはできない、ということになります。

そうすると、あとは自己破産や個人再生によって債務を整理するほかありません。

これらの申立てを弁護士に依頼することになった場合、通常その費用は任意整理とは別に支払うことになりますし、任意整理の場合と比べて高額になってしまいます。

また、自己破産によって財産の一部が債権者への配当に回される可能性もあります。

新たな借入をしたことで任意整理が失敗すると、余計な出費が必要になってしまうばかりでなく、本来ならば手元に残せたはずの財産が失われる可能性すらあるのです。

(2)自己破産・個人再生の場合

次に自己破産・個人再生の最中の借入について解説します。

自己破産や個人再生の最中の借入はばれてしまうと手続ができなくなってしまうことに加え、犯罪行為に該当してしまう可能性があり、絶対に避けるべき行為です。

#1:発覚の経緯

自己破産では、債務者の家計の状況や通帳を裁判所に提出することになっています。

そこに不自然な出費があれば当然新たな借入に対する返済があるのではないかと疑われることになります。

また、破産手続の開始後、管財事件の場合には郵便物が管財人に転送されますのでそこで発覚することもあります。

個人再生の場合も同様です。裁判所に選任された個人再生委員の財産調査が入る場合がありますので、これによって新たな借入が発覚する可能性があります。

このように、隠れて新たな借入をしても、それがばれてしまう機会がたくさんあるのです。

#2 借入のデメリット

自己破産は、裁判所から免責を得るために申立てをするものです。破産の準備に入った段階で借入をした場合は、その借金について免責を得ることを前提で借入をしたことになります。

このような借入は、明らかに返済の意思がないものになりますから、詐欺罪に該当する可能性が十分考えられる行為になります。

また、このような借入は、免責不許可事由に該当しますので、自己破産の手続を進めても免責を得られずに終わる可能性があります。

他にも、個人再生で、準備に入った段階で借入をし、返済をしてしまったような場合は、その返済が特定の債権者を優遇した弁済(偏頗弁済)となってしまいます。

個人再生では、再生計画を定めてその中で計画弁済額を決めこれに従って弁済をしていくことになりますが、この計画弁済額は、依頼者の財産の金額(清算価値)と総債権額それぞれを基礎に算定した金額のうち大きい方を最低金額とすることになっています。

偏頗弁済があると、支払ってしまった金額が清算価値に上乗せされてしまい、その分手続後の返済額が増額されてしまう可能性があります。

さらに、自己破産、個人再生の準備や手続が進んでいる間に借入をすると、依頼者の財産を減少させて債権者を害したこととなり、詐欺破産罪、詐欺再生罪という別の犯罪に該当する可能性も出てきます。

このように、自己破産、個人再生の準備、進行中の借入は不利な効果を及ぼし、刑事罰を受ける可能性がありますので、絶対に避けるべき行為です。

2.借入よりも生活の見直しが必要



債務整理の手続は、どのような手段にせよ、債務者の生活の立て直しのために行われるものです。

そのため、債務整理の手続を円滑に進めることはもちろんですが、債務者の方に生活を立て直そうという強い意思がなければ、手続を進めたあともすぐ債務整理前の状況に戻ってしまいます。

そうなっては、債務整理には何の意味もありません。

弁護士に依頼して債務整理の手続を進めているのであれば、債権者への返済が止まっているはずです。

そうであるにもかかわらず、新たな借入が必要になっているということは、収入と支出のバランスを見直す必要が強く求められる状況だということです。

債務整理を依頼するのと同時に、一度立ち止まって、新たな借入の必要が生じなくなるように、今までの生活を見直していただくことが必要なのです。

3.それでもお金が必要になった場合



これまでご説明したようなデメリットがあるとはいえ、急にお金が必要になってしまうということは考えられます。

その場合でも、黙って借入をしてしまうより、弁護士に相談した方が状況を悪化させずに済む可能性があります。

まずは、弁護士に相談してみてください。債務整理中の借入が債権者に発覚した場合のデメリットを説明の上、効果的な手段を一緒に考えることができます。

債務整理の経験のある弁護士であれば、例えば債務者の家計を見直して、支出を減らして、新たな借入をせずにすむよう指導することが可能な場合があります。

4.任意整理後の借入

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これは補足になりますが、任意整理後、和解内容どおりの返済を続ける中で、まとまったお金が必要になることが考えられます。

債務整理中の借入とは状況が異なりますが、任意整理によって和解が成立した後しばらくの間は、事故情報が信用情報機関に登録されており、業者からの借入は難しくなります。

そこで、この場合は、各社会福祉協議会が窓口となって実施している「生活福祉資金貸付制度」の利用など、消費者金融等に頼らない方法を検討されてみてください。

まとめ

債務整理中の新たな借入は全くおすすめできるものではありません。

債務整理が必要になってしまったら、どうか、ご自身の生活を見直して、新たな借入の必要が生じることのないようにしていただければと思います。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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