任意整理をする場合の債務総額の目安金額は?いくらで検討すべきか紹介

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「毎月の返済が大変だけど、任意整理を行うにしてもご自身の借入金額でそれが可能かわからない。」
「任意整理を行うべき借金額の目安が知りたい」
という方は多いと思います。

この記事では任意整理を行うべき金額の目安、任意整理を行うべきケース、行わない方がよいケースをご説明します。

任意整理を行うべき金額の目安を踏まえ、ご自身の借金問題解決の参考にされてみてください。

1.任意整理を行うべき借金の額の目安とは



任意整理とは、弁護士が利息のカットや長期分割などについて債権者と交渉を行い、債務者が返済しやすいように借金を整理する方法です。

任意整理を行うべき金額の目安は、その後の返済額をまかなえる返済能力によって異なります。

では、毎月どれくらい返済能力があれば任意整理を行えると言えるでしょうか?
一般的には、任意整理を考えている債務総額を36~60回で割った金額が目安になります。

これは、消費者金融との和解条件(分割回数)がおおよそ36~60回(3~5年)だからです。

例えば、債権者3社から債務総額150万円ほどを借り入れている場合、5年分割だと毎月2万5千円の返済が想定されます。

ご自身の収入と突き合わせて、同金額を毎月返済できるか検討しましょう。

またこの時、何らかの事情によって任意整理を行わない債権者がいる場合はその債権者への返済額も見込んで家計を確認することも忘れてはいけません。

上述の例で、上記3社以外に任意整理を行わない1社の毎月の返済額が1万円だった場合、毎月3万5千円の原資を確保できるかということになります。

なお、任意整理はあくまで「和解契約」、すなわちお互いの合意によって返済の方法を決めていくものです。

したがって債権者や、取引期間等によっては、より少ない回数でしか和解ができないケースもあります。

ご自身で計算して、36~60回で割った金額が返済原資ぎりぎりだった場合、任意整理以外の債務整理の方法(個人再生、自己破産)も検討する必要があります。

2.任意整理を選択したほうが良いケース



債務整理の方法は任意整理のほかにも個人再生、自己破産といった手段がありますが、ご相談者様の状況によってどの手続をご提案するか異なります。

ここでは任意整理を選ばれた方がよいと考えられる主なケースをご紹介します。

(1)特定の資産を残したい場合

破産手続きにおいては、破産者の財産は一定の財産を除いては債権者に配当されてしまうため、手続き後は自由財産の範囲内でしか資産を残すことができません。

個人再生手続きにおいては、財産の換価処分は必要ではないので、残したい資産がある場合、任意整理か個人再生のいずれかを検討することになるでしょう。

この点、個人再生手続きは、清算価値保障原則という要件があるので注意が必要です。

これは簡単にいうと、個人再生手続きによって圧縮される債務額が、債務者が所有する財産の評価額を下回ってはならないという原則です。

そのため、その財産の評価額、残したい資産の内容、金額によっては、返済額が大きくなり、再生手続きをとるメリットがなくなってしまう場合もあります。

また、個人再生手続きでは、裁判上の手続きであるため、費用も掛かりご用意いただく資料も多岐にわたります。

返済原資を確保できるのであれば、任意整理のお手続きがお勧めであるケースは多いです。

(2)特定の債権者だけを選んで債務整理を行いたい場合

自己破産や個人再生の場合、借入をしているすべての債権者がその手続きの対象となります。

例えば、ローンが残っている車などは、自己破産や個人再生の手続きを行うことで債権者に引き揚げられて売却処分されてしまう場合があります。

個人再生の住宅資金特別条項手続きを選択すれば、住宅は維持したまま個人再生手続きを行うことは可能ですが、あくまで住宅ローンに限定された制度です。

車やバイクなどの資産については、長らくローンを支払い続けていても契約上所有権留保が設定されている場合が多く、自己破産や個人再生手続きを行うことで引き揚げられてしまいます。

また下記(2)とも関連しますが、勤務先や親族、友人から借入をしている場合、自己破産や個人再生の手続きではその借入も対象となるため、手続きを知られてしまうことになります。

さらに、ご自身の借入の保証人に親族や友人がついている場合も同様です。

この場合、自己破産手続きで債務が免責されたり、個人再生手続きで債務が縮減されたりしても、その効果は保証人には及びません(附従性の原則の例外)。

したがって、保証人は債権者から責任追及されてしまいます。

このような場合任意整理では、ローン会社や親族・友人また、親族や友人が保証人をしている債務の債権者を除いて、手続きを行うことができます。

(3)周囲に債務整理の事実を知られたくないケース

自己破産や個人再生の手続きを行う場合、官報に名前等が掲載されてしまいます。

ただ、職業的に官報を確認している方を除けば、毎日発行される官報を見ている人はほとんどいないためそれによって知られてしまうリスクは低いと言えるでしょう。

一方、先述した通り、親族や友人から借入をされている場合は、注意が必要です。

すべての債権者には必ず通知がいくためそれによって、手続きを知られてしまう可能性は高いでしょう。

さらに、自己破産や個人再生手続きの申立準備においては家計に係る様々な書類の提出が求められます。

このため、家計を共にしている家族に知られずに手続きを行うことは難しいと言えます。

3.任意整理を選択されない方が良いケース



相談者の方の状況によっては任意整理が適さないケースもあります。あくまでご状況を踏まえた判断にはなりますが、任意整理を選択されない方が良いケースをご紹介します。

(1)月々の返済額が返済能力を上回るケース

先述したように、任意整理は、利息カットを行い、返済原資内で毎月分割返済していけるよう、債権者と交渉していく手続きになります。

分割返済の期間は一般的には弁護士に相談して3~5年程度なので、債務総額をその年数で分割した金額がご自身の返済能力を大きく上回る場合は、他の方法を検討すべきです。

また、任意整理で手続きを進めた場合であっても債権者によっては長期分割に応じてくれないところもあります。

交渉を行っても和解額が原資内に収まらない場合、個人再生や自己破産を視野にいれて、方針変更していく必要があります。

(2)安定した収入が見込めず手続後の滞納が予想されるケース

和解締結後は、取り決めに従って毎月決まった金額を債権者に返済していくことになります。

またその期間は5年以上になる場合も多いため、それだけ長期にわたって返済が続けられるかを検討する必要があります。

ほとんどの和解契約において、滞納額が2回分となると、債権者から一括請求をされる条項が付されます。

その場合、再和解は条件が厳しくなりますし、和解に要した費用も無駄になってしまいますので、安定した収入が長期間見込めない場合は、任意整理はおすすめできません。

(3)任意整理後の返済

前述のとおり、任意整理では利息等をカットした金額を返済していく必要があります。

債権者との交渉にもよりますが、一般的には3~5年にわけて返済していくことになるでしょう。

まとめ

任意整理を行うべき金額の目安についてご説明しました。

債務整理手続きにおいて、任意整理を行うべきか否かは、あくまでご相談者様の状況に合わせた判断が必要です。

ただし、一番重要なのは任意整理後の返済金額の見通しといえるでしょう。

現在毎月の返済に悩まれている場合は、一度弁護士にご相談ください。

弁護士が、あなたの家計と債務状況をもとに、任意整理が可能かどうか一緒に考えます。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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