任意整理に必要な書類とは?手続の流れや弁護士に相談するメリットも解説

「任意整理を行うために必要な書類は?」
「任意整理はどのようにして手続が進むのか知りたい」

借金の返済が滞り、任意整理を行うことを検討されている方の中には、このような疑問をお持ちの方もいると思います。

任意整理は、債権者と直接交渉を行い、将来的に発生する利息のカットや返済スケジュールの再設定(概ね3~5年程度)について合意し、その合意に基づいて返済を行う手続です。

ほかの債務整理の手続である個人再生と自己破産は、裁判所を通して手続が進行するため、申立ての際に提出すべき書類や資料が決まっています。

これに対して、任意整理は裁判外で手続が進み、法律で要件や手続の流れが決められているわけではないため、定型的に必要な書類があるわけではありません。

もっとも、債権者と交渉を行う上では、書類や資料が必要となる場面もあります。

本記事では、任意整理の手続を進めるにあたって必要となる書類や資料などについて解説します。

任意整理の特徴やメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

2024.11.29

任意整理とはどのような手続?メリット・デメリット、手続の流れを弁護士が解説

1.任意整理の相談時に必要となる主な書類や物

繰り返しになりますが、任意整理を行う際には、法律上で必要とされる書類や資料などは特にありません。

任意整理は、法的な制度ではなく債権者との間で直接交渉を行い、返済スケジュールや返済額などの条件を決めることになるため、定型的に必要とされるものはないです。

そのため、相談時にあれもこれもと準備をする必要はありません。

もっとも、弁護士に任意整理について相談する場合には、以下のような書類などを準備しておくと、スムーズに手続を依頼することができます。

任意整理の相談時に必要となる主な書類や物

  1. 本人確認書類
  2. 印鑑
  3. 借入れに関する書類や資料
  4. クレジットカードやキャッシングカード

順に見ていきましょう。

(1)本人確認書類

任意整理の交渉に入る前の話にはなりますが、弁護士へ依頼する際には本人確認書類を準備しておきましょう。

債務整理に限らず、弁護士と契約をする際には、必ず本人との間で契約締結をする必要があります。

そのため、弁護士において相談者が本人であるかどうかが確認できる書類が必要です。

具体的には、運転免許証やパスポートなどの書類を相談時に準備しておくことがおすすめです。

なお、本人確認の書類という性質上、顔写真付きのものが望ましいですが、健康保険証などでも問題はありません。

また、本人確認書類に記載されている住所と現在の住所が異なる場合には、直近3か月以内に取得した住民票の写しが必要となることもあります。

(2)印鑑

こちらも任意整理に限らず、弁護士は依頼を受ける際に契約書の取り交しをする必要があります。

もしも口頭のみで進めようとされた場合には、適切な手続を経るという点に無頓着な弁護士である可能性が高いので注意が必要です。

そのため、弁護士に依頼を行う際には契約書や委任状に押印するための印鑑を準備しておきましょう。

なお、印鑑は実印である必要はなく、認印であっても契約を締結することができます。

もっとも、シャチハタでは認められないことも多いため、必ず認印を持参するようにしましょう。

(3)借入れに関する書類や資料

借入れの際に金融機関などの債権者との間で取り交わした契約書がある場合には、相談時に持参することがおすすめです。

借入額や返済期日などの記載から借入総額などの借金の実態を把握することができ、債権者と交渉を行う際の方針を決める際にも参考とすることができます。

もっとも、借入時の契約書を紛失・処分している場合、これを探したり取り寄せたりしてまで持参しなければならないものではありません。

ただし、この場合であっても、残債務(借金の残額)がどの程度あるかという点はできれば答えられるようにしておくと、方針を検討しやすくなります。

督促状や自動支払機で返済した際に出てくる伝票などで残債務が確認できればそれを弁護士に伝えるようにしましょう。

また、債権者から内容証明が届いている場合や、裁判所から通知が来ている場合は、急いで対応しなければならない可能性がありますので、それらの通知も相談の際に持参するとより好ましいです。

(4)クレジットカードやキャッシングカード

クレジットカードやキャッシングカードの債務を任意整理の対象とした場合には、任意整理の手続に着手した後には利用が停止されます。

任意整理を弁護士に依頼する際には、手続の対象としたクレジットカードなどを法律事務所に提出することが求められるケースもあります。

なお、任意整理では、債務者が手続の対象とする債権者を選ぶことができます。

複数のクレジットカードなどを所持している場合には、一部の債務のみを対象とすることも可能です。

その場合には、整理の対象としているカードのみを預ければ大丈夫です。

任意整理とクレジットカードの利用に関する注意点や事故情報の登録についての詳細は、以下の記事もあわせてご参照ください。

2023.08.31

任意整理を行うとクレジットカードはどうなる?クレジットカードへの影響を弁護士が解説

2022.09.30

任意整理におけるブラックリストとは?登録される期間や影響について弁護士が解説

2.追加で作成・提出が必要となる場合がある書類

任意整理について弁護士に相談し、手続を依頼することで債権者との交渉が始まります。

そして、債権者との交渉が始まる前には、返済条件などを定めるために追加で書類や資料の提出が必要となる場合があります。

具体的には、以下のようなものです。

追加で作成・提出が必要となる場合がある書類

  1. 債権者一覧表
  2. 収入を証明する書類
  3. 家計収支表

なお、これらの書類は、弁護士が債権者と交渉を行う際に返済条件などを検討するために利用されるものです。

そのため、債権者に対して提出されるわけではないことも押さえておきましょう。

(1)債権者一覧表

弁護士に債務整理を相談・依頼する際に、考えられる方法はいくつかあります。

弁護士は、相談者の債務状況から、その中でどの方法を取るのが最も良いかを考えることになります。

例えば、A社とB社の借入を任意整理するとしても、その2社以外に借入がない場合と、他にC社・D社・E社からも借入がある場合とでは返済に回せるお金に差が出てきます。

そのため、弁護士に相談をする際には、例えば滞納していない債務についても一度全て説明することが重要です。

この説明のために作るのが債権者一覧表です。

どこにどのくらいの債務が残っているかを把握できれば大丈夫です。

もっとも、稀にどこから借りたかもよく覚えていないという方もいらっしゃいます。

そのような場合には、信用情報期間へ問い合わせをして確認することが考えられます。

信用情報機関

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

信用情報には取引先の名称なども含まれるため、情報開示請求を行うことで、取引先の情報を把握することができます。

具体的な開示請求の方法は、以下のとおりです(2026年5月現在)。

信用情報機関 情報開示請求の方法 開示請求手数料
CIC インターネット、郵送で受付 インターネット:¥500、郵送:¥1,000
JICC インターネット、郵送で受付 インターネット:¥1,100、郵送:¥2,177
KSC インターネット、郵送で受付 インターネット:¥800、郵送:¥2,403

それぞれの詳細については、各信用情報機関のWebサイトをご覧ください。

情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
信用情報の確認|日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
本人開示の手続き|全国銀行個人信用情報センター|一般社団法人 全国銀行協会

(2)収入を証明する書類

現在の収入を証明する書類についても必要となります。

これは、現在の収入の状況を踏まえて、無理なく返済を続けることができるための条件を検討する際に必要となる書類です。

特に、収入が安定しない場合や月々の収入に大きな変動がある場合には、数か月分の状況を確認するために継続的に提出を求められることがあります。

(3)家計収支表

家計収支表は、1か月毎の収入と支出をまとめたものです。

現在の収支状況を明らかにし、返済にあてることができる金額を検討する際に活用することができます。

具体的には、直近2~3か月程度の収入と支出ごとの総額を、月ごとに一覧に記載し、収支のバランスを把握します。

収入から支出を差し引き、余裕がある場合には返済にあてることができますが、支出が多い場合には、無駄な出費や固定費を削減するなどして節約を心がけましょう。

なお、収支の現状を把握するためにも、家計収支表はできるだけ正確に記載する必要があることにも注意が必要です。

3.任意整理の流れ

任意整理は、以下のような流れで進行します。

任意整理の流れ

  1. 弁護士に相談・依頼
  2. 受任通知の送付
  3. 取引履歴の開示請求・利息の引き直し計算
  4. 債権者との交渉
  5. 合意書の作成・返済の開始

債権者との交渉次第ですが、弁護士が交渉を開始してから1~2か月程度で合意が成立することが一般的です。

(1)弁護士に相談・依頼

すでに述べたように、任意整理では債権者と直接交渉することになります。

借金の返済に関する条件を交渉する際には、専門知識や経験が必要となることが多いため、まずは弁護士に相談することが重要です。

特に借金問題や債務整理については、相談料を無料としている法律事務所も多く、弁護士から専門的なアドバイスを無料で受けることができます。

弁護士に相談の上で、任意整理を依頼する場合には、委任契約を締結することになります。

(2)受任通知の送付

委任契約を締結した後、弁護士は債権者に対して受任通知という書面を送付します。

これによって、債権者からの督促や取立てが一旦停止するため、任意整理の交渉に向けた準備を進めていくことが可能です。

手続を依頼した弁護士から、追加で上記のような書類や資料の提出を求められることがありますが、サポートを受けながら対応を進めていくことになります。

(3)残債務額の確認

債権者と債務額を正確に把握するために、弁護士は債権者に対してどのような取引で残債務額がいくらなのかを確認します。

また、取引期間が長いなど、グレーゾーン金利による取引がある可能性がある場合は、取引履歴の開示請求を行います。

開示された取引履歴を適正利率で計算し直すことで、過払金の発生や、債権者の主張する残債務額が正しくないと判明する可能性があるからです。

(4)債権者との交渉

債務者の収支状況や債務額なども踏まえて、弁護士が返済計画(和解案)を作成します。

そして、返済計画(和解案)に基づき、債権者と直接交渉を行うことになります。

債務者本人が任意整理を行う場合には、交渉に応じない方針をとる債権者がいる場合があり、そのようなケースでは任意整理による解決は難しいです。

しかし、弁護士が代理人として債権者と交渉を行う場合には、ある程度柔軟な交渉に応じる債権者が多いです。

これは、弁護士が介入している以上、任意整理に応じなければ破産手続きなどに続いていく可能性が考えられるため、全く返済してもらえない破産になるくらいであれば、一定の返済が見込める任意整理に応じるメリットが債権者側にあるためです。

(5)合意書の作成・返済の開始

債権者との間で返済条件について合意できた場合には、その内容を記載した合意書を作成します。

合意書が作成された後は、その内容に従って返済を開始することになります。

なお、合意書には、2回以上返済が滞った場合には、債権者は残債務の一括支払を請求できる旨の条項(期限の利益喪失条項)が盛り込まれることが一般的です。

返済を開始した後にも支出の見直しや節約などを心がけなければ、返済が滞ってしまい、一括請求や訴訟などのリスクが高まります。

そのため、これまでの収支バランスを改善し、返済を継続していくことが重要です。

4.任意整理について弁護士に相談・依頼するメリット

任意整理では、月々の返済負担を軽減し、元本部分を着実に完済することができます。

また、任意整理では定型的に必要となる書類などが少なく、裁判所を通して手続を進める個人再生・自己破産と比較すると、スムーズに進めることができる可能性が高いです。

もっとも、任意整理によって借金問題を解決するためには、債権者と直接交渉を行い、合意が成立することが不可欠です。

しかし、債務者本人が交渉を行う場合には、債権者が応じないことや交渉が難航することも少なくありません。

そのため、任意整理を行うことを検討されている場合には、まずは弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。

任意整理について弁護士に相談・依頼するメリット

  1. 任意整理を行うことが適しているか説明を受けられる
  2. 債権者への返済を停止できる
  3. 債権者との交渉を一任できる

順にご説明します。

(1)任意整理を行うことが適しているか説明を受けられる

任意整理は、債権者との交渉がうまく進めば1~2か月程度で合意することができるケースも少なくありません。

しかし、債権者と合意すれば、その内容に基づいて3~5年にわたって継続的に返済を行う必要があります。

そのため、将来的に安定した収入を得る見込みがあることが、任意整理を成功させるための前提です。

また、収入が見込める場合であっても、将来利息をカットした元本部分を36回(12か月×3年)または60回(12か月×5年)程度で完済できないほど債務額が大きい場合には、任意整理が最適な解決方法とはいえないケースもあります。

弁護士に相談することで、借入額や収入の状況なども踏まえて、任意整理による解決が適しているかについて説明を受けることが可能です。

任意整理を行うための条件や注意点については、以下の記事もご覧ください。

2022.09.30

任意整理を行うための条件とは?できないケースや対処法についても解説

(2)債権者への返済を一時停止できる

弁護士に任意整理の手続を依頼すると、債権者に対して受任通知が送付されます。

受任通知には、債権者が債務者に対して個別に督促や取立てを行うことを禁止する法的効力があります。

そのため、任意整理の交渉が終了するまでは返済負担から解放されます。

また、弁護士に手続を依頼する場合には、弁護士費用を捻出する必要がありますが、返済を停止している間に今まで返済にあてていた金額を積み立てることで、無理なく費用を準備することが可能です。

弁護士に依頼することで、弁護士費用の積立てについてもサポートを受けることができ、手続を安心して進めていくことにつながります。

(3)債権者との交渉を一任できる

弁護士に依頼することで、債権者との交渉も一任することができます。

任意整理は、債権者と交渉を行い、返済スケジュールなどについて合意することで成立します。

しかし、交渉に応じるかどうかは債権者次第であり、債務者本人が交渉を行っても債権者が応じることはほとんどありません。

また、仮に債権者が交渉に応じたとしても、債務者にとって不利な条件が提示されるケースもあり、そのような条件で合意してしまうと、かえって債務の軽減につながらない可能性もあります。

弁護士に交渉を依頼することで、そのような不利益を回避することができます。

まとめ

本記事では、任意整理に必要な書類や手続の流れなどについて解説しました。

任意整理を行う際には、必ず準備しなければならない書類は少ないですが、手続を円滑に進めるために必要となる書類や資料があります。

しかし、どのような書類が必要となるかについて、ご自身で判断することが難しい場合があります。

また、任意整理では債権者と直接交渉を行い、返済条件などについて合意を得ることを目指しますが、債務者自身で進める場合には、債権者が応じなかったり交渉が難航したりすることが多いです。

そのため、任意整理を行うことを検討されている方は、弁護士に相談の上でサポートを受けるようにしましょう。

弁護士法人みずきは、債務整理に関する相談を無料で受け付けておりますので、任意整理を行う際の必要書類や債権者との交渉に不安がある方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 藤木 優大 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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