交通事故でのむちうちの適切な通院頻度は?むちうち治療の注意点

交通事故の後遺障害等級認定の基準とは?賠償額の目安について解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「交通事故で怪我を負ったら毎日通院した方が慰謝料を多くもらえるの?」
「むちうち治療のための適切な通院頻度はどのくらい?」

交通事故でむちうちの怪我を負い、以上のような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。

交通事故で怪我を負った場合、通院頻度が多いからといって慰謝料が増えるとは限りません。

また、必要以上に通院を繰り返していると過剰診療と判断され治療費を自己負担しなければならない状況に陥る可能性もあります。

本記事では、交通事故でむちうちを負った場合の適切な通院頻度、慰謝料と通院頻度の関係、むちうち治療で注意すべき点についてご説明します。

この記事を読んで、ご自身の怪我に応じた適切な慰謝料を受け取る際のご参考になさってください。

1.むちうちの適切な治療のポイント

むちうちは症状に個人差があり、それによって適正な通院頻度が異なるため、一概に最適な頻度を定めることができません。

しかし、極端に通院頻度が少なかったり多かったりすると、慰謝料請求の際に不利になってしまう可能性があります。

むちうちの適切な治療方法について、順にご説明します。

(1)整形外科での受診が必要

交通事故に遭いむちうちを負った際は、まず、整骨院ではなく整形外科を受診することをおすすめします。

交通事故の損害賠償請求には、医師による診断と治療が必要であり、それに則った治療をしていないと適切な通院と認められないことがあります。

怪我に対する慰謝料は通院期間を基準に算定されます。

適切な通院と認められなければ慰謝料も認められなくなってしまう可能性があるのです。

例えば、むちうち治療のために整骨院だけに通っている場合、整骨院の柔道整復師は医師ではありませんので、医師の判断による医療行為と認められなくなってしまうことがあります。

また、特別な事情がある場合を除いて交通事故の日から10日以上通院しないままでいると、怪我と事故の因果関係が認められないことがあります。

交通事故によってむちうちの症状を負った際は、事故後できる限り早く整形外科を受診し、治療を受けるようにしましょう。

(2)主治医の指示のもと通院

交通事故によるむちうち治療を進める上で、必ず主治医の指示のもと通院を継続することが重要です。

例えば、事故直後であれば被害者の怪我の状況によって一定期間毎日通院することを指示される場合もあります。

そのような場合であれば、医師の指示に従って通院して治療を行う必要があります。

仮に医師の指示に従わず独断で治療を中断してしまうと、治療の必要性がないと判断され、加害者側の保険会社から治療費の支払を打ち切られる可能性もあります。

交通事故によるむちうちの治療のために通院を続ける際には、必ず主治医の指示のもと通院することを心がけましょう。

(3)一定期間で後遺障害認定の申請を検討

交通事故によるむちうち治療のための通院が一定期間経った際は、後遺障害等級認定の申請を検討することをおすすめします。

通院治療を続けても怪我による症状の改善が見込めなくなった場合、医師によって症状固定と判断されることになります。

この症状が自賠法に定められる後遺障害に該当すれば、その等級に応じた慰謝料等の支払いを受けることができますので、そのために認定の申請をする必要があります。

むちうちが症状固定と判断され後遺障害となるまでの期間は一律で定められているわけではありませんが、一般的には6か月程度通院を続けても症状が改善しない場合、症状固定と判断されるケースが多いです。

医師から症状固定の判断を聞かされた際は、後遺障害認定の申請についても相談するといいでしょう。

2.むちうちにおける通院頻度と慰謝料の関係

2.後遺障害等級の認定を受けるには?

むちうち治療のための通院頻度は、交通事故における慰謝料を算出する上で重要な指標となり得ます。

しかし、通院頻度が多いからといって慰謝料の金額が増えるとは限りません。

むちうちにおける通院頻度と慰謝料の関係を順にご説明します。

(1)通院頻度が多くても慰謝料が増えるとは限らない

交通事故による怪我の治療のため高頻度で通院していたとしても、慰謝料が増えるとは限りません。

後述のとおり慰謝料の算定については算定の基準や通院日数の数え方が異なり、単に通院回数が多ければ慰謝料の金額が増えるというわけではないのです。

ご自身の怪我の状況に応じた適切な治療費を受け取るには、担当医の指示に基づいて通院することが重要と言えます。

(2)交通事故での慰謝料算定基準

交通事故の慰謝料算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の三つがあります。

三つの算定基準を順にご説明します。

#1 自賠責保険基準

自賠責保険基準は、加害者側の自賠責保険会社が慰謝料を算定するために利用する基準で、三つの支払基準の中では最も低い金額とされています。

自賠責保険基準の場合、治療費、慰謝料、休業損害などの合計額の上限が法令によって120万円と定められています。

自賠責保険基準での慰謝料算出方法は、「実通院日数×2」もしくは「治療期間」のうち少ない方に4200円か4300円*をかけたものになります。

*2020年4月1日に改定された自賠責保険により、同日以降に発生した交通事故の場合は4300円、それより前の事故の場合は4200円となります。

#2 任意保険基準

任意保険基準は、加害者側の任意保険会社が慰謝料を算定する際に利用する基準で、各任意保険会社によって支払基準が異なります。

任意保険基準は、自賠責保険基準をもとに少し高めの金額を基準として設けている場合が多いようです。

#3 弁護士基準

弁護士基準は裁判所基準とも呼ばれ、弁護士が交渉の際に利用する基準です。

過去の裁判例の積み重ねによる基準で、三つの基準のうち最も高額な基準となっています。

3.交通事故におけるむちうち治療の注意点

1.交通事故における後遺障害とは

交通事故におけるむちうち治療の注意点を二つご紹介します。

(1)過剰な通院を控える

交通事故におけるむちうち治療の注意点の一つ目は、過剰な通院を控えることです。

交通事故における慰謝料では、通院頻度が高いからといって金額が増えるわけではありません。

むしろ、必要以上に通院していると治療の必要性が問われたり治療費の打ち切りを打診されたりする可能性があります。

交通事故による怪我の治療は、必ず主治医との相談を行った上で適切な通院頻度を守るようにしましょう。

(2)打ち切りを打診されても独断で通院をやめない

交通事故におけるむちうち治療の注意点の二つ目は、加害者側の保険会社より打ち切りを打診されても独断で通院を中断しないことです。

例えば、加害者側の保険会社は自社からの支払を最小限に抑えるために、被害者に対して治療費の打ち切りを打診するケースがあります。

このような打診に同意して独断で通院を辞めてしまうと、受け取れるはずの慰謝料が減ってしまうかもしれません。

怪我の治療の必要性を判断するのはあくまでも医師の裁量権ですので、まずは主治医にご相談ください。

まとめ

交通事故によるむちうちなどの怪我の治療を目的とした通院頻度は、医師に相談して決めるのが有益です。

通院頻度が高くても慰謝料の金額が増えるわけではありませんので、医師の指示なく過度に通院することは避けた方がよいでしょう。

交通事故の慰謝料について疑問点がございましたら、一度弁護士法人みずきへご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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