将来介護費用は認められるのか?

重篤な後遺障害にはご家族の支えが不可欠です

交通事故による後遺障害は、認定の便宜上1級から14級までに分かれています。
これらの後遺障害は基本的に労働能力の喪失を伴うものとされています。
したがって、仕事をするのは少し大変になったけど、日常生活にはそこまで大きな支障はない、というものもあります。
また、14級9号のような、超長期的に見れば症状自体が減少・消失するというものもあります。
しかし、重篤な後遺障害の場合には、労働能力だけでなく、日常生活能力も著しく減退してしまうこともあります
このような場合、被害者の方はその先ずっとその後遺障害と向き合っていかなければなりません。それと同時に、介護などのご家族の支えも不可欠となってきます。

介護費は請求できるのか?

では、被害者の介護をする場合、介護費用の請求は認められるのでしょうか。
これが、治療期間中の付添いであれば、必要性が認められる限り、請求可能です。
しかし、損害賠償は症状固定時までの損害しか請求できないというのが基本です。
症状固定時以後の介護費用の請求は、将来の損害なので、認められるでしょうか。

結論から言えば、認められます。
これは、逸失利益と同じ考え方です。
現時点の残存症状から予測される将来の損害は、現時点ですでに発生しているといえるのです。

したがって、介護費用も、「介護の必要性」が認められれば、対応する金額の賠償が認められます。

介護の必要性の程度

将来の介護費用を相手方に対して請求する場合は、介護が必要であることは被害者側が主張・立証していく必要があります。
この介護の必要性は、被害者の後遺障害の程度や状況、被害者の日常生活上の不都合の度合いなどに応じて判断することになります。
「必要性」というと、「介護がなければまったく生きていけない」というイメージがありますが、このあたりはある程度広く認められている印象があります。
たとえば、半身不随で日常移動に大きく制限を受けている場合にはもちろん、基本的な日常生活はできるけれど、特定の動作だけは周囲の助けが必要という場合にも、必要性が認められる余地はあります。

将来介護費用として認められる金額

では、具体的な症状から介護の必要性が認められたとして、介護費用はいくらになるでしょうか。
これは主に、①介護の主体が誰か、②介護の場所がどこか、③介護が必要な程度はどのくらいかという点から判断されます。

①介護の主体
介護の主体は大きく分けて近親者と職業付添人の2種類に分かれます。
やはり、近親者介護よりも職業付添人による介護のほうが、損害としては高額となります。
基本的には、まずは近親者による介護でカバーできるのかを考えることになります。
同居や周囲にいる近親者が、被害者の介護をカバーできるのであれば、わざわざ職業付添人を依頼する必要もなくなるからです。
しかし、被害者の後遺障害の程度によっては、素人である近親者による介護だけではカバーしきれない場合もありますし、近親者も四六時中付きっ切りでいるわけにも行かないでしょう。
たとえば、奥さんが後遺障害を負ってしまった場合、旦那さんは仕事をやめてしまっては生活自体ができなくなってしまいます。
したがって、このような場合には、補助的に職業付添人を利用するという方法で請求することもできます。
また、高齢夫婦や家族の場合、いつまでも近親者が介護をし続けることも難しくなります。
そのような場合には、近親者が労働可能年齢(67歳)までは近親者介護としたうえで、それ以後は職業介護を認めるという判断も有り得ます。

②介護の場所
介護の場所は大きく分けて自宅介護と施設介護の2種類に分かれます。
意外かもしれませんが、施設介護よりも自宅介護のほうが賠償金額は高くなる傾向にあります。
これは、在宅介護は完全に日額を乗じて算出することになり、また純粋な介護費だけでなく、自宅の改造費用や介護器具の購入費用等も損害に計上されることになるからです。
しかし、被害者自身や近親者が「在宅介護にしたい」という意向を持っているだけで、在宅介護が認められるとは限りません。
実際に、在宅介護が可能な状態にあるのかという点について、判断されます。
たとえば、感染症や合併症を起こす可能性があり配慮が必要な場合、24時間常に誰かが付き添っていなければいけない場合などには、たとえ関係者が在宅介護を望んだとしても、実現可能性がないということで認められないこともあります。
したがって、在宅介護を主張する場合には、どのように人的物的なリソースを活用すれば、可能となるかという計画を綿密に練ることが重要になります。

③介護の必要性の程度
当たり前のことですが、介護が必要な場面が多かったり、必要となる介護内容が大変であるほど、金額としては高額になります。
完全に寝たきりとなっている方と、基本的な動作には支障がない方では、介護にかかる1日あたりの費用も変わるだろう、という考え方です。
高次脳機能障害のように、ほとんどの日常生活は独力できるが、時折突飛な行動が出てしまうような場合には、介護ではなく看視(見守り)が必要となることもあります。
このような場合には、身の回りの世話をしなければならないケースに比べれば、低めな金額が認められる傾向にあります。

いつまで認められるか?定期金賠償方式の活用可能性

将来介護費はあくまで「将来の」費用なので、この介護をいつまで認めるかという点も議論が必要です。
この点は、特に重篤な後遺障害―たとえば遷延性意識障害(いわゆる植物状態)のような場合、統計的には通常よりも生存期間が短くなっているため、問題となります。
このような場合には、現代の医療水準や被害者の置かれている状況から、平均余命期間までの生存が可能であるということを、きちんと主張・立証する必要があります。

この点、定期金賠償方式という方法の利点が昨今叫ばれています。
定期金賠償方式とは、通常判決確定とともに一括でもらう将来分の費用を、「月々○○円支払え」などという、定期的な支払いに変えることができる解決方法です。
この方法のいいところは、「被害者が死亡するまで」という期限を設けておくことによって、上で見たような余命の推定という不確定さをなくすことができるのです。
また、実際上、30年分の介護費用を一括でもらっても、浪費等をしてしまって30年後には残っていないというケースも散見されます。
定期金賠償方式であれば、そのようなリスクも排除できます。

重篤な後遺障害とこの先ずっと向き合っていかなければならない被害者やそのご家族の方が、少しでも将来への不安を和らげることができるよう、最善の解決を図りたいと考えております。
介護費用の請求の可否やその金額についてお悩みでしたら、ぜひ弁護士へご相談ください。

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