骨の変形による逸失利益の考え方|労働能力喪失率に与える影響とは

1.骨の変形とは何か

交通事故で骨の変形は、さまざまな部位で生じます。

後遺障害として残ってしまう骨の変形の代表的な例を挙げると、①背骨(頚椎、胸椎、腰椎)の変形、②体幹骨(鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨)の変形、③手足の骨の変形と分類できます。

  1. 変形障害として後遺障害等級が用意されていて、複数部位に及ぶ場合は、運動障害に相当するとして、より重度の等級が認定される場合があります。
  2. 変形障害として後遺障害等級が用意されていますが、裸体の状態で変形が確認できるかどうかによって、後遺障害等級の認定の有無が変わります。
  3. 短縮があるかという点も含めて後遺障害等級の判断がされるのが通常です。

①から③のいずれも、変形によって痛みや痺れが残ってしまったということであれば、変形に派生する症状として同じ後遺障害等級の中で、もしくは、神経症状として別途の後遺障害等級で認められる可能性があります。

2.逸失利益の考え方

後遺障害に関する賠償の中で、大きな比率を占めるのが逸失利益です。

逸失利益は、「収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間」という計算式で求めます。

このような計算式で、骨の変形が問題になるポイントは、「労働能力喪失率」です。

(1)労働能力喪失率に与える影響

「労働能力喪失率」は、基本的には等級別に、ある程度画一的に決まっているのですが、骨の変形に限って言うと、「将来的に、労働能力に影響を与えるのだろうか。」という疑問符が付くことがあります。

このような疑問符が付くと、被害者の方から積極的に骨の変形が仕事に与える影響、つまり「労働能力喪失率」を、主張立証しなくてはいけないことになります。

骨の変形が残ってしまった場合は、仕事の内容、仕事で必要になる動作、将来の異動や転職の可能性、骨の変形が残ってしまった部位、変形の程度、派生する痛みや痺れの有無など、複数の着眼点から、「労働能力喪失率」を考えます

部位別に主要な着眼点を考えると、

主要な着眼点

  1. 背骨(頚椎、胸椎、腰椎)の変形の場合は、身体全体の支持性です。
  2. 体幹骨(鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨)の変形の場合は、肩関節や股関節に与える影響です。
  3. 手足の骨の変形の場合は、短縮の程度や痛みや痺れの有無、きき腕やきき足です。

細かいところを逐一伺うことになってしまいますが、「労働能力喪失率」を考える上で必要なことなので、どうかご容赦ください。

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