心の病で後遺障害認定を受けるために~非器質性精神障害②~

交通事故をきっかけに、心の病になってしまった後、精神科で1年以上適切な治療を受けても症状が残ってしまった場合、後遺障害の認定を受け、適正な賠償を得られる可能性があります。

この場合、具体的にどのような資料に基づいて、症状を示していけばよいのでしょう。

結論からいえば、ポイントを押さえた医師の意見書で示していくことになります。

そのポイントは、「精神症状」の観点から6つ、「能力」の観点からは8つ存在します。

以下、それぞれのポイントについて簡単に説明していきましょう。

1.交通事故後、精神状態の変化について

(1)抑うつ状態

悲しい、寂しい、憂うつ、希望がないなどの「うつ気分」が続いている。

何かをするのが「おっくう」に感じる。

前まで楽しかったことを楽しいと感じない。

(2)不安の状態

不安でしかたがない。

怖い。

自分は重い病気だと思う。

同じ考えが頭から離れない。

ある行動をしないでいられない。

(3)意欲低下の状態

あらゆることに関心が湧かない。

自発的に行動しない。

行動を起こしても長続きしない。

口数が減る。

身の回りのことにも無精になった。

(4)慢性化した厳格・妄想性の状態

自分が誰で、これまでの生活での一時期や出来事について思い出せない。

普通に生活しているように見えても、質問すると、自分の名前を答えられない、的外れな回答をする。

(5)その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴等)

突然激しい衝動に駆られて行動する。

歩き回る。

様々な身体的不調を訴える。

2.交通事故後、能力面で変わったこと

個人再生をすると退職金は処分されるのか

(1)身辺日常生活

入浴、着替えなど、身体を清潔に保つ行為が適切にできない。

決まった時間に決まった量の食事をすることができない。

(2)仕事・生活に積極性・関心をもつこと

仕事の内容や、働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽などの日常生活にまつわる意欲や関心がない。

(3)通勤・勤務時間の厳守

規則的な通勤や出勤時間などの約束された時間を守れない。

(4)普通に作業を持続すること

ルールを守って仕事をすることができない。

普通の集中力・持続力を保てない。

(5)他人との意思伝達

他人との共同作業ができない。

常識的・社会的に適切な行動がとれない。

(6)対人関係・協調性

自主的な発言が難しい。

コミュニケーションがとれない。

(7)身辺の安全保持、危険の回避

自分で自分の身を守る行動がとれない。

(8)困難・失敗への対応

失敗したときや新しいことに直面したときに、ひどく緊張したり、混乱したりしてしまい、適切な対処ができない。

3.非器質性精神障害として後遺障害認定を受けるには

非器質性精神障害として後遺障害認定を受けるためには、上記「精神状態」の①~⑥のうち1つ以上に症状が残り、「能力」の①~⑧のうち1つ以上に支障が認められる必要があります。

そのうえで、「能力」の①~⑧にどれだけ支障が認められるかによって、14級、12級、9級のどの等級が認められるかが判断されることになります。

上記各ポイントからの評価は、状態が良いときのみ、悪いときのみをとらえて判断することなく、治療中の状態からみて、幅を踏まえた判断をすべきとされています。

この点、定期的に問診等をするだけの医師よりも、日常生活をともにされている方のほうが適切にご本人の状態を把握することができます。

そこで、家族の方やご友人、職場の方々などが、上記各ポイントに着目して、ご本人の症状や行動を見守り、記録していくことができれば、医師が意見書を書く際に、大いに参考となるのです。

その際は、ぜひ具体的なエピソードとともに記録してください。事故前はこういう人だったのに、事故後にこういう場面でこういう反応・行動をするようになったなど、身近な方だからこそ気が付くことのできるものがたくさんあるはずです。

非器質性精神障害は、ご本人の判断能力や表現力・意欲がどうしても減退してしまうものです。

症状の改善にも、適切な賠償を受けるためにも、身近な方の支えや協力が不可欠といえます。

そうはいっても、ご本人のご家族、ご友人、職場の方々だけでは不安なことも多いことと思います。

そんなときは、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

面倒で負担の大きい相手方との対応や、後遺障害申請手続などを含め、みなさまの不安を少しでも軽くするためにサポートさせていただきたいと思っております。

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