死亡事故の慰謝料において、裁判所に認定された慰謝料水準を解説!

交通事故被害者が亡くなったときには、以下のように、ある程度基準として慰謝料額が決められています
(詳しくは、「死亡事故における慰謝料」を参照ください)。

・一家の支柱…2800万円
・母親、配偶者…2500万円
・その他(独身の男女、子ども、高齢者等)…2000万円~2500万円

もっとも、これは平成27年以降に新たに定められていた基準額です。

それまでは、以下の基準で死亡慰謝料が定められていました。

・一家の支柱…2800万円
・母親、配偶者…2400万円
・その他(独身の男女、子ども、高齢者等)…2000万円~2200万円

母親、配偶者とその他(独身の男女、子ども、高齢者等)の金額が変わっていますね。

実は、死亡慰謝料は、時代によって金額が徐々に上がっているのです。

一家の支柱の死亡慰謝料も、昭和61年の基準では2000万円でした。
(だいたい200万円ずつ増額しており、平成14年から今の2800万円にとどまっています。)

もちろん、交通事故の被害者本人や遺族の方の苦しみ、悲しみは普遍的で、時代によって度合いが変わるものではないですから、変遷が生じているのは物価高騰等の経済事情によるものが大きいと考えられます。

なお、死亡慰謝料を「一家の支柱」「母親、配偶者」「その他」に分けているのは(三分説といいます)、昭和時代の家族構成のイメージを、「老夫婦、働き盛りの夫(一家の支柱)、主婦の妻(母親、配偶者)、子ども」とし、それぞれが死亡した場合に遺された家族・家計への影響を考え、人ひとりの価値に差があるのではなく、慰謝料の補完性の観点から差を設けるとの考えを背景としたものでありました。

1.裁判例において認定された慰謝料水準

(1)「一家の支柱」の基準額

「一家の支柱」の裁判例で認定された慰謝料額は、概ね2800万円~3000万円の間にあり、しかもほとんどが2800万円とされているようでした。

そこで、慰謝料基準として「一家の支柱3000万円」とするまでには至らなかったようです。

(2)「母親、配偶者」の基準額

「若年・壮年の母親、配偶者」の裁判例で認定された慰謝料額の多くは、2400万円~2500万円の水準にありました。

高齢者の母親や配偶者が被害者の場合は、基準額より下回る傾向がありました。

もっとも、若年・壮年の母親や配偶者が被害者の場合は、従来の基準額である2400万円を下回る認定例は少ないという状態で、「底」を形成しているという印象でありました。

そのような事情を踏まえて、基準額を2400万円から2500万円に改定しています。

(3)「その他」の基準額

平成27年に新たに定められた基準額では、「その他」の基準がそれまでと大きく変わっています。

上記のとおり、平成26年までは「2000万円~2200万円」だったのが、平成27年からは「2000万円~2500万円」と上限が300万円もアップしています。

裁判例の調査結果によれば、子どもを中心とした若年の単身者については、全国的な裁判例の水準は2200万円~2500万円の間にあったようでした。

そうすると、「その他」を「2000万円~2200万円」とするのは、基準としての意味を失っているとの判断から、「その他」基準の上の金額の引き上げについて裁判所の意見も踏まえて「2000万円~2500万円」としました。

人生を全うして生きてきた年齢の高い人と人生を享受することなく命を失った若年の人を同列には評価できないという点、現在の核家族化のなかで子どもを失った両親の悲観、精神的苦痛は極めて大きなものがあることなどの点を勘案したものと思われます。

上記の「高齢者の母親、配偶者」でも低額の傾向となるのは、このような考え方からきているのだと思われます。

しかし、東京地方裁判所の裁判官の講演では、「『人生を享受している度合い』によって慰謝料に差をつけることに合理性があるかは疑問」とまとめられています。

そこで、相手方の保険会社などから高齢だけを理由とする死亡慰謝料の減額の主張がある場合には、しっかりと反論をすべきです。

また、「その他」の基準額は、平成13年まで「2000万円」と単一でしたが、平成14年から「2000万円~2200万円」と幅を設けるようになりました。

平成13年までは、慰謝料の基準額は、あくまでも目安であり、幅を設けると具体的事情により変わりうるものであるとの意味が薄れ、慰謝料金額の上限・下限を示すものと受け止められかねないということで、単一の金額をもって基準としていました。

なぜ、平成14年から幅をもたせた基準額になったかというと、日弁連交通事故相談センター東京支部が、基準額を2000万円から2200万円に増額することについて裁判所に意見を求めた際に、裁判所が、「2000万円~2200万円」の幅を設けてほしいとの意見を述べたからのようです。

まとめ

死亡慰謝料の変遷には以上のような事情があるようです。

特に、平成27年の基準額の変更で、旧基準額と裁判例との差が顕著であったのは、「その他」でした。

今後も、裁判所の認定傾向と比較しながら、基準額の変更はなされると思います。

「一家の支柱」や「母親、配偶者」の基準額も、「その他」と同様に幅を設けたものに変更される可能性もあります。

死亡慰謝料は、被害者自身の精神的損害に対するものですが、現実には遺族が相続人として請求するものです。

遺された方が、賠償金額だけでも納得することできるよう、お力になれればと思いますので、死亡事故の損害賠償でお悩みであれば、是非当事務所にご相談ください。

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