後遺障害認定されると自賠責保険からどのくらいの金額の補償を受けられる?

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「後遺障害等級が認定されるとどのくらいの金額の補償を受けられるのか」
「後遺障害等級認定後の慰謝料を請求するにはどうしたらいいのか」

交通事故で後遺症を患ってしまった方の中には、どのくらいの金額の補償を受けられるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、後遺障害等級ごとの請求できる金額や請求する方法についてご紹介します。

1.後遺障害等級ごとの自賠責基準による金額

後遺障害等級ごとの自賠責基準による金額

後遺障害等級の認定を受けると、後遺障害慰謝料を請求することができます。

後遺障害慰謝料は、認定される等級に応じて定められており、自賠責保険会社から支払いを受けることが可能です。

自賠責基準での後遺障害慰謝料は以下のようになっています。

等級 自賠責基準(万円)
2020年4月1日
以降の事故
2020年3月31日
以前の事故
要介護第1級 1,650 1,600
要介護第2級 1,203 1,163
第1級 1,150 1,100
第2級 998 958
第3級 861 829
第4級 737 712
第5級 618 599
第6級 512 498
第7級 419 409
第8級 331 324
第9級 249 245
第10級 190 187
第11級 136 135
第12級 94 93
第13級 57 57
第14級 32 32

後遺障害等級は症状の重さに応じて第1級から14級に分かれており、後遺障害程度が重くなるほど補償金額も高くなります。

また、交通事故が2020年3月31日以前であれば、わずかに請求できる金額が低くなる点に注意しましょう。

2.自賠責保険を利用するときの注意点

自賠責保険を利用するときの注意点

自賠責保険を利用するときは以下の3つに注意する必要があります。

自賠責保険を利用するときの注意点

  1. 過失割合によって減額されることがある
  2. 上限が定められている
  3. すぐに支払われるわけではない

順にご説明します。

(1)過失割合によって減額されることがある

先ほど後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料をご紹介しましたが、過失割合によって慰謝料が減額される可能性がある点を押さえておきましょう。

被害者が停止している状態で事故に巻き込まれるなど、加害者が一方的に悪いケースでなければ被害者にも過失が認められることがあります。

ただし、自賠責保険では、特別に被害者の過失が7割未満であれば、減額されないこととされています。

具体的には、以下のとおり減額されることとなっています。

被害者の過失割合 減額程度
7~8割未満 2割
8~9割未満 3割
9~10割未満 5割
10割 10割

赤信号無視などによって被害者の過失が10割になった場合は、自賠責保険から後遺障害慰謝料は支払われない点に注意しましょう。

(2)上限が定められている

自賠責保険による後遺障害慰謝料には上限が定められています。

後遺障害慰謝料は上記で紹介したように、等級に応じて支払い金額が定められているため、その金額以上の損害が発生しても残りの金額は補償されません。

たとえば、後遺障害14級が認定された場合、仮に50万円の損害が生じていても補償を受けられるのは32万円までです。

不足分は、加害者本人か加害者が加入している任意保険会社に対して請求することになります。

自賠責保険だけでは、全ての損失を補填できない場合があることを頭に入れておきましょう。

(3)すぐに支払われるわけではない

自賠責保険による慰謝料は、後遺障害等級が認定された後にしか支払われません。

そのため、医師から症状固定の診断を受けたとしても、後遺障害等級が認定されない限り、支払われないのです。

後遺障害等級認定の申請をしたら、認定結果が出るまで待ちましょう。

3.自賠責保険を利用して後遺障害慰謝料を請求する方法

自賠責保険を利用して後遺障害慰謝料を請求する方法

後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定の申請方法は、以下の2つです。

後遺障害等級申請方法

  1. 被害者請求
  2. 事前認定

どちらの方法で後遺障害慰謝料を請求するか検討してみましょう。

(1)被害者請求

被害者請求は、被害者が主体となって後遺障害等級認定を申請する方法です。

以下の必要な書類を揃えた後に、相手方の自賠責保険会社に提出します。

  • 後遺障害診断書
  • 医師による診断書
  • 交通事故証明書
  • 診療報酬明細書

場合によっては追加で資料の提出を求められることがあるので、その際は速やかに対応しましょう。

提出書類に不備等がなければ、後遺障害等級の認定結果が通知されます。

認定結果に応じて、自賠責保険会社から自賠責基準での後遺障害慰謝料が支払われるでしょう。

なお、加害者が任意保険に加入している場合は、相手方任意保険会社と不足分の慰謝料に関する示談交渉を行います。

示談成立後、示談金(自賠責基準の後遺障害慰謝料で不足している分)を相手方任意保険会社に請求しましょう。

(2)事前認定

事前認定は、相手方任意保険会社が主体となって手続を行う方法です。

相手方任意保険会社に後遺障害診断書を提出したら、残りの後遺障害等級認定の申請手続をしてくれます。

事前認定の場合は、後遺障害等級認定が下りたら、自賠責保険会社から慰謝料が支払われるのではなく、そのまま任意保険会社との示談交渉に移るのが一般的です。

示談成立後に、任意保険会社から後遺障害慰謝料を含む示談金全額の支払いを受けることになります。

ちなみに、事前認定は必要な手続を加害者側が行ってくれるので、被害者の負担は軽減されますが、被害者に不利な形で申請される可能性を否定できないため、被害者請求の方がおすすめです。

認定される等級が高くなれば、任意保険会社の金銭的負担が大きくなるので、後遺障害の程度に関して必要最低限の情報しか提出しない恐れがあります。

被害者請求は自ら申請を行う分、負担はかかりますが、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高いです。

事前認定も選択肢の1つですが、なるべく被害者請求を行いましょう。

まとめ

自賠責保険会社から後遺障害慰謝料を受け取ることはできます。

ただし、後遺障害慰謝料の支払いを受けるためには、後遺障害等級認定の申請が必要です。

適切な等級認定を受けられるように、なるべく被害者請求で手続を行うことをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、後遺障害慰謝料に関する相談を無料で受け付けておりますので、金額等が気になる方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
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