逸失利益をもらえない原因とは?適切な逸失利益をもらうポイント

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

この記事の内容を動画で解説しております。

あわせてご視聴いただければと思います。

「逸失利益はどのような状況のときにもらえないのか」
「逸失利益をもらうために注意すべき点は何なのか」

交通事故によって後遺障害を負った方の中には、逸失利益がもらえるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、逸失利益をもらえない原因やもらうためのポイントについてご紹介します。

1.逸失利益をもらえない主な原因3選

逸失利益をもらえない主な原因

逸失利益とは、事故による症状が治りきらないことによって、将来的に減ってしまうであろう収入のことを言います。

言い換えれば、事故がなければ得られたはずの利益のことです。

ただし、事故による症状が残っているとしても、必ずしも逸失利益をもらえるわけではありません。

たとえば、以下のような理由によって逸失利益をもらえないことがあります。

逸失利益をもらえない理由

  1. 後遺障害等級の認定を受けていない
  2. 後遺障害によって減収が生じない
  3. 労働能力が低下していない

上記の要件に該当していないか確認しておきましょう。

(1)後遺障害等級の認定を受けていない

事故による症状が残存しているとしても、その程度は人それぞれです。

そのため、実務においては、法律上賠償に値する残存症状を類型化し、これに当てはまる場合を「後遺障害」として賠償の対象とするということになっています。

したがって、逸失利益は後遺障害等級の認定を受けなければ、基本的には認められないこととなります。

医師から後遺障害診断書を受け取ったら、事前認定(加害者が加入している任意保険会社に手続をしてもらう方法)もしくは被害者請求(被害者自ら手続を行う方法)によって後遺障害等級認定の申請をしましょう。

(2)後遺障害によって減収が生じない

後遺障害が認められたとしても、減収が生じる可能性がなければ、逸失利益が認められないことがあります。

例えば、収入の内容が賃貸物件の家賃収入などの不労所得の場合、仮に残存症状があったとしても直ちに減収にはつながりません。

また、役員報酬などの利益分配の場合も同様に考えられることがあります。

認められた後遺障害によって、減収が生じ得るのかという点がポイントとなります。

(3)労働能力が低下していない

後遺障害の中には、労働能力の低下を伴わないものもあります。

この場合も、仕事への影響がないのであれば逸失利益は生じないとされることがあります。

例えば、3本以上の歯牙欠損は後遺障害に該当しますが、歯を差し歯に変えたとしても多くの場合仕事の能率には影響がありません。

このような場合には、逸失利益が認められません。

2.適切な逸失利益をもらうための2つのポイント

適切な逸失利益をもらうためのポイント

適切な金額の逸失利益をもらうために注意すべきポイントが2つあります。

適切な逸失利益をもらうための注意点

  1. 適切な後遺障害等級の認定を目指す
  2. 計算式に適切な数値を入れて算定する

順にご説明します。

(1)適切な後遺障害等級の認定を目指す

逸失利益をもらうためには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害は14の等級に分かれており、どの等級に認定されるかによって受け取れる逸失利益の額が変わります。

後遺障害等級の認定を受ける際には、後遺障害診断書等の資料によって、残存している症状が後遺障害等級に該当することを認めてもらわなければなりません。

提出する書類の内容によって認定結果が変わるため、できるだけ詳細な情報を提供するようにしましょう。

なお、後遺障害等級認定の申請をする際は、被害者請求で実施することをおすすめします。

事前認定でも申請することは可能で、手続の手間を省ける点は魅力ですが、加害者側の任意保険会社が手続を行うため、被害者に不利な形で申請される可能性を否定できません。

認定される等級によって任意保険会社が負担する慰謝料の金額も変わるので、後遺障害程度の軽い等級で認定されるように、提出する情報を必要最低限に抑えることも考えられます。

そのため、手間はかかりますが、適切な認定結果を受けられるように被害者請求で後遺障害等級認定の申請を行いましょう。

(2)計算式に適切な数値を入れて算定する

示談交渉に移る前に、逸失利益の計算式に適切な数値を入れて、算定することをおすすめします。

逸失利益の金額は、最終的に示談交渉で決まりますが、相手が提案してくる金額が適切かどうか判断するためにも、事前にある程度逸失利益の金額を想定しておくことが大切です。

以下の計算式に該当する数値を当てはめることで算定することができます。

『「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」』

用語や具体的な計算方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて以下の記事もご参照ください。

逸失利益をわかりやすく解説!種類や計算方法・発生するケースとは?

3.逸失利益の交渉のポイント

逸失利益の交渉のポイント

逸失利益の金額を加害者側と交渉するときのポイントがあります。

まず、逸失利益を交渉する上で重要な論点となるのは、後遺障害がどれだけ普段の仕事に影響があるかどうかです。

逸失利益は、後遺障害によって交通事故前と比べてどのくらい労働能力が低下したのかによって決まります。

そのため、仕事に対してどんな支障が出ているのかを中心に訴えましょう。

また、直近の仕事に影響がない場合でも、将来のキャリアに影響が生じる場合は逸失利益が認められる可能性があります。

たとえば、転職や社内配属に制限が出る場合は、重要な主張ポイントです。

現在は影響がなくても、将来のキャリアに何らかの影響が生じれば、請求できる金額が増加する可能性もあります。

逸失利益に関しては、論点が難しいので、なるべく弁護士に交渉を依頼するのがおすすめです。

まとめ

後遺障害の認定を受けたからといって、必ずしも逸失利益をもらえるとは限りません。

医師から症状固定の判断を受けたら、まずは後遺障害等級認定の申請をして、後遺障害等級の認定結果が出た後に示談交渉を行いましょう。

逸失利益の受給資格がある方は、事前にどのくらいの金額をもらえる可能性があるのか算定して、加害者側が提示してくる逸失利益が妥当かどうか判断できるようにしておくことが大切です。

示談交渉における逸失利益の論点は高い専門性や判例に基づいた主張が必要となるため、なるべく弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、後遺障害に関する相談を無料で受け付けておりますので、逸失利益に関するお悩みを抱えている方は、お気軽にご連絡ください。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
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