自己破産したら車のローンはどうなる?再度ローンを組む場合も解説

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。

「自己破産をしたら今支払っている自動車ローンはどうなるのだろうか」
借金の返済が難しくなった場合、債務を整理する方法として自己破産手続をご検討されている方もいらっしゃるかもしれません。

とくに自動車をお持ちで車のローンを完済していない場合は、今後のローンの支払や車を手元に残しておけるのかが気になる方も多いはずです。

この記事では、自己破産時に車のローンと車本体の処分についてや、再度車のローンを組みたい場合の対処法について説明します。

なおこの記事で出てくる「破産者」は、法人や個人事業主などではなく、一個人を想定しています。

1.自己破産すると車のローンは免除される

車のローン

 
自己破産手続をした場合、手持ちの財産は換金されて債権者に分配し、それでも支払いきれなかった債権を免除してもらうのが原則です。

では自分が普段使用している車はどのように処分されるのでしょうか。

ここからは自己破産時にローンの返済が免除される理由とローンの有無と換価処分の要否の関係性、例外として車を手元に残せるケースについて説明します。

(1)自己破産後は車のローンの返済義務がなくなる

自己破産をすると一定の財産を手放す代わりに借入に対する返済義務がなくなるため、車のローンも免除されます

反対に破産者が「車のローンだけは払い続けて車を手元に残したい」と希望しても、ローンを支払うことはできません。

これは、自己破産の手続を弁護士に依頼した後は、一部の債権者に対してのみ返済を行う行為は法律上禁止されているからです。(破産法第252条1項3号:不当な偏頗行為の禁止)

(2)車のローンの有無と換価処分の要否の関係性

自己破産手続を行うと、自動的に車のローンも返済が免除されるとともに車は換金されるのが通常の流れです。

ただし車のローンを組んでいるか、もしくは完済しているかによって車の処分方法は異なります。

ここからは車のローンを組んでいる場合の処分方法と、ローンを組んでいない(もしくは完済している)場合の処分方法について説明します。

#1:車のローンが残っている場合

車のローンが残っている場合、使用者名義は自分(破産者)であっても車の所有者はローン会社であるため、車を引き揚げられるケースが一般的です。

一般的に車のローンを組んだ場合は車の使用権だけを債務者に渡す仕組み(所有権留保特約)になっており、ローンの遅滞が生じた際には担保である車を回収することができます。

所有権留保特約が適用されているかは車検証の所有者欄を確認すれば判断可能ですが、稀に車検証に反映していないケースもあるため、所有者が誰であるかはローン契約書で確認しましょう。

普通乗用車か、軽自動車か、所有者が信販会社か販売店かによって、確認すべきポイントが異なるため、ローン契約書は弁護士に確認してもらいましょう。

#2:車のローンを組んでいない、もしくは完済している場合

車を購入する際にローンを組んでいない、もしくは組んでいたローンを完済している場合には、名実ともに車の所有者は自分です。

自己破産をした場合は破産者名義の車も財産として換金し、債権者へ分配することになります。

ただし車の時価や購入してから経過した年数によって換価処分する必要がないとみなされるケースがあり、該当する場合には車を手元に残しておくことが可能です。

(3)自己破産しても車を手放さずに済むケース

なお自己破産をしても車を手放さずに済むケースは、すべて所有者が破産者本人の場合を想定しており、ローン返済中の場合は該当しません。

#1:車の価値が20万円以下の場合

車は破産法上の自由財産に含まれていませんが、裁判所によっては評価額の低い車に対して例外的に自由財産と認める基準(換価基準)を設けています。

東京地方裁判所を例に挙げると、時価額(購入時ではなく破産手続時点での価値)が20万円以下の場合は自由財産に含むとされています。

つまり車の価値が20万円以下である場合は、車を売却処分されることはなく手元に残しておくことが可能です。

東京地方裁判所以外の裁判所でも同様の基準を設けている場合が多いものの、各裁判所によって微妙に異なる場合もあるため、最寄りの地方裁判所の基準を弁護士に確認するのがよいでしょう。

#2:減価償却期間を過ぎている場合

減価償却とは、ある資産について「時間が経つにつれて価値が目減りする」という考え方のことです。車も年々価値が下がっていくため、法定耐用年数を経過した場合は減価償却されて価値が0円になると判断されます。

なお東京地方裁判所の場合は、法定耐用年数(軽自動車は4年、普通自動車は6年)が経過していれば査定をしなくても時価額0円と申告して良いとされています。

こちらも裁判所の運用によって異なるため、弁護士に確認するのがよいでしょう。

つまり車を購入してから一般的に寿命と考えられる年数が経過している場合は、価値は0円になるため査定に出さずとも自由財産として手元に残せるということです。

2. 自己破産後にローンを組むことができるのか

車のローン

自己破産手続が終わった後、もう一度車を手に入れたい場合はどうすれば良いのでしょうか。

ここからは自己破産後に車の再度ローンを組むときの対処法について説明します。

(1)一定期間はローンを組むことができない

自己破産手続後は、しばらくの間ローンを組むことはできなくなります。

自己破産をすると金融事故として信用情報機関に登録されるため、再度ローンを組もうとしてもローン会社から断られてしまうからです。

とはいえ信用情報機関への登録は生涯続くわけではなく、一定期間(5~10年)経過すると事故情報が削除されます。

(2)事故情報削除後はローンを組める可能性がある

信用情報機関に登録されている事故情報が削除されると、再び車のローンを組める可能性があります。

自己破産後でも一定期間(5~10年)が経過すれば金融事故としての登録がリセットされ、ローン会社が自己破産の情報を取得できなくなるからです。

ただし自己破産したときのローン会社の社内情報として半永久的に残る可能性があるため、信用情報機関の登録が抹消されたからと言って必ずしもローンが組めるとは限りません。

信用情報機関および債務整理の方法ごとに事故情報が削除されるまでの期間をまとめると以下のようになります。

債務整理の手続方法 CIC(株式会社シー・アイ・シー) JICC(株式会社日本信用情報機構) KSC(全国銀行個人信用情報センター)
任意整理 完済から5年 完済から5年
(ただし2019年9月30日以前の契約は受任通知の送付日から5年)
完済から5年
個人再生 完済から5年 完済から5年
(ただし2019年9月30日以前の契約は手続開始決定日から5年)
手続開始決定日から10年か、完済から5年のいずれか遅い方
自己破産 免責許可決定確定日から5年 免責許可決定確定日から5年 手続開始決定日から
10年

自己破産の欄のとおり、遅くとも手続開始決定日から10年の経過により、事故情報は削除されます。

(3)事故情報が削除されたかどうかは、信用情報機関に開示請求を行えば確認できる

各信用情報機関は、本人からの申請により、信用情報を開示する制度を設けています。

これにより、事故情報が残っているかどうかを確かめることができます。

事故情報の保有期間が経過した頃に、念のため信用情報を確認しておくとよいでしょう。

信用情報機関によって加盟している金融機関や事故情報の保有期間が異なっているほか、信用情報機関の間で情報交流を行い事故情報を共有していることもあります。

そのため一つの信用情報機関に事故情報が残っているだけでも審査に影響がありますので、全ての信用情報機関に請求しておいた方が漏れがなくなります。

信用情報機関ごとの情報開示請求の方法と手数料は以下のとおりです。

信用情報機関 情報開示請求の方法 開示請求手数料
CIC インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1,000
窓口:¥500
JICC インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1,000
窓口:¥500
KSC 郵送のみ受付 ¥1,000

開示請求の詳細については、以下の各信用情報機関のウェブページをご覧ください。

まとめ

この記事では自己破産時に車のローンと車本体の処分がどうなるのかに加え、再度車のローンを組みたい場合の対処法について解説しました。

自己破産を行うと破産者の財産を換価処分しても払いきれない債務については免除されるため、車のローンが残っている場合は返済義務がなくなります。

ただし車のローンが残っている場合には、車の所有者であるローン会社に車本体は引き上げられる点にご注意ください。

車の所有者が自分自身であっても車の価値が20万円を超える時は換価処分する必要があります。

自己破産後に車のローンを組めなくなるなどの制約はありませんが、事故情報として信用情報機関に記録が残るため、5~10年は新たなローンは組めない可能性が高いでしょう。

自己破産を検討されている方は、車のローンや車が手元に残るかについても担当弁護士に相談してみてください。

債務整理でこんなお悩みはありませんか?

もう何年も返済しかしていないけど、
過払金は発生していないのかな・・・
ちょっと調べてみたい

弁護士に頼むと近所や家族に
借金のことを知られてしまわないか
心配・・・

  • ✓ 過払金の無料診断サービスを行っています。手元に借入先の資料がなくても調査可能です。
  • ✓ 秘密厳守で対応していますので、ご家族や近所に知られる心配はありません。安心してご相談ください。

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。