自己破産は離婚の前後どちらですべき?自己破産後の配偶者・元配偶者への影響

執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。

「自己破産は離婚の前後どちらでやるべきなのか」
「離婚の前後によって自己破産はどのような影響が生ずるのか」

借金問題から夫婦仲が悪くなってしまって、自己破産と離婚の両方を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そしてそのような方の中には、どちらを先にすべきなのか迷っている方もいらっしゃると思います。

本記事では、自己破産と離婚はどちらを先にすべきなのかについてご紹介します。

1.自己破産は離婚の前後どちらですべきか

自己破産は離婚の前後どちらですべきか

特段離婚を急いでいなければ、自己破産後に離婚することを推奨します。

自己破産前の離婚によって慰謝料や財産分与の支払いが発生する場合、その支払いに妥当性があるか調査するため管財事件として取り扱われることがあるのです。

管財事件として認定された場合、手続が複雑になり、さらに費用も高くなるので、自己破産前に離婚することはおすすめしません。

先に自己破産をすれば、そのようなリスクを回避できるため、離婚後に自己破産をするよりも手続がスムーズに進む可能性が高いと言えるでしょう。

2.自己破産を先にした場合の配偶者への影響

自己破産を先にした場合の配偶者への影響

離婚前に自己破産をするので、配偶者に多少の影響が生じます。

たとえば、以下のような影響が生じる可能性が高いです。

  1. 生活環境が変化する
  2. 配偶者が保証人なら代わりに請求される
  3. 滞納した婚姻費用を手続中に支払ってはいけない

順にご説明します。

(1)生活環境が変化する

自己破産は、資産価値の高い財産の処分が必要なため、20万円以上の価値がある不動産や自動車等は換価されることになります。

特に住居が自己所有の場合は引っ越しを余儀なくされるので、生活環境が変わります。

また、車が主な交通手段であれば、他の交通手段を選ばなければならなくなるため、配偶者に対しても大きな影響を与えることになります。

破産手続きに先立って、これらのことを夫婦で話し合っておくとスムーズな申立が可能となります。

(2)配偶者が保証人なら代わりに請求される

配偶者が借金の保証人になっている場合は、自己破産を申請したら破産者の代わりに配偶者が請求されることになります。

この場合、単に残債務の返済を分割で求められるのではなく、一括請求されるリスクがある点が難点です。

配偶者が残債務を一括返済できない場合は、配偶者自身も債務整理を視野に入れなければならなくなります。

自己破産をすれば、信用情報機関に事故情報が登録され、一定期間はクレジットカードやローンの利用ができなくなるため、離婚後の配偶者の人生に影響が生じることになるでしょう。

(3)滞納した婚姻費用を手続中に支払ってはいけない

婚姻費用を滞納している場合、自己破産手続中は、配偶者に支払ってはいけません。

自己破産者が配偶者に対して婚姻費用を滞納している場合、配偶者を債権者として申告することになります。

破産手続中に、一部の債権者に返済を行うと偏波弁済と判断され、免責不許可事由に該当する可能性が高いです。

免責不許可事由に当てはまる場合、自己破産で免責が下りないリスクが生じるので、なるべく免責不許可事由に該当する行為は避けなければなりません。

そのため、既に滞納をしている方は、自己破産手続中に返済しないようにしましょう。

なお、婚姻費用の支払期日が破産手続開始決定後の場合は、特に問題ありません。

この場合は、手続中でも支払期日まで婚姻費用を支払いましょう。

3.離婚を先にした場合の元配偶者への影響

離婚を先にした場合の元配偶者への影響

続いて自己破産より先に離婚をした場合の元配偶者への影響についてご紹介します。

まず、自己破産を先にした場合と同じで、元配偶者が保証人であれば、破産者の代わりに一括請求される点は要注意です。

離婚をして縁が切れたとしても保証人である以上は元配偶者に請求がいき、迷惑をかけることになります。

また、離婚時に支払った財産分与や慰謝料の額が不適当と判断された場合は、元配偶者は返還を求められることもあります。

なお、離婚をしてから破産手続までに慰謝料等の支払いを元配偶者にしていない場合は、自己破産によってそれらの支払い義務が免除されることがあります。

離婚を先にした場合でも、元配偶者に迷惑をかけることがあるので、何らかの影響が生じるときは、素直に伝えた方がいいかもしれません。

なお、免責不許可事由や非免責債権に関して、以下の記事でご紹介しているので、あわせてご覧ください。

自己破産をしたら慰謝料も免責されるの?

4.自己破産で免責されない債権

自己破産で免責されない債権

自己破産で免責許可が下りた場合でも、免責されない債権があります。

それは、婚姻費用と養育費です。

離婚前に自己破産をした場合は婚姻費用が、離婚後に自己破産をした場合は養育費の支払い義務が免除されません。

特に婚姻費用の未払いは配偶者・元配偶者に借金をしていることになるので、免責対象になると勘違いされる方が多いので気を付けましょう。

まとめ

自己破産と離婚の両方を検討している場合、どちらを先にすべきか迷う方も多いでしょう。

どちらにもメリット・デメリットはありますが、強いて言うなら自己破産を先にした方が無難です。

自己破産を先にした方が、自己破産の手続のハードルが低くなります。

離婚の前後でどのような違いがあるのかもう一度チェックして、納得のいく形で破産手続を進めましょう。

弁護士法人みずきでは、自己破産に関する相談を無料で受け付けております。

自己破産とあわせて離婚に関する悩みも相談可能なので、お気軽にご連絡ください。

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執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。