個人再生後に住宅ローンが通った事例は?ローンを組む方法や注意点

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「個人再生をした後に住宅ローンは通るのか」
「個人再生後に住宅ローンを組むにはどうしたらいいのか」

個人再生を検討している方の中には、その後の住宅ローンの利用も考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、個人再生が住宅ローンにどのような影響を与えるのか、また個人再生後に住宅ローンを組む方法や注意点についてご紹介します。

1.個人再生後、一生住宅ローンを利用できないわけではない

結論から言うと、個人再生をした後は、しばらくの間は新たに住宅ローンを利用することができません。

個人再生を行うと、信用情報機関に債務整理をした事実(事故情報)が登録されることになります。

信用情報機関は、加盟している金融機関等から契約者の情報の提供を受けてこれを管理し、金融機関等からの照会に応じてそれらの情報を提供する機関です。

金融機関は住宅ローンの申込みを受けた場合、審査のために、信用情報機関に対してその申込者の情報についての照会を行います。

このとき、事故情報が登録されていると、その申込者にお金を貸しても返済が確実ではないと判断され、審査を否決されてしまいます。

このように、信用情報機関に事故情報が登録されている間は、金融機関の審査に通らないため、新規で住宅ローンを組むことはできません。

ただし、事故情報は一定期間を過ぎれば、信用情報機関から削除されます。

事故情報が削除された後は、住宅ローンを利用することが可能です。

個人再生をした後、一生住宅ローンを利用できないわけではないことを知っておきましょう。

2.個人再生後に住宅ローンを組むための3つのポイント

個人再生後に住宅ローンを組むために押さえておくべきポイントがいくつかあります。

主に大切なことは以下の3点です。

  1. 事故情報が消えるまで待つ
  2. ローンの申請まで頭金を用意する
  3. 安定した収入を得られる職に就く

それぞれご紹介するので、住宅ローンを組めるように準備しておきましょう。

(1)事故情報が消えるまで待つ

個人再生後に住宅ローンを組むためには、事故情報が消えるまで待つしかありません。

信用情報機関から事故情報が削除されるまでの期間は以下のとおりです。

株式会社シー・アイ・シー(CIC) 株式会社日本信用情報機構(JICC) 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
完済から5年 完済から5年

(ただし2019年9月30日以前の契約は受任通知の送付日から5年)

手続開始決定日から10年か、完済から5年のいずれか遅い方

KSCにおいて手続開始決定日から10年という期間が定められています。

しかし、完済できていなければ「完済から5年」の期間が経過することはありません。

したがって、個人再生後、完済しなければ事故情報が削除されませんので、まずは完済することを目標に返済していきましょう。

(2)ローンの申請まで頭金を用意する

事故情報が削除されるまでにある程度の時間がかかりますので、これを利用して頭金を用意しておきましょう。

住宅ローンは数十年という長い期間をかけて返済するため、申請時の年齢が高くなるほど、多額の頭金が必要になる傾向にあります。

個人再生では原則3年での返済計画を作成しますので、完済から5年の経過、つまり事故情報が削除されるまでに早くても8年はかかることになります。

たとえば、30歳で個人再生をした場合、住宅ローンの申請ができる頃には40歳近くになっています。

40歳で住宅ローンを組む際には、ある程度の頭金が必要になるため、少なくとも数百万円は貯めておくのが理想です。

(3)安定した収入を得られる職に就く

住宅ローンの審査に通るためには、安定した収入が必須なので、正社員として職についておくことをおすすめします。

また、正社員としての勤続年数が長いほどその後の収入も安定すると判断されやすくなります。

そのため、個人再生をした後は、住宅ローンの申請までなるべく同じ職場で働き続けるのが理想です。

少なくとも個人再生から10年近くは住宅ローンの申請が通らないので、その間勤続年数を伸ばすことができます。

これから転職を検討している方は、長期間正社員として働けそうな職場を選びましょう。

3.個人再生後に住宅ローンを利用する際の2つの注意点

差し押さえられる財産の種類

個人再生後に住宅ローンを利用するときに気をつけなければならない点があります。

特に注意すべき点は以下の2つです。

  • 必ずしも融資を受けられるとは限らない
  • 以前の借入先で住宅ローンを申し込まない

それぞれご紹介するので、知識として押さえておきましょう。

(1)必ずしも融資を受けられるとは限らない

事故情報が削除されたとしても、必ずしも融資を受けられるとは限りません。

住宅ローンを利用するためには、設けられた審査基準をクリアする必要があります。

安定した収入や長期間の勤続年数があると、審査基準をクリアしやすくなります。

逆に言うと、収入が低い方や不安定な方は審査に通らない可能性があります。

個人再生の手続後は、住宅ローンの審査に通りやすくするために、収入が安定するようにしておきましょう。

(2)以前の借入先で住宅ローンを申し込まない

個人再生の対象となった金融機関は避けるようにしましょう。

各金融機関では、独自に過去に債務整理を行った方の記録を保管しており(社内ブラック)、信用情報機関から事故情報が削除されたとしても、審査に通らない可能性が高いです。

したがって、個人再生の対象になっていない金融機関に対して住宅ローンを申請しましょう。

まとめ

個人再生をすると、信用情報機関から事故情報が削除されるまでの間は、住宅ローンを利用することはできません。

逆に言うと、事故情報が削除されれば、住宅ローンを利用することが可能です。

目安として、再生計画に従って完済していれば、個人再生から10年の経過により、住宅ローンを利用できるようになります。

それまでに収入を安定させつつ頭金を用意して、申請に備えておきましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。