保証人と連帯保証人に違いはある?解除方法についても解説

3.保証人や連帯保証人が必要となるケース

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「保証人と連帯保証人って何が違うの?」
「勝手に保証人にされたらどうしたらよいの?」

保証人と連帯保証人は、あまり違いがないように捉えられることがありますが、実際は異なるものです。

本記事では、保証人と連帯保証人の違いや解除方法、民法改正のポイントなどについて解説します。

1.保証人と連帯保証人の違いについて

1.保証人と連帯保証人の違いについて

保証人と連帯保証人は、「連帯」があるかないかの違いで、内容にさほど違いがないように思われるかもしれません。

しかし、両者は権利や責任などが異なるのが実情です。

保証人は催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益、求償権が認められている一方で、連帯保証人は求償権のみ認められています。

ここでは、保証人と連帯保証人の違いと連帯保証人制度に関する民法改正のポイントについてご紹介します。

(1)保証人と連帯保証人の権利には何がある?

保証人であっても連帯保証人であっても、債務者が返済できなくなれば代わりに返済する義務を負っています。

そして、保証人より連帯保証人のほうが背負う責任が重くなっています。

保証人には一定の権利が認められており支払を拒否できる場合もありますが、連帯保証人は基本的には支払を拒否できないためです。

保証人と連帯保証人にそれぞれ認められている主な権利についてご紹介します。

#1:保証人の催告の抗弁権とは

催告の抗弁権とは、債権者が保証債務を履行するよう保証人に対して請求した場合に、保証人ではなく先に主債務者に請求するよう主張できる保証人の権利です(民法452条)。

ただし、主債務者が破産手続開始の決定を受けたり、主債務者の行方が知れなくなったりした場合には催告の抗弁権を行使することはできません(民法452条ただし書)。

一方、連帯保証人には検索の抗弁権がないので、債権者が主債務者に請求せずに先に連帯保証人に請求してきた場合でも、それを理由に支払を拒否することはできません。

#2:保証人の検索の抗弁権とは

「検索の抗弁権」とは、主債務者には債務を弁済できる資力があり、かつ、執行が容易であることを保証人が証明することにより、債権者に対し、先に主債務者の財産に対して執行するように請求できる保証人の権利です(民法第453条)。

したがって、催告の抗弁権に基づき債権者が主債務者に履行を督促したうえで保証人に保証債務の履行を求めてきた場合でも、保証人はさらにこの検索の抗弁権を主張して支払を拒否することができます。

一方、連帯保証人は主債務者に弁済できる資力があり、かつ、執行が容易な場合でも、債権者から請求されると支払を拒否することはできません。

#3:保証人の分別の利益とは

分別の利益とは、複数の保証人がいる場合に、それぞれの保証人が主たる債務の全額について支払う必要はなく、主債務を保証人の人数で割った額を負担すればよいという利益のことをいいます(民法456条、427条)。

たとえば、200万円の主債務に二人の保証人がついている場合、片方の保証人はたとえ債権者に200万円の支払を請求されたとしても、100万円についてはもう片方の保証人に請求するよう主張することができます。

連帯保証人には、この分別の利益が認められていません。

そのため、何人連帯保証人がついていたとしても、債権者に主債務の全額の返済を請求されれば、全額を支払わなければなりません。

#4:保証人と連帯保証人の求償権とは

求償権とは、主債務者の代わりに弁済した場合に、その支払った分を債務者に対して請求できる権利のことをいいます(民法459条)。

求償権は保証人と連帯保証人いずれにも認められている権利です。

(2)保証人制度に関する民法改正のポイント

2017年5月に民法が改正され、2020年4月1日から施行されました。

この改正民法の内容のうち保証人制度に関する大きな変更点は次のとおりです。

  • 個人が保証人となる根保証契約では、極度額を定めなければ無効
  • 主債務者・債権者による情報提供義務

根保証契約とは、保証人となる時点で債務金額がはっきりと分かっていない状態で締結する契約です。

改正前の民法では、貸金等債務を主たる債務とする根保証契約についてのみ、極度額を定めなければ無効とするという条文になっていました。

改正後の民法においては、個人が保証人となる根保証契約では、主たる債務の内容を問わず、保証人が責任を負う金額に対して上限(極度額)を定めなければ、その契約は無効となります(民法465条の2第1項および第2項)。

次に、主債務者は個人の保証人に対して、事業用の債務の根保証の委託をするときには、主債務者自身の財産や収支の状況、主債務だけでなくそれ以外の債務金額や履行状況等について情報を提供することが義務付けられました(民法465条の10第1項および第2項)。

また、保証人は保証期間中、債権者に対して、主債務の支払状況に関する情報提供を求めることができるようになり、この請求を受けた債権者は、遅滞なく保証人に情報提供をしなければなりません(民法458条の2)。

さらに、主債務者が支払を遅延して分割払いだったものが一括払いを求められた場合(「期限の利益の喪失」といいます。)、債権者は保証人にその旨を通知する義務を負います(民法458条の3)。

2.保証人や連帯保証人を解除するには?

保証人や連帯保証人に一度なってしまうと、契約を解除することは難しいです。

しかし、勝手に保証人や連帯保証人にされた場合は無効を主張できる可能性がありますし、債権者から解除の同意を得た場合は解除によって保証人や連帯保証人から外れることができます。

ここでは、勝手に保証人や連帯保証人にされた場合や保証人や連帯保証人から外れる方法についてご説明します。

(1)勝手に保証人や連帯保証人にされた時の対処法

債務者が勝手に実印の押印や署名をして、知らない間に保証人や連帯保証人になってしまったケースもあります。

本人が同意していないにもかかわらず、勝手に実印の押印や署名をして保証人や連帯保証人にしても、効力は発揮されません。

また、騙されて保証人や連帯保証人にされた場合や勘違いでなってしまった場合にも、保証契約や連帯保証契約を取り消せる可能性があります。

ただし、これらの場合裁判上で無効や取消しを主張しなければならないケースもあります。

そのため、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

(2)保証人や連帯保証人の契約を解除する方法

納得して保証人や連帯保証人になったものの、「やはり解除したい」と思った場合はどうしたらよいのでしょうか。

結論からいうと、解除して保証人から外れることは難しいと言わざるを得ません。

しかし、次のような場合には、解除できる可能性があります。

債権者から解除に対する同意を得れば、基本的には保証人や連帯保証人から外れることができます。

債権者との同意を得るためには、新たな保証人や連帯保証人を用意したり、不動産を物的担保として提供したりすることが必要になります。

この場合も、新たな保証人や連帯保証人の資力が十分でなかったり、不動産の価値が低かったりすると、担保としての役割を果たさないと判断されてしまい、債権者の同意を得ることが難しくなります。

また、債務残高が少なくなっており、金融機関が担保は不要と判断した場合には、代わりの担保を提供しなくとも債権者の同意を得られるケースもあります。

ご自身が保証人や連帯保証人から外れる方法があるか確認したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

3.保証人や連帯保証人が必要となるケース

3.保証人や連帯保証人が必要となるケース

どのような契約の場面において、保証人や連帯保証人が必要なのでしょうか。

保証人や連帯保証人が必要となる代表的な契約は次のとおりです。

金銭消費貸借契約 金融機関から融資を受ける際に、万が一債務者が支払えなくなった場合に備えて保証人や連帯保証人を確保したうえで金銭消費貸借契約が結ばれます。
賃貸借契約 不動産を借りる際にも保証人が求められるケースが多いです。
奨学金の申込み 大学進学前や在籍中に奨学金を借りる際も保証人や連帯保証人が必要です。

4.保証人や連帯保証人が返済困難になった場合

4.保証人や連帯保証人が返済困難になった場合

債務者が返済をできなくなったために保証人や連帯保証人が保証債務を支払うことになったものの、その保証人、連帯保証人自身も支払が難しいというケースもあります。

その場合、まずは債権者に今後の支払計画について相談してみましょう。

場合によっては、分割支払や当面は利息のみの支払を認めてくれるかもしれません。

しかし、一括支払を求められたものの保証人や連帯保証人自身も支払が難しければ、債務整理を検討しなければならない可能性もあります。

債務整理の主な手続には任意整理、個人再生、自己破産があり、何を選択すべきかしっかり検討する必要があります。

弁護士に相談して適切なアドバイスを得ましょう。

債務整理のメリットとデメリットについては、下記の記事に詳細をまとめておりますので、こちらをご覧ください。

借金を減額できる制度とは?メリットとデメリットを解説

まとめ

連帯保証人は保証人より責任が重く課されています。

保証人と連帯保証人とで責任の重さに違いはあるものの、両者とも安易に引き受けることは禁物です。

なぜなら、債務者が返済できなくなった場合に、保証債務を履行しなければならないことは保証人も連帯保証人も変わりがないためです。

もし、勝手に連帯保証人にされてしまった場合、自ら合意して保証人になったものの保証債務の履行ができない場合などには、弁護士に相談することをおすすめします。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。