カードローンの借金を債務整理したい!三つの方法と手続の仕方とは

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「カードローンの返済が厳しく、滞納が発生してしまった」
「債務整理をしたいけれど、手続の仕方がわからない」

カードローンの金額が増えてしまい返済に困ってしまったが、どのように対応したらよいかわからないという方もいらっしゃると思います。

債務整理は、借金の減額や免除をしてもらうための手続です。

主に三つの方法があり、メリットやデメリット、手続の仕方も異なります。

この記事では、三つの債務整理がどのような手続か、債務整理をすると何が起こるのかをご説明します。

1.任意整理

任意整理とは、債権者と利息部分の減額や返済期間の再設定について交渉し月々の返済額と債務の総額を減らす手続です。

裁判所を通さない手続であり、他の債務整理の手段に比べると比較的早く手続を終えることができますが、任意交渉であるため、債務の減額幅は大きいものにはなりません。

債務残額が比較的少なく、大幅な減額をしなくても返済を続けていけそうという場合、任意整理を検討してみましょう。

任意整理の進め方やメリットとデメリットは以下のとおりです。

(1)任意整理の進め方

  1. 専門家への相談(任意整理できるかどうか判断)
  2. 弁護士と委任契約の締結
  3. 債権者に対して受任通知を送付及び取引履歴の開示請求
  4. 引直し計算(利息を再計算して債務額を確定、過払金があれば返還請求)
  5. 和解交渉
  6. 合意書作成
  7. 返済開始

任意整理の場合、上記の専門家への相談から返済開始まで、2か月~6か月程度の時間がかかります。

返済については、通常3年〜5年程度で返済していくことになります。

(2)任意整理のメリット・デメリット

債務を減額できることのほかにもいくつかのメリットがある一方、デメリットもないわけではありません。

メリット・デメリットを把握した上で選択してください。

メリット

  • 将来利息の分だけ返済総額を減額できる
  • 最長5年で借金が返済できる
  • 財産が処分されない
  • 家族や勤務先に知られずに済む可能性が高い

デメリット

  • 任意整理に応じてくれない債権者もいる
  • 長期分割にできない場合がある

任意整理はあくまで任意の交渉であり、債権者によっては減額に応じてくれない場合があります。

住宅ローンや自動車ローンについて任意整理の対象から外すことで財産を引き上げられずにすみます。

また、保証人がついている債務についても対象から外すことにより、保証人が請求を受けることを回避することもできます。

ただし、対象から外すということは、元の約束のまま支払をしていくことになりますので、その分収入が必要ということになります。

任意整理による解決が可能な状況かどうかを検討するためにも、まずは弁護士へのご相談をおすすめします。

2.多重債務がある場合は個人再生・自己破産を検討

任意整理はデメリットが比較的少ないものの、大幅な借金の減額は見込めません。

もし複数の借金があり返済がかなり困難であれば、より大幅な減額ができる個人再生、借金そのものが免除される自己破産を選択した方が良い場合もあります。

それぞれどのような手続か、ご説明します。

(1)個人再生

個人再生とは、現在の財産や収入から借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらったうえで、一定の割合で借金を減額した再生計画案を裁判所に認可してもらい、返済計画による返済が終わった時点で、残りの借金を免除してもらう手続です。

個人再生は裁判所によって進め方が異なります。

主な流れやメリットとデメリットは以下のとおりです。

#1:手続の流れ

  1. 専門家への相談
  2. 委任契約の締結
  3. 債権者に対する受任通知の送付、取引履歴の開示請求
  4. 申立て書類の作成
  5. 裁判所への申立て
  6. 個人再生委員の選出
  7. 履行テストの開始
  8. 裁判所による個人再生手続の開始決定
  9. 個人再生委員との面談
  10. 再生計画案の提出
  11. 裁判所による再生計画案の認可決定
  12. 再生計画に基づいた返済開始

裁判所を介する手続であることもあり、任意整理に比べると手続が多くなってしまいます。

個人再生の手続にかかる期間の目安は、準備期間を含めて6か月から1年ほどです。

#2:メリット・デメリット

メリット

  • 借金が総額に応じて最大10分の1まで減額される
  • 職の制限がなく借金の理由は問われない

デメリット

  • 債務総額5000万円を超えると対象外になる
  • 収入がある人しか申立てできない
  • 保証人が保証債務の支払請求を受ける
  • 官報に申立人の氏名や住所が掲載される

住宅資金特別条項を定めることにより、ローンの残った住宅を残したまま、任意整理よりも大幅に借金を減額できます。

ローンの支払が完了していれば、住宅も自動車も手元に残して手続を進めることができます。

一方で、保証人に対して保証債務の支払請求を受けたり個人再生をした事実が官報に載ったりするというリスクもあります。

(2)自己破産

自己破産とは、現在の財産や収入では借金の返済が困難であると裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除(「免責」といいます。)してもらう手続のことです。

個人再生でも借金の返済が困難である場合に適用されることが多く、借金を免責してもらう代わりに相応のデメリットを負うことになります。

自己破産には少額管財と同時廃止の2種類があり、どちらになるかは裁判所が判断します。

手続の流れやメリットとデメリットは以下のとおりです。

#1:手続の流れ

  1. 専門家への相談
  2. 委任契約の締結
  3. 債権者に対する受任通知の送付、取引履歴の開示請求
  4.  申立書類の作成
  5.  裁判所への申立て
  6.  裁判官との面談
  7. 裁判所による破産手続の開始決定
  8. (少額管財の場合)管財人面談、債権者集会、免責審尋
    (同時廃止の場合)免責審尋
  9.  裁判所による免責許可の決定

自己破産の手続期間は6か月から1年ほどです。

早めに行動して、借金生活からの開放を目指しましょう。

#2:メリット・デメリット

自己破産のメリットおよびデメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 一部の債務を除いて債務の支払義務が免除される

デメリット

  • 家や自動車など資産価値が高いものは手放さなければならない
  • 保証人が保証債務の支払請求を受ける
  • 一時的に就けなくなる職業がある
  • 官報に申立人の氏名や住所が掲載される

任意整理と個人再生の手続と異なり、警備員や宅地建物取引士など一時的に就けない職業があります。

ただし、取得した資格が一時的に使えないだけであり、資格を失うわけではありません。

債務がほぼ全額免除されるものの、財産を手放さなければならない場合があるなどデメリットも大きいため選択する場合は注意が必要です。

3.債務整理の注意点

債務整理をする場合、主に二つの点に注意する必要があります。

  1. 事故情報が信用情報機関に登録される
  2. 個人再生、自己破産は保証人に対して一括請求される

借金を減額・免除できるメリットがある反面、デメリットもあります。

それぞれの注意点について具体的にご説明します。

(1)事故情報が信用情報機関に登録される

債務整理を行うと、信用情報機関にその事実が事故情報として登録されます。

事故情報とは、返済の延滞や債務整理などの金融事故の情報を指します。

信用情報とは、個人のローンやクレジットなどの借入履歴や返済状況のことで、この情報を管理している機関が信用情報機関です。

登録されると信用情報機関ごとの定めにより5年または10年の間その記録が残り、日常生活に以下のような影響が生じます。

  • 一定期間キャッシングやローンが利用できない
  • 分割払いが利用できない
  • クレジットカードの利用停止

ローンやキャッシング、分割払いでは申込時に信用情報機関に照会が行われます。

事故情報の登録があると、そのことがわかってしまい、申し込んだ人が債務を支払って行けるかどうか疑問があると判断されるため、申込みを拒否されてしまうのです。

また、クレジットカード会社も定期的に信用情報機関に照会を行い、利用中に問題がないか与信審査をして確認しています。

事故情報の登録があることで、この中途審査に落ちてカードを解約されてしまう可能性があります。

(2)個人再生・自己破産の場合は保証人に対して一括請求される

個人再生と自己破産では、減額や免除がされるのは債務者のみです。

保証人に対しては免除や減額もなく、一括請求されてしまいます。

保証人が夫や妻、両親や親族であってもこの支払義務は発生します。

周囲の人に迷惑をかけてしまう可能性があるため、これらの債務整理の方法を選択する場合は慎重に判断しましょう。

まとめ

どうしても返済が難しい場合は債務整理をすることも一つの選択肢です。

任意整理は比較的リスクが低いですが、上記のようなデメリットもあります。

カードローンの返済について悩みがあれば、一人で抱え込まずにまずは弁護士に相談してみましょう。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。