任意整理後に払えない場合はどうなる?払えない場合の対処法を解説

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「任意整理後に払えない場合はどうなる?」
「事情があり任意整理で合意した金額を払えなくなったけれどどうすれば良いか分からない」

任意整理は、任意整理で定めたスケジュール通りに継続して返済することが条件なので、払えなくなった場合はどう対処すればいいのか不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

任意整理後に払えなくなった場合は、払えていない期間や状況などにより、対処法が異なります。

あらかじめ対処法を把握しておくと、万一払えなくなった場合、スムーズに対応することが可能です。

本記事では、任意整理後に返済額を払えない場合の対処法などについて詳しく解説します。

1.任意整理後に合意した金額を払えない場合はどうなる?

任意整理後に合意した金額を払えない場合、以下のように払えない期間により対処の方法が異なります。

  • 今月のみ払えない場合
  • 今後も2か月以上払える見込みがない場合

今月のみ払えない場合はそのまま任意整理を継続することができるケースが多いですが、2か月以上返済額を支払えない場合は新たな手続をとるなどの対処が必要です。

任意整理後に返済額を支払えない場合の状況などについて解説します。

(1)今月のみ払えない場合

任意整理を行った場合は、債権者と新たに合意したスケジュール通りに継続して返済する必要があります。

ただし、事情により、返済困難となる月が発生するのは珍しくありません。

任意整理後返済を毎月行えており、今月のみ支払えなくなった場合でも、債権者と合意した内容が2回以上滞納した場合は一括請求できるという内容で定められていることが多いため(これを期限の利益の喪失といいます。)、そのような定めになっていれば、その後継続して支払っていくことで、そのまま任意整理の返済スケジュールを継続することができます。

まずは任意整理で取り交わした合意書、和解書を確認して、何回滞納した場合に期限の利益を喪失すると定められているか把握しましょう。

また、もし1回でも遅れた場合は期限の利益喪失して一括請求を受けるという内容になっていたとしても、1回のみなら債権者と相談のうえ返済を待ってもらえるケースがあります。

支払いができないことが分かった時点で債権者にすぐに連絡することが重要です。

債権者と交渉する際は、以下を納得してもらえるように説明します。

  • 今月支払えない理由
  • 次回の支払期日

1か月単位で支払えなくなった場合は、焦らずに弁護士に連絡しましょう。

(2)2か月以上払える見込みがない場合

今月のみではなく、2か月以上返済できる見込みがない場合は注意が必要です。

というのも、任意整理は、弁護士と債権者との合意のもと成り立っています。

上述のとおり、借金の返済が2か月分以上滞った場合の取り決めとして、「残りの金額を一括で請求する」と定められているケースが一般的です。

2か月以上支払えない場合、期限の利益を喪失したものとして、残っている借入金を一括で支払うように請求されます。

また、一括請求された状態でその支払いに対応できないと、裁判を提起され、給与や財産の差押えや裁判などに発展するリスクもあるので早急に対応することが必要です。

2.任意整理後に返済額を支払えない場合の対処法

任意整理後に毎月の返済額を支払えなくなった場合は、放置せずに早めに対処する必要があります。

以下のように、状況に応じて様々な対処法があります。

  • 今月のみ払えない場合は債権者や弁護士に相談する
  • 任意整理を再度行う
  • 個人再生を行う
  • 自己破産を行う

今後払える見込みがあるかや残っている借金の額によって、対処法が異なります。

任意整理後に払えない場合の対処法について詳しく解説します。

(1)今月のみ払えない場合は債権者や弁護士に相談する

今月のみ払えない場合、上述のとおり、債権者に連絡して返済スケジュールを相談するか、弁護士を介して返済を行っているのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。

今月の支払いが難しい場合、弁護士は債権者への連絡を代行してくれます。

ご自身で交渉するよりも、弁護士を介する方がスムーズに今後の返済のスケジュールなどを債権者と調整することが期待できます。

(2)任意整理を再度行う

2か月以上返済できず、債権者から一括返済の請求をされてしまったとしても、任意整理を再度行えるケースがあります。

任意整理を再度行う際は、改めて毎月の返済金額と返済期間を調整し、負担の軽減を図ることとなります。

ただし、任意整理を繰り返すと債権者からの信頼が失われてしまい、再度の合意が中々できない可能性があるので注意が必要です。

また、もし任意整理を一部の債権者のみしか対象としていなかった場合には、対象とする債権者を増やすという選択肢もあります。

任意整理を行った債権者以外に借入を行っており、その返済が負担となっている場合は任意整理の対象に追加して全社合わせて毎月の支払金額を改めて調整することも考えるべきでしょう。

(3)個人再生をする

個人再生は裁判所に申立てを行い、借金の金額を約5分の1に圧縮することができる手続です。

借金の全額の支払い義務が残る任意整理とは異なり、大幅に返済の負担を減らせる可能性があります。

個人再生は、以下のような場合に利用できます。

  • 借金を大幅に減額すれば返済できる見込みがある
  • 減額した借金を支払う継続的な収入がある
  • 住宅などの財産も所有しているため破産をしにくい
  • 資格制限を受けると職業上不具合があるため破産をしにくい

借金を減額すれば返済できる見込みがあるのであれば、個人再生の手続きを検討することができます。

とくに、住宅などの財産を所有している場合、自己破産すると手放す必要があるのですが、個人再生では、住宅ローンは支払いを継続して住宅をもったまま、他の借金を減額できるという大きな利点があります。

なお、自己破産だと一定期間資格制限を受けてしまう税理士や警備員などの職業の方も、個人再生ではそのような制限がないため、行いやすいという利点もあります。

(4)自己破産をする

自己破産は裁判所に申立てを行い、借金の返済義務について免除をうける手続です。

借金全額の支払い義務が残る任意整理や減額された借金の支払い義務が残る個人再生とは異なり、借金すべての返済義務の免除を求める手続です。

自己破産は、以下のような場合に適している方法です。

  • 借金を返済できる収入がない
  • 処分することがどうしてもできない財産がない

自己破産では借金がなくなるので、経済的な再建にはもっとも効果の大きい手続といえます。

ただし、自己破産した場合、住宅や自動車など一定の財産は処分しなければいけないこと、一定期間資格制限を受ける職業があることといった制約があります。

まとめ

任意整理はスケジュール通りに返済することが必須となるので、払えない場合は早めの対処が必要です。

任意整理後、1か月分のみ払えない場合は、任意整理の内容が1回の滞納で一括請求ができない内容になっていて分割払いを継続できる可能性が高く、もしなっていなかったとしても債権者と相談をして支払いが継続できる可能性があります。

ただし、2か月以上など長期的に払えない場合は債権者から一括請求を受け、裁判を提起され、給与や財産の差押えなどのリスクがあるので、早めに再度の任整整理や他の債務整理の方法を検討する必要があります。

任意整理後に払えない場合は、適切に対処できるよう早めに専門家に相談しましょう。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

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