契約締結段階における本部の情報提供

フランチャイズ契約に限ったことではありませんが、フランチャイズ契約を締結する上で、本部が加盟店になろうとする者に対して行う事業や契約内容に関する説明は重要です。

この説明により、加盟店側が、どれだけの売上や利益を得られるのか、ロイヤリティとしてどの程度払わなければならないのかを認識し、契約を希望するか否かの判断ができるからです。

契約締結段階の本部の説明が問題となる場面としては、予期した売上げや利益を上げられない場合、ひいては赤字がかさんで事業の中止に至る場合が挙げられます。

加盟店として事業を開始するためには、多額の運転資金を費やしていることが多いため、予期した売上げや利益を上げられない場合、損害もそれなりに大きくなります。

加盟店になろうとする人の中には、多少なりとも商売の経験がある方もいますが、商売の経験がなく加盟店になる方も多くいます。

そうすると、本部から行われた売上や利益に関する説明は、加盟店になろうとする人にとってとても重要なものとなります。

もっとも、加盟店はそもそも本部とは独立した事業者になりますから、事業による利益、損失に関するリスクを加盟店が一切負わないというわけにはいきません。

また、売上や利益がどの程度生じるかは、将来の出来事であり、商売は水ものですから、正確に予想することはできません。

そうすると、本部が契約時に行う売上や利益の予測に関する説明には、もともと不確定な要素が入り込んでしまい、どの程度の説明を行えばよいのかの線引きが明確にできないということも、この問題を複雑にしています。

売上や利益予測に関する情報提供のみならず、契約をした場合の権利義務関係(店舗の借入、ロイヤリティ、解約等)や、本部自身の情報(資本金、従業員、加盟店数等の本部の会社情報等)に関する情報を提供する必要があることはもちろんです。

フランチャイズシステムに加盟して、加盟店になろうと考えている方は、事業開始後の損失のリスクは一定程度自分が負うことを把握し、売上・利益予測に関する本部の説明を鵜呑みにしないことが重要です。