フランチャイズ契約の解除に伴う損害賠償

解約に伴う損害賠償

フランチャイズ契約は、契約の期間が定められているのが通常です。フランチャイズ契約を解消する方法としては、契約を全うし、契約期間満了と同時に解約(=契約を更新しない)があります。しかし、契約期間が長期にわたる場合に、契約期間中に契約関係を解消したい場合には、①相手方の契約違反(=債務不履行)による解約、②契約書で定められた中途解約条項に基づく解約(契約違反がなくとも解約が認められる定めが契約で定められている場合)、③両当事者の合意による解約、のいずれかの方法による必要があります。
このうち、①相手方の契約違反による解約の場合には、契約違反によって他方に損害が生じている場合には、民法上、相手に損害を賠償するよう請求することができます。
他方、②中途解約条項に基づく解約の場合には、相手方の債務不履行がなくても解約ができる場合が規定されていますから、民法上、損害賠償請求ができないこともあり得ます(民法上、相手方に損害賠償を請求するためには、相手方が契約違反(債務不履行)等をしていることが必要なため、契約違反等がない場合には、相手方に損害賠償を請求することができなくなります。)

解約に伴う解約一時金

このように、契約書で定められた中途解約条項に基づいてフランチャイズ契約を解約する場合、ともすれば、いつでも自由に解約することができてしまい、「契約期間の間は継続してロイヤリティ収入を得られたはず。」という期待(本部側)や、「契約期間の間は、本部のマークを使って商売ができたはず。」という期待(加盟店側)が裏切られることになります。そこで、中途解約条項の定めがある場合には、解約しようとする側は、相手方に対して解約一時金として金銭を支払わないといけない旨の定めが置かれることがあります。
他方で、この解約一時金が極端に高額に過ぎると、契約を解消する自由を一方的に奪うことになるため、解約一時金として請求できる金額が制限されることもあります。

解約一時金の定めがない場合

上記の様なケースで、解約一時金の定めがない場合、相手が一方的に解約をしてきたことに対抗して、解約に伴って何かしらの金銭的な請求をすることはできないのでしょうか。
この点については、相手方に損害賠償を請求するためには、相手方が契約に違反していなければなりませんから、解約される側の立場は、解約されることが債務不履行に当たると主張、立証しなければなりません。当初合意した契約期間を全うせずに契約関係を終了させることをもって契約違反と観念することもできますし、他方、契約書に中途解約を認める定めがあるわけですから、それに基づいて中途解約をすることは契約違反には当たらないと考えることも充分可能です。
このように、契約書で中途解約を認める定めがあるにもかかわらず解約一時金を定めていない場合には、中途解約をされたことによる金銭的な請求をすることは、一筋縄ではいかないと考えられます。