フランチャイズの労務問題

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フランチャイズは、本部及び加盟店だけの関係では成り立たず、本部、加盟店のいずれも会社組織であれば、会社内部の労務問題は切っても切り離せない問題です。

今回は、フランチャイズシステムにおいて、本部と加盟店の橋渡し役ともいえるエリアマネージャー(スーパーバイザー)の取り扱いに関する問題を取り上げます。

エリアマネージャー、スーパーバイザーの立場

小売店や飲食店のフランチャイズを展開するフランチャイズ本部は、一定の範囲の複数の加盟店の運営状況、マーケティング、スタッフへの指導教育等を統括して支援、指導、助言を行うエリアマネージャー(スーパーバイザー)という人物を置いています。

このようなエリアマネージャーを組織の管理監督者として扱い、時間外手当(残業代)を支払わない取り扱いをすることが許されるのでしょうか。
労働基準法上、「労働者」が所定労働時間を超えて労働をする場合は、会社は労働者に対して時間外手当(残業代)を支払わなければなりません。他方、「労働者」ではなく「管理監督者」に対しては、このような労働時間に対する規制はありません。

管理監督者にあたるかどうかの基準

エリアマネージャーが管理監督者に当たるかどうかは、業務内容等から実質的に判断されるため、エリアマネージャーという役職名だけからは一概に決まるものではありません。管理監督者にあたるかどうかは、抽象的にいえば、①経営に関する決定に参加しているか否か、労務管理に関する指揮監督権限が認められているか、②自己の労働時間について裁量があるか否か、③一般的な従業員と比べて地位と権限にふさわしい賃金上の処遇があるか否か、によって判断されます。

より具体的にいえば、①に関しては、人事の採用考課の権限・関与の有無、勤務表作成権限の有無、時間外労働の命令権限の有無などが判断要素になります。
②については、遅刻や早退などによる制裁、人事考課上の不利益の有無、事実上長時間労働を余儀なくされているかどうか、などが判断要素になります。
③については、賃金を時間単位に換算した場合に、他の一般従業員や最低賃金以下の賃金となるかどうか、年間の賃金総額が一般労働者以下であるかどうか、時間外手当が支払われない分に相応するかそれ以上の役職手当が支払われているかどうか、などが判断要素になります。

管理監督者でない従業員を管理監督者として扱った場合

会社としては、管理監督者として扱ってはいたものの、管理監督者ではないと判断された場合には、以下のようなリスク・ペナルティがあります。

・労働基準監督署から、是正勧告等の行政処分を受ける
・従業員本人から、過去2年分の割増賃金未払分の請求を受ける(裁判を起こした従業員以外の該当者全員に対して任意で残業代を支払う場合もあります。)