コンビニの見切り販売

今でこそ、コンビニでも弁当や惣菜の値引き販売がされているのを見るようになりましたが、一昔前まではコンビニで商品が値引き販売されていることはほとんど見かけることはありませんでした。

かつて、コンビニ業界では、加盟店が一定の価格よりも安価で商品を販売すること(=見切り販売)について、本部のスーパーバイザーから厳格な指導、監督が行われており、見切り販売を継続することによる契約の打ち切り等を背景に、加盟店は事実上見切り販売することができませんでした。

そのため、コンビニで割引商品を見かけるということはあまりなかったのです。

そもそも、フランチャイズ契約上は、販売する商品の価格設定は加盟店が自由に決定できるとされています(ただし、販売されるほとんどの商品について、本部が設定する推奨価格なる価格の指定があります。)。

しかし、本部のスーパーバイザーにより、事実上の指導、監督として、販売価格の自由な決定を制限されていたのです。

1.見切り販売をすることのデメリット

本部が見切り販売を制限していたことにも、以下のような理由がありました。

①見切り販売をすることにより新鮮さが売りのブランドイメージが崩れる。

②どこでも、いつでも同じ価格というイメージが崩れ、顧客が商品の購入を躊躇することにより、利益が減る可能性がある。=値引きを狙う客層が増えて利益が減る可能性がある。

③加盟店同士の価格競争が生じることにより、同じフランチャイズの加盟店同士がつぶしあう結果となってしまう

2.見切り販売を制限することの問題点

しかし、本来、商品をどのような価格で販売するかは、経営主体である加盟店が決定できる事項であることから、契約の打ち切り等を背景として本部が商品の販売価格を事実上強制的に決定することは、独占禁止法が禁止する「優越的地位の濫用」に該当します。

あるコンビニチェーンにおいて見切り販売の制限が問題となり、公正取引委員会が、排除措置命令(問題となっている行為を辞めるよう命令すること)を出しました。

これを受け、今では弁当や総菜等の値引き販売が見られるようになりました。