整形外科と整骨院の違いとは?むちうちになったときの対処法

1.交通事故でむちうちになったときの治療方法

軽微な交通事故に遭われた方に一番多い傷害が頚椎捻挫や腰椎捻挫、いわゆる「むちうち」です。

今回は、その「むちうち」に対する通院についてのお話です。

追突事故などでご相談に来られる方の多くは、「レントゲンを撮ったけど、骨には異常がなかった」ということで、「頚椎捻挫」「腰椎捻挫」等と診断されています。

痛みの程度は様々ですが、「なんだか首が痛い」「動かすと腰が痛い」という程度の方も結構いらっしゃいます。

そのような方々に、通院先を聞くと、印象としては半数ほどの方が「整骨院(接骨院)に通っている」と仰います。

なかには、病院に通っていると言っていたはずなので、記録を取り寄せてみたら整骨院だったこともあります。

一般の方は、病院(整形外科)と整骨院の違いは、大して意識されていないようです。

しかし、損害賠償ということを考えた時に、整形外科と整骨院は大きな違いを生むことがあるのです。

2.整形外科と整骨院の違い

病院(整形外科)は、言わずもがな、医師がいる場所です。

なお、法律上「病院」というのは、20床以上の病床を持つ施設であり、それより小さいものは診療所(またはクリニック)と呼ばれますが、ここでは医師が常駐している施設をまとめて「病院」といいます。

他方で、整骨院は、柔道整復師という資格を持った人が施術をする場所です。

ここが根本にして最大の違いとなります。

同じような内容の治療(施術)を行ってくれる、同じような名前の施設ですが、医師がいるのかどうかという点で大きく異なります。

では、医師がいるかどうかで、何がそんなに変わるのでしょうか?

それは、医師にしかできないことがあるということです。

そう、法律上、怪我の診断は医師にしかできないのです。

3.むちうちにおける診断の必要性

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医師にしか診断ができなくったって、治るのなら別にどうでもいいのでは?と思われる方もいるかもしれません。

確かに、整形外科と整骨院では、頚椎捻挫等に対して行える治療(施術)内容は大差ありません。

むしろ、整骨院の方が①開院時間が長く利便性がある②あまり待たずに施術してもらえる場合が多い③施術時間も整形外科より長いことが多いと言いったメリットがあり、症状の回復に一役買っているということも少なくありません。

しかし、損害賠償の基本原則は「被害者が損害の発生を立証すること」です。

つまり、「この事故のせいでこういう怪我を負いましたよ」ということを立証する必要があります。

また、治療期間中は「この怪我は、現在時点でまだ治ってませんよ」という立証も必要になります。

この立証をするための証拠が、診断書なのです。

医師の診断書は、被害者が怪我を負っていること、未だ治癒していないことを立証するための重要な書類なのです

まれに、「診断書も書きます」とホームページ等で銘打っている整骨院もありますが、法律違反ですので書けませんし、例え書いたとしても証拠の価値はないと言わざるを得ないでしょう。

整骨院は施術証明書というものは作成できますが、これは「患者がここが痛いと言っていたため、それに対してこういう施術をした」ということを証明するに過ぎません。

極論を言えば、その痛みの原因が打撲や捻挫等の外傷によるものなのか、四十肩などの加齢によるものなのかも分かりません。

つまりせいぜい、「その日その時痛いといっていたこと」を証明できる程度となってしまいます。

4.医師の診断がないと困ること

さて、診断書が大切であるとはいっても、では実際にどういう困ったことが起こるのでしょうか?

(1)治療の打ち切り

1つ目は、治療の打ち切りについてです。

捻挫や打撲等の、非骨傷性外傷は、多くの場合が3ヶ月以内で治癒すると上で書きました。

しかし、中にはもちろん長期化、遷延化してしまう場合もあります。

問題は、そのような場合「まだ治っていません」という立証が難しいことです。

これが骨折なら、レントゲンを撮り、癒合が終わっていないことが客観的に明らかであれば、治っていないことは容易に立証できます。

しかし、捻挫は現在の画像検査で以上を読み取ることは基本的にはできません。

正確には、以上を読み取れないから捻挫という傷病名が付いているのです。

従って、まだ治っていないことは、医師に日ごろの診察をしてもらったうえで確認(お墨付き)をもらっていないとなかなか難しいのです。

これが、もし病院へは通わずに整骨院のみに通っていたとしたら…。

「たしかに痛いとは言っていますが、それが事故のせいとはいえませんので」の一言で治療費を打ち切られてしまう可能性もあるのです。

そうなってから病院に行ってみても、今度は医師にも「継続的に見ていないと、よくわからないので」と言われてしまうことも、しばしばあります。

このように、本来こちらの重要なカードである診断書や診断意見を得られないことによって、不当な早期治療終了に対する有効な反論ができなくなってしまう可能性があります。

(2)後遺障害診断書を作成できない

2つ目は、後遺障害についてです。

うまく症状が完治すれば問題ないですが、例えば治療を6ヶ月以上してもなお疼痛やしびれが消えない場合には、その症状は後遺障害に該当する可能性があります。

残存症状が後遺障害に該当すれば、それに対する慰謝料や逸失利益を得ることができますから、後遺障害があるかどうかは重大な関心事になります。

しかし、後遺障害に該当するかどうかは、後遺障害診断書というものを作成し、第三者に判断してもらうことになります。

そう、そのネーミングからも分かるように、後遺障害診断書も医師でなければ作成できないのです。

では、治療が終了してから病院に行けばいいのかというと、これもまた「継続的に見ていないと、よくわからない」と言われてしまいます。

従って、事故直後から継続的に医師の診断を受けていないと、万が一症状が残った場合に、適正な賠償を得られなくなってしまうのです。

まとめ

そうすると、整骨院は使わずに、整形外科のみに通わなければならないのか?と気になるかと思います。

賠償のことを考えたら、整形外科へ通院しておくことがベターなのは間違いありません。

しかし整形外科はなかなか頻繁に通いづらいという面もあります。

その点、整骨院は上で見たようなメリットがあります。

そこで、整骨院でリハビリをするにしても、コンスタントに病院での診察も受けるようにしましょう。

最低でも月に1度は整形外科へ受診し、現状をお伝えしてこれをカルテや診断書に残してもらう。

そうすれば、治療に関して不当な扱いをされる恐れを最小限にできます。

弁護士は示談交渉の際に入れれば大丈夫、と思っている方は多いですが、このように、証拠が揃っていない状況では弁護士が入ろうとも満足な解決が得られないこともあります。

転ばぬ先の杖のつもりで、早期にご相談いただくことが解決への近道となります。

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